日本語の動詞:言語運用メカニズム
2013/01/21(月)
(1)自動詞/他動詞/受動/使役の言語運用メカニズム
金谷本に強い思いで述べられた
○日本語文法(学問)の三大欠点とは
①明治以来、外来の概念で日本語では不要な「主語」を使い続けていること。
②日本語本来の自動詞/他動詞/受身/使役の言語運用メカニズムが全く誤解、忘却されていること。
③平仮名分析に固執していること。(音韻分析にこそ西洋音韻学の手順を取り入れるべきだった)
である。
著者は、また、受身/自動詞/他動詞/使役の順に連続線上に「自然の勢い←・→人為的意図的行為」の度合が高くなると言う。
○人為行為の強さ度合の並びを説明する方法としては十分理解できる。
○ただし、受身は自動詞/他動詞/使役からも派生させられる。使役は(受身)/自動詞/他動詞からも派生させられる。
○それが理由で「一本の連続線上に並ぶ」という概念がしっくり納得できないでいます。
その反面、文法学の②言語運用メカニズムが全く誤解、忘却されている
という欠点を早く克服することが大事な事だと共感する。
「ら抜き言葉」、「さ入れ言葉」など本質的には正しい運用メカニズムに従った表現だと早く認められる時代になるとよいですね。
(2)言語運用メカニズム:ミクロ活用とマクロ活用
思考実験で数日前に気づいたこと。以下、言語運用メカニズムを文法則と呼びます。
○ミクロ活用メカニズム:
前回の自動詞/他動詞対応図表に示したように、個別の動詞活用を学習する。この図表では受身形/使役形への文法則が確実に身につくはず。
+受身接尾辞、+使役接尾辞などの使い方を体感し文法則として納得できる。
○マクロ活用メカニズム:
日本語文法の本質に関わる重要な法則かもしれない。思考実験で気づいた表現なので、未熟なところはご容赦をお願いします。
○マクロ活用:(一まとまりの文節)に対して、受身活用/使役活用を付加して表現する法則。
文節全体を考えて態(ボイス)を変換する。
○例:
(子どもを休ます)+使役活用=(子どもを休まさせる)←(子どもを休ませさせる)
(球を打たす)+使役活用=(球を打たさせる)←(球をたせさせる)
(足を踏む)+受身活用=(足を踏まれる)
(本を贈る)+受身活用=(本を贈られる)
(雨が降る)+受身活用=(雨に降られる)
(男が女の顔をなぐった)+受身活用=(女が男に顔をなぐられた)
(警察犬が泥棒を追いかける)+使役活用=(警察犬に泥棒を追いかけさせる)
○マクロ活用の特徴は
動詞の受身/使役(ボイス)活用の段階での文節です。
①(カッコ内の文節)に行為者/被行為者があれば、格変換が必要になるが、「~を格語」は格変化しない。
②通常、日本語の受身/使役活用では、「~を格語」を主格表現するのではなく、「行為者/被行為者の間で視点を転換する」ものですね。
③使役の使役形では、さらに「指示者/使い役/許可者」など、使役の倍量の配役陣がいるので要注意です。
④さらに重要な文法則は?
活用前の(カッコ内の文節)と活用後の(カッコ内の文節)両方に(カッコ)をつけた理由:次のマクロ活用(テンス、アスペクト、ムード)へも文節として使えることです。
⑤さらに(カッコ内の文節)が、そのまま連体述語修飾や擬似的名詞化した「状態」として使われます。
○④⑤は飛躍しました。
日本語の言語運用メカニズムの本質かと思いますが、いったんここで区切ます。
(つづく)
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