日本語文法:結果態の謎4
日本語文法:結果態の謎4
2014/11/16(日)
(9)動詞態活用一覧表
動詞態を学習するための仕上げ段階で覚えておくと、文法的な
整理ができる一覧表の例を示します。
(図表参照)
〇この一覧表では「態の双対環」方式に依拠した動詞態を記載し
てあります。
〇表の見方で重要な点は、それぞれの動詞態の語彙が「どんな登
場人物の相互関係でどんな動作を意味するのか」を考えながら
理解していくことです。
・動詞態は、4つの態(能動/可能/結果/受動)と3つの系
(能動:自力/強制:他力/使役:仲介)の形態があり、分析
的に動作を表現できる体系になっています。
・一覧表には動詞態に後続して別の助動詞接辞が膠着接合する例
を含めて示します。
・打消し:ない接辞と丁寧:ます接辞、ません接辞が後続する例
です。
〇結果態は文語体の言い切り型に相当する形態なので、後続して
接辞活用すると奇妙な感じの動詞になります。代わりに結果態
と意味合いが近い受動態での表現が使われる。
・「休まる」「始まる」「変わる」など語彙的態として通用して
いる「+ある」語幹動詞では、文法的態による動詞よりも比較
的広く態活用できますが、それでも強制、使役系では奇妙に感
じます。
・「さす:→ささる→さっしゃる、さっしゃれ」と音便変化して
結果態とも尊敬態への流用とも言える使い方もあったようです。
「歩かっしゃれ、食べさっしゃれ」など動作の強制と言うより
も「動作を促す」ときの言葉使いだったかもしれません。
(いらさる:→いらっしゃる、おおさる:→おっしゃる、と同類
ですが、「さっしゃれ」は尊敬態よりも動作促進態の意味が強
いかもしれません)
〇さて、態活用一覧表をこんな風に展開して提示したのはなぜで
しょうか。
・態の接辞は種類も限定されていますし、すべて基本は2音素の
短い言葉です。それが動詞と膠着接合して多くの語彙を生み出
します。受動態:結果+可能の接辞合成で3音、使役態:強制
+可能の接辞合成で3音、使役受動態:強制+可能+結果+可
能の接辞合成で5音、受動使役受動態:結果+可能+強制+可
能+結果+可能の接辞合成で7音です。
・日本語が膠着語ですから、意味のある機能音素は関係語彙と結
合してしまいます。自他対応の語彙的態の接辞が文法的態の接
辞として再利用されるのは当然のことでしょう。
・「態の双対環」の文法概念としては、「態の接辞」として形と
意味を整理して記憶に残すことを重要と考えています。
「態の接辞」が記憶にあれば、膠着語の言語運用に慣れた人な
ら迷わずに使いこなせるはずです。
・その他の接辞:動詞の五段活用、一段活用に膠着接合する接辞
、つまり、助動詞一般(形容詞的、形式名詞的なものもある:
活用接辞と命名すれば誤解がない)の接辞形態として一覧表化
できる。
それほど、日本語の動詞は規則動詞がほとんどなわけです。
・膠着語に適合した日本語文法が早く実現するといいですね。
(別項の「新文法への道」で考察したい)
(10)パソコン・キー入力で結果態を漢字変換するには
一覧表作成時の日本語入力で結果態を漢字変換しているときに
気づきました。
〇動詞態の動詞表記で漢字変換は大部分が支障なく変換されます
が、結果態については変換できないケースが多いです。
・可能態:問題なく変換可能で、「食べれる、考えれる」も「ら
抜き言葉だ」などとひねくれないで正しく変換されます。
・結果態:母音語幹の「食べ+、考え+」の場合は、そのまま
「たべらる、かんがえらる」で変換すれば、「食べらる、考え
らる」が出現します。
〇結果態:子音語幹の動詞では、「あるかれ」で変換→「歩かれ
」出現→「れ削除」修正し「歩か」→「る入力」し「歩かる」
とします。
・つまり、子音語幹の動詞を結果態で漢字変換するには、結果態
の先(已然形・既然形)→受動態の一歩手前までキー入力して
から漢字変換するのがコツですね。
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