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2013/08/23

日本語の文型:「題補述演算型」とは

2013/08/22(木)

(1)日本語文:「題補述演算型」

 印欧語の構文は、
○「主述関係型」:主語と述語の関係が緊密で、助動詞による述語修飾がほとんどできない。
一方、日本語の構文は、
○「盆栽型」:金谷武洋とか
○「日の丸盆栽型」:金谷武洋とか
○「題述関係型」とかの構造として説明できる。
○特に、述語に助動詞活用を付加して、使役、受身、複文構造にも変身できたりする。
○つまり、日本語文(盆栽)の盆に膠着の助動詞や接辞をつけて、次の日本語文(盆栽)をつなぎ足して次々に連結させていける。
○もちろん、長い連結文は聞手に理解してもらうのに負担がかかります。(この文でも2連結ですね)

(2)文(盆栽単位)で演算、解釈する

 盆栽型の文型解釈には大きな利点がある。
○文章は単文や複文を並べて構成する。「盆栽」は(単)文を表している。
○日本語文法書での「節」は、
・文節=単語+助詞(発話の区切)という小さな「節」で説明したり、
・複文=文+文=従属節+主節のように、文であるのに、「~節」と説明する。
(単文の構成要素=文中の区切節=単語+助詞:ミクロ視点での「小ふし:節」。
 複文の構成要素=文と文の区切節=文:マクロ視点での「大ふし:節」)
・思考実験の文法としては、この視点が違う「節」を信頼して使えない。
(同じ粒子模型で原子系と銀河系とを比定するようなもので、「小節/大節」を混同したくない)
○だから、単文、複文、主文、従属文、関係文、並行文のように「~文」を使い、「盆栽文型」の連結を思い浮べるのが適切だろう。

(3)日本語文の助詞も変身演算型

 日本語の単文でもしばしば議論を呼ぶものに
・(象鼻文)「象は鼻が長い」
・(うなぎ文)「僕はウナギだ」
・(コンニャク文)「コンニャクは太らない」
の3例文がある。
○どれも日常的に使われる構文例で、文法家も各種の解釈を述べているが、日本語文として通用している。
○おそらく、多くの言語でも同様の表現が使われているだろうが、「主述関係型」の印欧語系文法では説明がむずかしいでしょう。
○日本語文は「補述演算型」であり、述語を優先解釈するから何も問題はない。
○コンニャク文の解釈例:(文を補足する方法)
・「コンニャクは、(カロリーがないから、食べても)太らない」
(補足により盆栽3連結の文になる)
○正しい解釈:(補述演算に任せる方法)
・コンニャクは太らない/~(で)は太らない/~も太らない/~なら太らない/
・僕はウナギだ/~(に)はウナギだ/~もウナギだ/~ならウナギだ/
 これらはすべて同じ構造の文です。
・つまり、「~は」が主語・主格につく助詞と思うのは間違いです。文法上の格助詞ではありません。副助詞です。
・「~は/も/だけ/しか/なら」など、直接の格機能を表現しない副助詞です。
・(格機能のない場合も)補語と述語の演算(力関係=述語が強い)で意味が決るという「補述演算型構文」です。
・象鼻文は基本文型ですから、説明を省略しますが、3例文ともに日本語文法にかなったものです。
○日本語が「主述関係型」ではなく、「補述演算型」の文解釈を行います。
・だから、「僕がウナギ(φ)だよ」とか「コンニャクが太らない(はず)」とかの格助詞付きの表現でも、「僕=ウナギ」、「コンニャク自身が太らない」のような「主述関係の解釈」はしないでしょう。

(注:副助詞の参考書籍)
新しい日本語教授法「JUMPsystem」による『目から鱗の日本語文法』鈴木明、櫻田淳一郎:文進印刷:2010年5月13日

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