日本語の助詞:金田一春彦
2012/08/26(日)
日本語の助詞:金田一春彦
「助詞」については、すでに再読「日本語の構造」:中島文雄でも述べたが、他書とも読み比べてみよう。
『日本語 新版(下)』:金田一春彦:岩波新書:1988年3月22日 を再読しました。
特徴的な記述を要約すると、
○品詞分け:機能や意味の共通性から「品詞」区分けをまとめれば、『前置詞』も『後置詞』も同じ範疇の「助詞」に入るだろう。
○格助詞(後置詞):印欧語系は語形変化で格(名格/対格)を表すが、アルタイ語系の言語は「~が」「~を」などの後置詞・助詞で表す。
○英語など格表現が人称代名詞にしかなく、一般名詞では語順で格表現が決る方式だ。
○日本語の格表現は相当に精密で、規則的である。
○日本語の格の数は:三上章『日本語の構文』での例示があり;13種類くらいある。
○格助詞の結合方法:
「~がは→~は」「~をは→~は」は別にふれているが、つぎの例文を引いて「~の」助詞でも
:「妹の結婚」→「妹がする結婚」/「衣料品の販売」→「衣料品を販売すること」
:「どなたの絵ですか」→「~が描いた絵」/「~を描いた絵」
○「~がの」/「~をの」と言えないのは残念で、日本語の欠陥の一つである、とのべている。
・「助詞」については
『目から鱗の日本語文法~新しい日本語教授法JUMPsystemによる~』:鈴木明、櫻田淳一郎:文進印刷株式会社:2010年5月13日発行
の説明が一番しっかりと分かりやすい。
金田一本の終章
:日本語はどうなるか
の最後に、重要な指摘がある。
○「あやまることをよしとする態度」 日本人がたえず相手のことを考慮しながら話す態度、ことに、あやまることをよしとする態度はまことに好もしいが、外国人には通用しないから注意しなければいけない。
日本人の中での生活の場合と、外国人と接触する場合との二役を演じるようにすべきだろう。
○しかし、考えてみて、悪いことをした時にあやまってはまずい、自分を主張すべきだというヨーロッパ流の考えは、どう見てもいいとは思えない。
○自分の非を認めているということで罪が軽くなる、というほうが好もしいではないか。
○タイ、インドネシア、ビルマ、スリランカ・・・そういう国の人の間にも、こうした考えがあるように見える。
○そのようなアジア人の行き方が他の国でも認められ、欧米人に多少とも影響を与える日が来ることを期待する。
引用記述が長くなったが、日本文明のなかで生きる人間として肝に命じておきたいことだと感じている。
・「二役を演じ分ける」のではなく、理想としては、「同時に二役の気持・思考を頭の中でこなせて、なおかつ、表現できる」ような行き方が好もしい。そういう世界が来るのが待たれる。
・おそらくこれは、中世の昔「けんか両成敗」で争い事を収めた精神を改良して、未来的に通用する「人理天秤法則」が生まれてくることになるのだろうと推測する。
・「文法」の話ではなく、「万有資源」の話にかかわることなので、本日打ち止め。