日本語構造伝達文法を学習する6
2015/06/05(金)
★「態の双対環」質問箱(3):
(3)「双対環」の形状なら、態と態の途中の部分に何か意味があるのか?
・二つの双対軸の相互関係は?
・態の起承転結に似たアスペクト的な意味だと説明しきれるのか?
〇「態の双対環」誕生の順序:
・誕生の経緯が直接「双対環」形態に影響したわけではないが、位置づけの確認として記述する。
①「表形式」シートで能動/結果/可能/受動の態形式を記入した。
②強制系、使役系も「表形式」で強制/強制可能/強制受動の態形式を記入した。
③能動系から強制系に態が変化するとき、接続子音に(r→s)交替が起きる法則に気づいた。
④能動系、強制系、使役系ともに原形態/可能態/結果態/受動態の「態の4基本形」で表現できると気づいた。
⑤態の簡略一行表記:原形態/可能態/結果態/受動態という文字列記述方式と、「態の双対環」図解方式で記述し始めた。
★「態の双対環」図:
・原形態-受動態:対向軸→縦軸にすえる。
・結果態-可能態:対向軸→横軸に、両軸を90度で直交させる。
・両軸を消して環状に各態を配置する:双対環の完成です。
〇前回後段に記述したように、対向軸の考え方を変えると環状でなく、
次のように棒状になる。
・原形態・可能態=結果態・受動態:→動作概念-結果概念の対向関係(棒状)
・原形態・結果態=可能態・受動態:→客観概念-主観概念の対向関係(棒状)
・環状と棒状の間は、個々の動詞の意味、概念により行ったり来たりがあるかもしれない。
・両軸の交差角度が0度~90度~180度の間を変化すると想定すればよい。(どんな場合でも「結果態-可能態の対向関係の存在」があるのだがら)
★このように「態の双対環」が環状であることは絶対必然の論理から導かれたものではない。ただ、棒状形態よりも美しいし、説得力があるのではないだろうか。
〇既述ブログ記事参照:
日本語文法:新文法への道3、の後段に「態の双対環」方式の態の対向関係について同様のことが記述してある。
★態によるアスペクト:可能態と結果態
〇中島文雄著『日本語の構造-英語との対比-』岩波新書:1987年05月20日のなかの、
「動詞の種類」には、自他対応の動詞が数多く説明されてある。
・例:
あぐ/あげる:行為動詞-あがる:自発動詞、
にがす:強制行為動詞-にぐ/にげる:自発動詞、
などの解釈では、上g・aruも逃g・eruも自発動詞に区分されてしまう。
能動も強制も使役も行為動詞でくくられてしまう。
〇動詞が示す意味で区分する方法では、態の形態素を正確に分類できません。直接に可能態、結果態で把握するのが一番です。
〇既述ブログ記事参照:
日本語動詞:自他対応解析表を読み解く2、 のなかで、
★フォーク型自他対応動詞のことが記述されてあります。
・つなぐ/つなげる/つながる、
・やすむ/やすめる/やすまる、
・ちぢむ/ちぢめる/ちぢまる、
など、自動詞・他動詞が一対一でなく、二股に分かれるフォーク型として例示されています。
〇「態の双対環」の立場からすると、フォーク型の最後段に受動態を付ければ直ちに「双対環」になると見るわけです。
・自動詞・他動詞にとらわれず、可能態、結果態のまま一覧化すれば、自ずからその動詞概念を把握できる。
・「双対環」形式は自然の姿のままですから、無対の自動詞・他動詞にも、また両用動詞にも適応できるのです。
〇可能態には行為動詞の色づきを、
結果態には自発動詞の色づきを
感じながら「態の双対環」を操作してみることを勧めたい。
次回に続きます。
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