日本語動詞:態の双対図表
2013/10/18(金)
追記:別投稿:態の双対図表(後半)の最後尾に⑩表:強制結果態もあり!を載せました。
そちらも合わせてご覧のほど、よろしくお願いします。
○「動詞の態双対環」模式表記:(思考実験の結論として追記挿入)
能動態 ・・・・・ 強制態 ・・・・・・・ 二重強制態
/ \ / \(使役態) 二重 / \二重
結果態 可能態 強制結果態 強制可能態 強制結果態 強制可能態
\ / \ / \ /
受動態 ・・・・・ 強制受動態 ・・・・・・ 二重強制受動態
2013/10/15(火)
借り出し図書、
『日本語は敬語があって主語がない 「地上の視点」の日本文化論』金谷武洋:光文社新書:2010年9月20日
を読んで、再考しています。
金谷本に曰く
○「ら抜き言葉」には合理的な理由があり、許容できる用法だ。
○一方、「さつき(さ入れ)言葉」には、使役と使役受身の二つで誤用?がある。
しかし将来的に誤用がなくなれば「さつき言葉」指摘もなくなるだろう。 と吟味不足?の記載があります。
(思考実験子としては、通常の二者間使役では「せる/させる」、三者間使役では「させる/ささせる」となると明確に指摘してほしかった。つまり、三者間使役の場面では「さ入れ」が正しい表現だと解析されるのを期待していました)
この「ら抜き言葉」、「さ入れ言葉」の問題解決には、受動態と使役態の深読みが必要です。
(1)日本語の動詞:態の双対性
再考中に独創的な「態の双対図表」が浮んできた。
日本語の動詞は
・一つの語幹から自動詞/他動詞に派生するものが多い。(無対動詞、両用動詞もあるが)
・自動詞/他動詞の態が双対構造になっている。
・双対構造は自動詞/他動詞を創造する「二重らせん」かもしれない。(大袈裟!)
まず、自他共通の母音語幹の動詞例を図表化しました。
(①表参照)
重要な点は、
○態の制定:能動/結果/可能/受動/強制/使役を自動詞/他動詞系統軸と双対に並べたこと。
○自他動詞の態双対図表が破綻なく成立つ条件は、「共通語幹+る/+す」の相対動詞の場合です。
◎態双対図表が「意味論的にねじれ」を起し、途中で(R)→(S)変更させるケースがあります。
それは最後に説明します。
○今回は図表の態名称や双対性を習熟してほしい。
○「ら抜き」は「可能態の活用」で、可能表現での使用は合理的です。
○「さ入れ」は「使役態の誤用」で発生します。
○「先生、わたしを渡ら(さ)せてください」は誤用で①表にはありません。
(2)態双対の延長図表
使役態の方向で動詞活用を延長するとは、
・「使役の受動」、「使役の使役」、「二重使役の受動」表現をすることです。
(②表参照/③表比較)
○単純に「使役接辞」「受動接辞」を連結した内容です。
○「らせらせ」、「させさせ」が耳障りです。
先人の昔からの智恵だと推測しますが、
・「強制の受動」、「強制の使役」、「強制の強制の受動」を活用する表現で接辞を短縮化したのです。(③表参照/②表比較)
○これなら少し「ささ」が耳障りですが、我慢できそうです。
○「先生、わたしに子どもを休まさせてください」は、正しい「さ入り」用法です。
○すでに世の中に広まっているはずですが、文法家には認知されていないのが残念でなりません。
(3)日本語の動詞:態の双対図表
金谷本で指摘された動詞の例で、休む(無対自動詞)と飲む(無対他動詞)をはめ込んだものです。
○この場合、子音語幹であり、動作動詞ですから「破綻する態表現」はありません。
(4)日本語の全動詞に対応する態の双対図表
図表数が多くなるので、次回で説明します。
要点:
○態の後半:強制態を含む後半は、「動作をさせる」ことを意味します。
○そのため自動詞、他動詞でも態=「ある:(R)」から始まるケースでも、後半はすべて「する:(S)」の接辞に変えないと意味が通らない場合があります。
○そうすれば、全動詞の態双対図表ができます。
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