日本語文法:名詞述語文と判断措定2
2014/04/09(水)
(1)報告書:第6回NINJALフォーラム「グローバル社会における日本語のコミュニケーション-日本語を学ぶことはなぜ必要か-」
3月30日、国立国語研究所主催の第7回NINJALフォーラムを聴講参加した際に、前回の第6回フォーラムの正式報告書(製本版)をいただきました。
これもまた、すばらしい内容です。
肝心だと思う部分を抜書きします。(個人的で恣意的な抜書きなので実名不記載とします)
(2)日本語のコミュニケーション
グローバル社会での日本語のコミュニケーションを考える上で、重要な視点が示唆されている。
開会の挨拶:国立国語研究所長
○米国の言語学者による日常会話(英語)の分析例:
・男のコミュニケーション形態はReportTalk:事実報告が基調で、
・女のコミュニケーション形態はRapportTalk:協調・絆の語りが基調です。
○男女の違いだと割り切るのでなく、話す中身と話す作法に違いがあることを踏まえて、コミュニケーションの作法をわきまえることでギャップを解消できるのではないか。
講演:立教大学特任教授
○グローバル化で英語が共通語の役割を果す機会が増えているが、同時に多言語化も必要になってくる。
○NHK災害ニュースでは多言語社会での情報伝達をすばやくおこなうための「やさしい日本語」発信を研究している。
○楽天やユニクロがビジネスに英語を強制化したが、日本での外国人社員には「日本語を学ばせる」ほうがはるかに効率的な仕事運営ができることに気づいて来ている。
講演:国立国語研究所日本語教育研究・情報センター長
○日本語を教えること:戦後の経済成長期、1983年に政府が『留学生十万人計画』をうち出し、各地の大学に日本語教員養成の学科が設置された。
・2003年に「十万人」を突破して、2008年には「留学生三十万人計画」が政府から出された。2011年の統計では「十三万八千人」が日本で学んでいます。(留学生の出身国別では中国、韓国、台湾が多い)
○日本語を学ぶこと:留学生が日本語を学ぶ過程でさまざまな誤用を生み出します。
・文法ルールを自己流に当てはめて「自分の言葉」を話しはじめるわけで、その例を分析すると学習困難点が浮び上がってきます。
・日本語母語の教師も客観的に改めて文法ルールを学び、全体的、段階的軽重が判断できることが必要です。
講演:国際交流基金日本語国際センター所長
○2050年の日本語:
・日本語は「省略が多い、文脈依存が高い対話型言語」であり、逆に「低文脈:省略が少ない」言語にはドイツ語があります。
・日本語に反映する日本社会の習慣、文化、文明の影響が今後はどう変化していくのか。グローバル時代に「日本語の使い手」として自他のコミュニケーション作法を吟味して向上させていく必要があります。
2014/04/15(火)
(3)日本語を学ぶこと
日本語を学ぶ経験を持つ2人の著名人の講演:
・中国知日派ジャーナリスト・作家、
・米国出身、方言研究家・タレント、
○日本語学習に大変苦労した昔の経験談を語っています。でも二人とも将来に向けた日本語教育の仕組みに対する希望として、「日本の魅力」が「物」から「事、文化」に変わってきている現状をうまく反映した「学習の枠組み」を挙げている。
2014/04/16(水)
(4)日本語の基本文型と判断措定
報告書の中にある留学生の誤用例文:
○×姉は二子います。(姉は子供が二人います) がのっている。
○また講演の中で「日本語は省略が多い言語だ」という指摘が複数人から出てきた。
これに関連して思考実験をしてみたい。(以下、次回につづく)
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