日本語動詞:動詞態の双対環を操作-5
2014/02/01(土)
(1)寺村本の例文を題材にして:(受動態・可能態)つづき
寺村本:『日本語のシンタクスと意味 第1巻』の第3章:態:受動態・可能態の節にある解説、例文を題材にして「態の双対環」を使う練習をしてみよう。
前回の内容骨子は、
○ 寺村本:動詞態の考察には、
・文法的「態」と語彙的「態」の両面からの解析が必要という提言があります。しかし、本文中には両者の関係を示す解析が見つかりません。
○「態の双対環」方式では、
・受動態接辞:語根+「結果態(r/s)aru」と「可能態:eru」との合成によるものと解釈した。
・また、強制態接辞:語根+「・(r/s)asu」が先に生れ、
使役態接辞:語根+「強制態(r/s)asu」と「可能態:eru)」との合成で派生したものと解釈した。
以上が前回の概要です。
(2)態の接辞:文法的「態」と語彙的「態」を解明する
日本語の動詞は、その語幹に助動詞接辞を付加して受動態、強制態などを作りだします。
また、動詞語幹にある種の接辞を付加して自動詞/他動詞への相互変換を行っています。
例えば、自動詞:休む の場合
・能動:休む/可能・他動:休める/結果:休まる/受動:休まれる
・強制:休ます/使役:休ませる/強制結果:休まさる/強制受動:休まされる
というように語彙的「態」と文法的「態」が混然となっています。
○「態の双対環」方式では、
①受動態接辞が「aru:結果接辞」と「eru:可能接辞」の合成によるものと見定めた。
②使役態接辞が「asu:強制接辞」と「eru:可能接辞」の合成によるものと考察した。
③可能接辞:「eru」は、可能動詞を派生させる接辞として定着していた。(書ける/読める/立てる)
④結果接辞:「aru」、は、文語体での受動接辞であり、強制接辞:「asu」は文語体での使役接辞です。
⑤こうしてみると、どの接辞も由緒正しい「態の意味合い」を持っているわけですね。
(3)「態の接辞の意味」一覧表
「態の双対環」方式では、各接辞の文法的「態」と語彙的「態」の意味づけを次のような一覧表で表します。
(図表参照)
○一覧表でわかるとおり、どの態接辞も文法的、語彙的の「態機能や意味」を2つ以上持っています。
①~③接辞は語彙生成の段階で基本機能を左右するものです。④、⑤はそれらの合成で文法的「態」を形成します。
○試しに動詞をひとつ、能動態双対環に書き入れて態の双対環を完成させてみてください。
○一覧表の態接辞の意味と見比べながら、各態を書き上げると新鮮な感覚になりませんか。
次回は態接辞の挿入子音(r/s)の意味についてを予定します。
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