日本語の文型:「補語述語演算型」
2013/07/25(木)
(1)日本語の構文は「題述関係型」
日本語の構文を分析すると、
○「盆栽型」:金谷武洋とか
○「日の丸盆栽型」:金谷武洋とか
○「題述関係型」とか
で文型の構造を説明できる。
○述語に助動詞活用を付加して、使役、受身、複文構造にも変身できたりする。
一方、印欧語の構文は、
○「主述関係型」で説かれる。
主語と述語の関係が緊密で、助動詞による述語修飾がほとんどできない。
日本語構文の特徴は、必要な補語に(てにをは)役割助詞を付けて順次並べて最後に串を挿すように述語+助動詞活用で束ねるようなもの。
○「串刺し型」とも言える。
(前回の投稿で、横書による態表現図がまさに串刺し型になっている)
○完成文を「串刺し型」と見るならよいが、推敲中の文章を「串刺し」するのは自由性がなく気が滅入る。
○そこで、日本語構文は「なべ料理型」なのだと考えた。
①提題部=「なべのフタ」に主題明示。
②必要補語=「なべのなか」へ具材各種切って入れる。登場人物の投入。
③述語=「味付け」:述語活用+助動詞活用で全体の意味付け。
と類推できるのではないか。
○「なべ構造」だから、「なべ」のなかに「なべ」がいくつか入った「多重なべ構造:複文、連体修飾節」でもよいだろう。
○また、反対に簡単な方向へも変身できる。
○「なべ構造」だから「味付けの汁だけ構文」:述語+助動詞活用だけでも文章が成立つのは普通のこと。
○「天丼型」や「カツ丼型」、「親子丼型」なども似ている。食べ物型にこだわりすぎですね。
(2)日本語の「補語述語演算法」
日本語の構文はコンピュータ開発言語のスタック処理型の手順機能に類似している。
○ヒューレットパッカード社の電卓の演算方式:
・キー入力の順序:
3(に) 4(を) +(加算する)。
と日本語風に入力する。
・補語(数値3)に 補語(数値4)を 述語(加算)する。
・電卓の表示窓には 7が光る。
○日本語の構文:
・母が(担任教師に)子を 休+まさ+せて+ください と、(担任教師に)連絡する。
・休む(自動詞)→休ます(他動詞化)→休まさ+せる(被使役化・二重使役化)→休まさせて+ください(許可要請)
というような、述語内部(述語+助動詞連結による)での演算もある。
・残念ながら、この(二重使役の)述語の内部演算が一部の日本人には複雑過ぎて理解されないらしい。
別の言い方:担任教師が直接に
・母が(担任教師に)子を 休ま+せて+ください と、(担任教師に)連絡がきた。
と聞いたら、
・教師は自分が子を休ませる行為を要請されたと解釈し、すぐに周辺を見回し、子を探しはじめるだろう。
日本語の構文:事態の収まり、授受:
・遅刻したときの言訳に、
「母が 北海道から 出てきたんです」と「~んです」を付加する心理は、
・「母が 北海道から でてきました」で終ると、補語述語演算がすっきり完了します。
電卓の表示窓になにも残っていない感じがします。
・「~んです」を付加すると、「母が北海道から出て来た」の説明が「話者、聞手の心の電卓の表示窓」には消えずに残るように感じられる。
・これは日本人の言語演算の感性なのでしょう。
(3)日本語の文型:「題補述演算型」
文型の構造を上記(1)「題述関係型」で考察し、文型の機能の側面を(2)「補語述語演算法」で考察した。
○その両側面を合せたものを「題補述演算型」としよう。
○日本語話者は自然のうちに、「題補述演算型」を身につけて、日本語流の「構文演算法」を使って暮しているだろう。
・・・
○組織活動や会議活動、思考実験を効果的に進めるためには、参加者の「演算法」に対して「一定の規則を共有させて志向ベクトルを揃える」ことが有効だろう。
○「共有すべき規則」とはなにか?が大きな問題です。
○「人類哲学序説」:梅原猛に続くこれからの「人類哲学」の成果が解き明かす道になるかもしれない。
○稲盛和夫の「アメーバ経営方式」が具体的規則の見本かもしれない。
○わたしのなかでは、「万有資源活用法」や「SD特注リフィル:件名リフィルの活用」で思考している方法が「共有すべき規則」の小さなひとつと思っている。
(以下次回)
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