日本語文法:自他対応に語彙的態が深く関与
2014/08/13(水)
(1)文法的態にも語彙的態の接辞が重要な役割を果たす
前回、三上文法での動詞の二分法:
①能動詞:みずから然る→有情→動的→自動詞(間接受身)、他動詞(直接受身、間接受身)
②所動詞:おのずから然る→非情→静的→状態動詞、性状動詞(受身にならず)
を、「態の双対環」方式で思考実験してみました。
〇この「態の双対環」方式は、与えられた動詞語幹に対して4つの態の接辞:能動態/可能態/結果態/受動態に接合して態転換させながら意味を考察するというものです。
〇態の転換で→可能態→結果態→受動態になるにしたがい、能動性がなくなる方向へ変化していきますから、所動詞方向へ向かいます。その変化を実感していただけましたでしょうか。
さて、動詞の態を復習することになりますが、図をリンクしたので御覧ください。
(以前の図に動詞例を追記してありますから、実際に自他対応の動詞例を確認できます)
〇図の構造が示すように、自他対応の「語彙的態の接辞」が機能して自動詞/他動詞の対を生成するのが第一(図の上段)、それを文に活用するとき「文法的態の接辞」(図の下段)として機能する。
〇どちらの「態の接辞」も基本的には同じ成分です。概念として意味も機能も同じと思ってよいでしょう。
〇文法的態は自動詞、他動詞を区別せずに動詞語幹に接合します。
また、子音語幹・母音語幹どちらに対しても接合できるように「接合子音:(r/s)付き」の態接辞となっています。
(と提唱するのは「態の双対環」方式だけなので非常に残念です)
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