日本語動詞:動詞を生み出す「態の双対性」
2013/11/06(水)
日本語動詞の基本的な知識として学校文法で修得したものは、
・動詞、動詞述語、動詞活用(五段、上1段、下1段、カ変格、サ変格)。
・自動詞、他動詞、可能動詞。
などです。
・動詞に接辞する助動詞は「助詞」の後から学習する。
○「助動詞」のなかでも、「態・ボイス」に関する項目は、もっと系統立てて「態の双対表」として授業するほうが効果的だと考察します。(参照:態の双対性①、②)
○つまり、
・能動系統:能動態-結果態-可能態-受動態
・強制系統:強制態-強制結果態-強制可能態(使役態)-強制受動態
この能動系統と強制系統の双対構成を「態の双対図表」として普及させたい。
○「態の対比表」として
・能動態:+(R/S)u---強制態:+(R/S)asu
結果態:+(R/S)aru---強制結果態:+(R/S)as・aru
可能態:+(R/S)eru---強制可能態(使役態):+(R/S)as・eru
受動態:+(R/S)ar・eru---強制受動態:+(R/S)as・ar・eru
という「組み合せ表」を一度でも見ておくと知識が整理される。
○例外のない規則なので覚えて損はないと思いますね。
○また添付の図表に示したように、動詞語根から派生して関連動詞ができることが確実にわかります。動詞を生み出すしくみでもあります。
○つまり、結果態や可能態も立派に独自動詞として活用できるのです。
・休む/休まる(結果態)/休める(可能態、また他動詞化)/休ます(強制態)。
・助かる(結果態)/助ける(可能態、または他動詞化)。
もう一度、態の全体構成をみると、
○動詞語幹を中心軸にして、能動系統、強制系統の態生成が規則的になされる。
○この構造は、少々乱暴に類推すると、4つの塩基の組み合せで複雑な生命体遺伝子が構成されているという「DNA二重らせん構造」に対比できそうだと感じます。
○日本語の動詞の「4つの態接辞」は能動・強制・結果・可能の接辞です。受動接辞は「結果+可能」の合成で、使役接辞は「強制+可能」の合成、使役受動接辞には「強制+結果+可能」の(強制受動)合成が合理的です。
○今、学校文法では使役受動を「強制+可能+結果+可能」の合成のみを記載しています。
使役が強制系統から派生するので、強制受動接辞を本筋論として明記するほうがよいのではないだろうか。
○「動詞の態双対環」模式表記:(思考実験の結論として追記挿入)
能動態 ・・・・・ 強制態 ・・・・・・・ 二重強制態
/ \ / \(使役態) 二重 / \二重
結果態 可能態 強制結果態 強制可能態 強制結果態 強制可能態
\ / \ / \ /
受動態 ・・・・・ 強制受動態 ・・・・・・ 二重強制受動態
○いずれにしろ「対話の場を間近に見る視点」で、動詞述語を十分に活用し、行為を「する・させる・される/なる・なれる・なられる/ならす・ならせる・ならされる」を表現できる構成になっているわけです。
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