日本語文法:動詞原形語幹+態の接辞2
2015/02/04(水)
日本語の動詞態を新しい視点から解き明かしてみたい。
〇思考実験の成果と覚しき新しい動詞態は、「動詞終止形(原形)語幹に「態の接辞」を接続して派生させる」ものです。
・原形(終止形)語幹であれば、すべての動詞を子音語幹の形態で扱えます。
・態接辞の形態も意味も明白になります。
・動詞を能動系、強制系、使役系の3種類に区分します。態接辞は基本4つだけで各系統の動詞に接続できます。
〇以上の説明をまとめた図表を作成しました。(図表参照)
(1)なぜ動詞原形語幹に態接辞を接合するのか
なぜ動詞の未然形に助動詞として態の接辞を接合しないで、動詞の辞書形・原形に接続するのか。
①動詞活用に必要な助動詞ならば、動詞語幹につなぐことを想定すればよいわけです。
動詞活用とは、未然・連用・終止・連体・仮定・命令へのつながり方ですから、変化しない部分が語幹というわけです。
(もちろん、子音語幹の動詞は辞書形語幹も同一形態ですから、差異がありません。母音語幹の動詞では原形語幹にすると最後の語尾子音が残ります)
②動詞の態活用は動詞活用ではなく、「態変化した動詞」を作り出すことです。
〇つまり、学校文法や国語辞典が明記している未然形に接続する助動詞という考え方は間違いなのです。
・江戸時代に読める、書ける、泳げるなど子音語幹動詞に+eru接辞を付加して可能動詞を作ったと言う。可能態になった動詞を可能動詞と呼ぶように「態変化した動詞」と認識すべきことなのですね。
・便宜上、可能態と呼んでいる「食べれる」、「見れる」、「来れる」なども正当な可能動詞なのです。
・また、結果態の「休まる」、「食べらる」、「見らる」などは結果動詞です。
・受動態の「休まれる」、「食べられる」、「見られる」は受動動詞です。
〇態変化した新しい動詞を作り出すために動詞原形と組み合わせるのだと気づいたのですが、さらに力強い文法学者の記述にも気づきました。
時枝誠記本:『国語学原論(上)』:岩波文庫:2007年3月16日第一刷
〇第2篇:各論:第3章:文法論310頁に
・辞より除外すべき受身可能使役敬譲の助動詞 という節項がある。
・論旨:「態の接辞」は他の助動詞と違い、詞(の中に、動詞の中に)入れる扱い方にすべきだ。
つまり、一体となった動詞として扱うべきだという考え方です。
--以前の記事を一部引用---
日本語文法:日本語をどう見るか6 から抜き出し:
金田一春彦:『日本語 新版(下)』に「文法の単位」の項目がある。
〇述語文節の例文:「行かせたから」に対して
・松下文法:「行かせたから」全体で一語。
・山田文法:「行かせた+から」と切り、二語。
・時枝文法:「行かせ+た+から」と切り、三語。
・学校文法(大槻文法、橋本文法):「行か+せ+た+から」と切り、四語。
金田一としては山田の案がいい、と言う。(現代語に限る。もし平安朝時代なら:行かせ+たるより、と言ったから時枝文法は古典には適うのだが、という)
---引用終り---
〇「態変化した動詞」を思考実験により実感したので、時枝文法の慧眼に驚くばかりです。
時枝文法は現代語にも適うのだ。
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