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2012/08/11

日本語の動詞:能動形・受動形の双対性

2016/12/23(金)
 追記:2016年現在、「態の双対環」の考え方を進展させて、3つの「双対環」
で表現する方法を提起しています。
〇最新図解付きを参照願います:態文法:受動態と使役態の違い(2)

2014/06/10(火)
 態の双対多重環の図をリンク追記します。
日本語動詞:「態の双対多重環」図

2013/10/29(火)
 日本語の自・他動詞ともに態(ボイス)は「自発能動系統/動作強制系統」が鏡像関係、双対性があるとの考察に思い至りました。
どうぞ、日本語文法:ら抜き・さ入れ言葉の存在証明日本語動詞:態の双対図表(後半)日本語動詞:態の双対図表 をご参照してください。

○「動詞の態双対環」模式表記:(思考実験の結論として追記挿入)

    能動態   ・・・・・   強制態     ・・・・・・・   二重強制態
   /   \         /   \(使役態)   二重 /   \二重
 結果態  可能態  強制結果態 強制可能態    強制結果態 強制可能態
   \   /         \   /             \   /
    受動態   ・・・・・  強制受動態   ・・・・・・   二重強制受動態

2012/08/10(金)
 日本語の動詞:能動形・受動形の双対性

 前回は、
金谷武洋著:『日本語文法の謎を解く』:ちくま新書:2003年1月20日
が提唱する「日本語文は盆栽型」ということを述べました。

今回は、その本の全体を読み直してみました。
 金谷著作では、『日本語に主語はいらない』:講談社選書メチエ:2002年1月10日
も読み合せました。
どちらも、後半には「日本語の動詞」を分析されています。
○日本語の動詞体系の特徴は、
 自動詞/他動詞からの派生形が受身と使役なのだ。
○したがって、受身・自動詞・他動詞・使役の形を連続線で表すことが出来る。
という概念(著作ではもっと詳細解説あり)です。

 今回、連続線上に並ぶかどうか実際に自習してみました。
その結果、「一本の連続線軸」では収まらないことを発見した。
・「連続線=受身-自動詞-他動詞-使役」という概念には不都合がある。
 (この連続線では、自動詞/他動詞から規則的に受身形も使役形も派生できる
 日本語動詞の特徴を表現しにくい)
・日本語の動詞は「すべて能動形と受身形を並行して持てる」という双対性があり、この特徴を考慮に入れるべきだ。
 そこで、自動詞も他動詞もすべての動詞が、「二本の連続線」に乗る構造を考え出した。
・「能動形連続線=状況動詞-自律動詞-強要・介助動詞-三者間使役動詞-介助使役動詞」
「受動形連続線=状況動詞-自律動詞-強要・介助動詞-三者間使役動詞-介助使役動詞」。
・一つの動詞系は「能動連続線」と「受動連続線」の二つを持つ。
・新提案の連続線:「状況動詞、強要・介助動詞」など新規命名ですので、専門家に検証していただけたら幸いです。
・新提案用に自習制作した図表を初公開させていただきます。
Photo

2012/08/11(土)
 日本語の動詞:追記。
新提案の「動詞連続線」を案出するに至った経緯をいくらか追記します。
・動詞「見える/見る/見せる/見させる/見せさせる」を解釈するために、思考実験のなかで登場人物を設定しました。
・見える:人間でなく「見られる風景」でもよい。
・見る:「本人」の動作。
・見せる:「相手」に見ることを「本人」が強要する動作。
・見させる:「相手」が見るように「本人」が「第三者」を介して仕向ける動作。
  つまり、「相手」に見ることを「第三者」が強要する動作(見せる)を「本人」が仕向けること。
  (「相手」が見る動作をするように「本人」が直接行動するのではない)
・見せさせる:「相手が見る動作をする」ように「本人」が「第三者」を介して仕向ける動作。

 この図表を作成していて、昔の経験を思い出した。
○20年ほど前、九州?で地元の年配者と話していて、
「そんなこと、あらすか?!」という言回しをたしか聞いたことがある。
○そのときは「そんなことあるか?!」の意味で
理解していたが、本当はひとひねりある言葉だったのですね。
○「そんな、ないことをあるように言ってるんじゃないか?!」
という意味だったのでしょうね。
(あるいは「あらす」:文語形使役・尊敬で、尊敬の念や驚きの気持ちを含むのかも)


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コメント

村岡様
 コメントをいただき、ありがとうございます。
 ご趣旨の”迷惑の受動態”を含めて受動態全体を思考していました。
本文で述べた要点は、自動詞と他動詞が1本の連続線上に並ぶのではなく、強いて言うならば能動形と受動形が双対で並行するのではないか?
との考えでした。
つまり、自動詞でも他動詞でも全動詞が受動態を持つとの実験概念を述べました。
・書かれる/立たれる/来られる:各動詞は1つの受動態を持ちます。複数の受動態の形態があるわけではありません。意味解釈で”迷惑の”と分類したのでしょう。(三上章氏)
○受動態の意味解釈:受身・尊敬・自発・可能・迷惑 ということになるのでしょう。
(受動態の接辞:助動詞の構造は1つです。しかし、なぜ多義性があるのかが考察の原点です)

なお、最近の考察として、
日本語動詞:態の双対図表、態の双対図表(後半)にも思考の進展を書き込んでおります。
・能動態/受動態の連続線軸よりも、自発能動態/強制態の連続線軸を双対軸に設定したほうが最適と思考しはじめました。
態の双対図表の概念が動詞文法に新しい風穴を開けることを期待しています。

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