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2013/02/05

日本語の動詞:「さ入れ言葉」を解剖する

2013/10/29(火)
 日本語の自・他動詞ともに態(ボイス)は「自発能動系統/動作強制系統」が鏡像関係、双対性があるとの考察に思い至りました。
どうぞ、日本語文法:ら抜き・さ入れ言葉の存在証明日本語動詞:態の双対図表(後半)日本語動詞:態の双対図表 をご参照してください。

○「動詞の態双対環」模式表記:(思考実験の結論として追記挿入)

    能動態   ・・・・・   強制態     ・・・・・・・   二重強制態
   /   \         /   \(使役態)   二重 /   \二重
 結果態  可能態  強制結果態 強制可能態    強制結果態 強制可能態
   \   /         \   /             \   /
    受動態   ・・・・・  強制受動態   ・・・・・・   二重強制受動態

2013/02/05(火)
(1)「休む」動詞の関連動詞

 日本語の動詞では、一つの動詞語幹から関連するいくつかの動詞が派生している場合が多い。
○動詞:休むには、
 ・休ませる:(下一他)
 ・休まる:(五段自)
 ・休む:(五段自)
 ・休める:(下一他)
 が辞書形として「新版国語辞典」に載っている。
○各動詞の意味の説明は、あまり適切ではないなぁと感じている。
 ・休ませる=休める:的なもたれあった説明だなと印象に残る。
○「休む」行為をして「休まる」状態になるとの説明には同感です。

 日本語の言語運用メカニズムを説明する「文法則」の視点で動詞の派生を考察したほうがよいのではなかろうか?
○事態(ボイス)との関係を含めて説明すると効果あり。
 ・休む:人・動物が活動を止める/人が会社、学校を欠勤、欠席する。
 ・休める:(自・可能形)、(下一他)(人の)器官、機能を休ませること。
 (手を休める/箸を休める)
 ・休ませる:(休むの使役活用形なので、見出し語に不適切)
 ・休ます:(休ます=休むの他動詞化)人や家畜などを休ませること。
 (同じ使役動詞ならこれを見出し語に採用すると利点がある:文語体でもよいのでは?)
○母語として日本語を体得した人なら、事態視点での意味が納得しやすいでしょう。
○新規学習者には、言語運用メカニズム(文法)としてつかんでもらい、事態(ボイス)練習すれば上達が早いのではないか。

(2)「休まさせる」の図解的説明

「休まさせる」事態:
○指令者が発話側の場合
・「①指令者は(②受命者が③対格者を休ませる)ように(休まさせる)指示を出した」
・「①指令者は(休まさせる)ように受命者に指示し、②受命者が③対格者を(休ませる)」
・「①指令者が②受命者に(休まさせる)ように指示した」
・「③対格者が(休む/休める:可能形)」
つまり、
①指令者が行う行為は「休まさせる」という使役使役の指令です。(強制使役:二重強制)
②受命者が行う行為は「休ませる」という使役動作です。
③対格者が行う行為は「休まされる」という使役受身の動作です。
この思考実験によれば、
登場者が行う行為を正確に区別して実感できます。

○受命者が発話側の場合
・「②受命者は(③対格者を休ませる)必要があるので、①指令者に(休まさせる許可をください)と申し出る」
・「①指令者に(②受命者が③対格者を休ませるための指令を出してください)と②受命者が頼む」
・「③対格者が(休む/休める:可能形)」

 休ませるための指令とは、「休まさせる」行為です。結局のところ、
①指令者の行為:使役使役の行為
②受命者の行為:使役行為
③対格者の行為:使役受身
です。
この考察をさらに俯瞰的に広げると、
①指令者行為:使役動詞「休ます」語幹から使役形へ派生活用した→②に「休まさせる」。
②受命者行為:能動態なら「休む」語幹から使役形へ派生活用した→③を「休ませる」。
 受動態ならば、①に「休まさせられる」。
③対格者行為:能動態なら「休む」、または「休める:可能形」。
 受動態ならば、②に「休ませられる」または①、②に「休まされる」で表される。

(3)「休まさせる」事態の活用俯瞰図表

 上記の説明文を図表で表す。

Photo

 日本語の言語運用メカニズムの特長は、登場人物がそれぞれの立場、視点で主格に立つ言語表現が可能であること。
その視点で図表を眺めていただくとわかりやすいです。
長々と説明してきましたが、結局のところ、 
○「休まさせる」=「休ます:の使役形」です。「休む」の使役形ではありません。
○ですから、「休まさせる」と聞いて「休む」を思い出してはいけない。「休ます」の使役状況を想定したい。
○ということを説明しています。

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