日本語の動詞:使役/受動の接尾辞
2013/10/29(火)
日本語の自・他動詞ともに態(ボイス)は「自発能動系統/動作強制系統」が鏡像関係、双対性があるとの考察に思い至りました。
どうぞ、日本語文法:ら抜き・さ入れ言葉の存在証明、日本語動詞:態の双対図表(後半)、日本語動詞:態の双対図表 をご参照してください。
○「動詞の態双対環」模式表記:(思考実験の結論として追記挿入)
能動態 ・・・・・ 強制態 ・・・・・・・ 二重強制態
/ \ / \(使役態) 二重 / \二重
結果態 可能態 強制結果態 強制可能態 強制結果態 強制可能態
\ / \ / \ /
受動態 ・・・・・ 強制受動態 ・・・・・・ 二重強制受動態
2013/01/07(月)
(1)使役動詞の受身形:「打たされる」
すべての動詞が受身形を派生できると広言したので、使役動詞も受身派生させようと、前回に思考実験してみました。
実験して発見したことは、
○動詞の文語体使役形から派生させて、それを口語体受動形に派生させると「スマートな使役受動形」になる。ということ。
○文語体使役形:「打たす」から
文語体使役受動形:「打たさる」をへて
口語体使役受動形:「打たされる」に到達できる。
○なんの違和感もなく、聞いたり使ったりしていたが、すごいことですね。
○口語体使役形:「打たせる」から直接の派生で、
口語体使役受動形:「打たせられる」を
使ってもよいのだが、なんとなく「うさんくささ」がある。
○「打たされる」/「打たせられる」:どちらも同じ状況を表現しているのだが、
「打たせられる」には「打たせる者」の心理が透けて見えそうな感じがある。
(2)また、中島本に助けられました。(動詞の文語体との関係)
「日本語の構造-英語との対比-」:中島文雄:岩波新書:1987年
を見直すと、動詞の文語体、口語体の使役、受動の接尾辞についてていねいな説明が記述されてあります。
○中島本では、使役、受身の接尾辞(助動詞)を別々に説明してあります。
○「使役受動」と連結した接尾辞については記述がありません。
○下図に中島本の記述説明を図表化しました。(使役受動の接尾辞を試行追加してあります)
(3)日本語の動詞:中島本
自他動詞の連続性や能動形/受動形の双対性など思考実験していくうえで、これからも中島本を参考にしたいですね。
(4)「打たされる」「立たされる」「書かされる」の定着度
ネット上を検索してみると、日本語学習者のなかでも
○「立たせられる」---OK、 「立たされる」---NG
○「食べさせられる」---OK、「食べさされる」---NG
という意見が多いようです。
ただ、「使役受動形」の必要性や存在自体への異議はないようなので、
日本語感性はしっかり定着しているわけですね。
日本語教師など、律儀な方ほど「食べさされる」には拒否反応があるようですが、
「立たされる」にも耳が慣れていないのでしょうか?
○わたしとしては、「立たされる」が十分定着していて、言語活用法則(文法則)にもかなっていると思います。
ちょっと「考えさされてしまいます」
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