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2014/09/08

日本語動詞:自他対応解析表を読み解く

2014/09/08(月)

(1)自他対応の対グループ分けした動詞表を見る
(図表参照)
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思考実験の「態の双対環」方式をもとにしています。
〇記号類の説明:
・語彙的態の接辞として、次の4つを明示します。
①能動接辞:(r/s)u、語幹を含めた能動態動詞→d1と表記。
②可能接辞:eru、語幹を含めた可能態動詞→d2と表記。
③結果接辞:aru、語幹を含めた結果態動詞→d3と表記。
④強制接辞:asu、語幹を含めた強制態動詞→d5と表記。
(注:受動態接辞:(r/s)ar・eru、使役態接辞:(r/s)as・eruは文法的態として合成されるので、語彙段階では現れていない)
(注:ただし、結果態は文語体での受動態:aruに等価ですし、強制態は文語体での使役態:asuに等価です)
〇自他対応表の見方:
・(1)から(12)の対グループが表記されています。
・自他の態接辞と語彙例、自動詞文の補語構成:上段、他動詞文の補語構成:下段を簡潔に明示しました。
・グループ(11)、(12)は自他対応と異なりますが、接辞の変遷が見て取れるので載せてあります。

(2)自動詞構文と他動詞構文を見比べる

・自動詞構文の大多数が、
〇a・xがd1、a・xがd2の形式です。
・しかし、自動詞でも「aがxを・にd3」の構文で「を格補語」をとる動詞があります。
(1)、(2)グループと(10)グループの動詞です。
・前者グループは結果態自動詞です。
〇結果態:「A君が仕事を変わる」という構文は、「A君が仕事を変える」他動詞構文で表現する行動が順調に推移して到達した結果の状態をとても簡潔に表現する形式です。
〇ちょうど「aがxをd1、d2」動作が順調に結果を出したら、「aがxをd3」という結果態動詞構文で表現できるわけですね。(すべてのd3自動詞で成り立つかは不明。口語体では結果態の単独使用が少ないですからね)
・後者(10)グループのd1自動詞で「移動動作」を意味するものでは、場所や空間を「を格補語」で表す構文が多いのですね。

・他動詞構文の多くは、
〇aがxをd1、aがxをd2、aがxをd5の形式です。
・(11)グループのd2:seruは、
〇aがbにxをd2、aがbをxにd2 という構文となります。
・このd2:見せる、似せる は、相手に動作を強制するのではなく、相手に対して自分が実行する可能態他動詞ですね。
・変則ですが、当然の推論として:見るd1→見すd1→見せるd2 と思考したものです。
〇通常の強制態:見るd1→見さすd5→見させるd6→見ささるd7→見さされるd8 となるはず。
(d6:他人に動作させる使役態)

 以上、自他対応の動詞対を語彙的態の接辞として解析しました。
「態の双対環」方式では、自他動詞の対を産み出す語彙的態接辞を文法的態の接辞として全部活用しています。
〇自動詞・他動詞の構文対も考察しましたから、文法的態との整合性にもいくぶんの検証ができたと思います。

(3)日本語の動詞:基本のRU/SU、ARU/ASUを忘れないで!(追記:9月9日)

 上記の思考実験のなかで述べた推測・推論は、潜在意識として1年くらい前から感じていたことです。
今回、ブログに投稿したことで明確な概念が出来てきたようです。
〇多くの文法書:日本語の動詞の語尾が「る:ru」なら自動詞、「す:su」なら他動詞で有対ペアになるとある。
・つまり図表の(10)グループ:ru-su対応に属する動詞の対応概念に相当します。
・推測はこの概念に従って(6)、(11)グループにも「ru-su」対応の片鱗があると見たわけです。
 (昔の文語段階での原点では、「ru-su」対応だったかもしれません。原点からすぐに転換した可能性もありますが)
・この原点を取り上げて「動詞の姿がどうであったか」を話題にする文法書はないようです。
 もうひとつ、潜在意識が明確な概念にたどりついたのは、つぎのこと。
〇「態の双対環」方式で提案する概念:結果態接辞:aruと強制態接辞:asuの対応関係にも基本「r/s対応」の深層文法則に関わりがあるのだろう。(r/sが含まれているのだから)
・結果態と命名しましたが、基本は文語体での受動態接辞:aruと同じものです。
・強制態と命名しましたが、基本は文語体での使役態接辞:asuと同じものです。
〇深層文法では結果態、強制態をなんと解釈しているのでしょうか?
・結果態は「動作主の動作結果」にも「被動作主の被動作結果」にも使う動詞です。(r付き動詞にふさわしい)
・強制態は「動作を相手にさせる」他動強制的な動詞です。(s付き動詞にふさわしい)
・結果態:aruは「~ある、在る」に通ずると言えるが、強制態は何が根源でしょう。
・強制態:asuは「aRuに対極するaSuだ」と言う説明が一番の的確な答えかもしれない。
(いまのところ、これが潜在意識に対する明確な概念です。)
〇多くの文法書で結果態、強制態に触れていないのが残念ですね。


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