日本語の文型:盆栽型述語の多層活用
2013/06/24(月)
(1)『認知文法』は「虫の目」視点に立ってあるか?
ここで「立ってある」との表現を意図的に使いました。擬人化して「視点に立つ」と言うなら、
「立っているか」と活用するのがよいでしょう。
聞きかじりの知識でしか話せないため、継続相の「立っている」とはいいにくい。
ロナルドWラネカーが認知文法に従来と違う新しい立場に立ったらしいと理解しました。
文章構文のなかで、語られる場面に登場するモノたちに対する焦点の当て方、それを語る話者の
認識を意味解釈に投影させる解析手法は進歩である。
だからと言って『認知文法』が「神の目」視点でもなく「虫の目』視点でもなく、期待どうりに
公平性を保証するものであるのかはわからない。
(2)日本語の文型:「盆栽型」を再検証
当方の文法解釈に用いる道具立て(構文概念、文型解釈)としては、
「盆栽型文型:金谷武洋」を援用している。
日本語の文型は、すべての「登場人・物」が補語であり、対等に「述語」に結合して意味を
表現する。
いけ花のように補語を1本1本、「盆:述語」に差して文を作るので「盆栽型」という。
(もちろん「盆栽型」=「虫の目視点の結果」というわけではない)
○以前の思考実験で、「盆栽型」を発展させて「熊手型:複文構造の想定」という名称を提起し
たことがありました。(盆栽型の連体修飾節が次の盆栽への補語になるから)
○思考実験を繰り返すうちに、
(当ブログの日本語文法カテゴリー内)
・日本語文法:「する」と「やる」の区別、
・日本語の基本文型(最後尾のボイス活用俯瞰図表の夢)、
・日本語の動詞:「さ入れ言葉」を解剖する
の3投稿の考察文章に流れているものが構文把握の肝心だと気づいた。
○つまり、単文構成の「盆栽型」にしても、「盆:述部」の構造を広く展開して俯瞰できる
ような活用図表があればよいのになと思う。
(3)述語の多層活用
『日本人のための日本語文法入門』原沢伊都夫:講談社現代新書:2012年9月20日
には、日本語文の構成を説明し、特に述語の構成内容を詳しく解説している。
○思考実験する。
・述部(=動詞、い-形容詞、な-形容詞、名詞)の活用で構成される。
・述部の活用とは、
=述語語幹に接続(膠着)して
+述語活用(動詞活用、形容詞活用、名詞・形容動詞活用)
+助動詞活用(態・ボイス=使役/受動)
+助動詞活用(否定=ない)
+助動詞活用(テンス=完了/未完了)
+助動詞活用(アスペクト=直前/開始/進行/結果)
+助動詞活用(ムード=推量/希望/伝聞)
+終助詞(ムード?=か?/ね/さ/わ)
○述語活用、助動詞活用ともに
・述語活用=未然形/連用形/終止形/連体形/仮定形/命令形
・助動詞活用=未然形/連用形/終止形/連体形/仮定形/命令形
の活用形式があるので、後続接続(膠着)させる法則に慣れる必要がある。
(述語活用表や助動詞活用表は辞典の後尾に付録されている。規則性があるので心強い)
○助動詞活用は述語活用形の未然形に連結するものが多いが、連用形、終止形、連体形などに
連結するものもある。
(4)使役/受動の動詞(文語の生き残り)
日本語文法では、動詞の能動/受動/使役の活用に注目して考察してきた。
○すべての自動詞が能動形/受動形に活用されうること。
○すべての他動詞が能動形/受動形/使役形に活用されうること。
○他動詞に文語系使役語幹が生き残り、現在でも口語表現のなかに数多く使われていること。
○例に示すように、文語形使役語幹を使うほうが簡明な表現で済むからでしょう。
例:
・(休ませる)休ます:受動:休まさ+れる/再使役:休まさ+せる。
・(打たせる)打たす:受動:打たさ+れる/再使役:打たさ+せる。
・(立たせる)立たす:受動:立たさ+れる/再使役:立たさ+せる。
・(書かせる)書かす:受動:書かさ+れる/再使役:書かさ+せる。
・(驚かせる)驚かす:受動:驚かさ+れる/再使役:驚かさ+せる。
・(食べさせる)食べさす:受動:食べささ+れる/再使役:食べささ+せる。
・(避けさせる)避けさす:受動:避けささ+れる/再使役:避けささ+せる。
(再使役形の事例は少ないかもしれないが、受動形の使用例は多いと思う)
(次回に続く)
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