日本語の動詞:補述演算、補述暗算とは
2013/08/31(土)
日本語文の補述演算機能を思考実験しているが、「述語演算」という概念を十分に説明できていない気がする。まず要約する。
(1)「述語演算」とは、
・端的に表現すると、「述語(動詞)活用+助動詞活用」により、文の態(ボイス)や相(アスペクト)を操作・表現すること。
○文法的には、驚くほど規則的な構造で、「述語(動詞、形容詞、形容動詞)活用表」や「助動詞活用表」を組み合せれば「希望の述語演算の表現」ができる。
○国語辞典の後尾付録に各種活用表がまとめて記載されている。
○言語運用メカニズム(実生活上の話し方法則)では、「活用表組み合せ」を(幼児期から)習熟して、経験を高める努力をした結果が巧みに使われている。
(2)「補述演算」とは、
・上記の「述語演算」で表現される「述語の態(ボイス)」に対して、先行する「補語」も文中の役割を示す機能が必要になります。
・「補語」自身が「補語の態(ボイス)?」を表現するための接辞助詞が「格助詞・副助詞」です。
・補語の役割表現と述語演算の表現が呼応・整合する必要があります。
○文法書では、「助詞一覧表」などで、格助詞・副助詞・接続助詞・終助詞等を解説してある。
○国語辞典の後尾付録に「主要助詞一覧表」としてまとめて記載されるものと、まったく掲載されない辞書とがある。
・できれば「補語の態(ボイス):格助詞・副助詞」を独立させ「補語助詞一覧表」とし、その他の助詞を「接続助詞・間投助詞・終助詞」として付属させるとよい。
(3)さらに、国語辞典の後尾付録に採録してほしいもの:
・基本文型(6~7文型:格助詞付き)を記載してほしい。
○(能動文型だけでなく、)さらに基本文型には、
・使役・受動文型表、物・行為・事態の授受文型表、(丁寧語・謙譲語表:付録する辞典もあり)
なども追加されると画期的なのだが。
(現状は能動基本文型表も後尾付録に記載がない辞典が多い)
○日本語の学習上達には「補述演算」に習熟する必要があります。
○演算方法(活用組み合せ)のお手本が基本文型に示されていれば、学習者には相当心強いはずです。
○中国語、印欧語を母語とする学習者に、日本語文の構造の違いや考え方の違いを説明しなければならない。
だから、基本文型をしっかり理解させる教授法(最少法則で文法化)も開発したいものですね。
(4)「補述暗算」とは
日本語の述語演算になじんだあとの段階では、「補語述語暗算」にも挑戦してほしい。
○「ぼくはウナギだ」
○「コンニャクは太らない」
○「春はあけぼの。夏は夜」
などの文は、省略された要素を暗算で導き出すことが求められる。
・「春はあけぼの」文は構造的には象鼻文に相当するかもしれない。
・「春はあけぼの(の時間がいちばんよい)。夏は夜(がいちばんよい)」
話し手と聞手との間で「暗黙の言語要素」を頭の中で思い描く、つまり暗算するという方法です。
それが日常的に通用する言語基盤が「補述演算型にある」わけですね。
「主述関係型」言語を母語とする学習者に、なじみのない「演算から暗算へ」到達する方法は何かな。
繰返しの練習なのだろうか。
補述演算、補述暗算をすっきり納得させる「最少文法」ができるとよいですね。
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