日本語動詞:「態の双対環」演習
2015/08/22(土)
(1)「態の双対環」で演習する:準備編:
動詞の自他対応機能を作り出す態接辞から「態の双対環」方式を考案してきましたが、具体的に演習をしてみましょう。
(図参照:日本語動詞の態拡張2)
〇動詞の自他対応形式の①型から④型までが一つの「双対環」で自他動詞が派生しています。これを「自他同環」と呼称します。
〇他方、⑤型~⑪型は自、他が別々の「双対環」で態構成する形式ですから「自他別環」と呼称しましょう。
★最初に①型~④型自他対応の「自他同環の双対環」を演習することにします。
〇原形態:自動詞/他動詞
・自:休む/立つ:~が自。
・他:掴む/焼く:~を他。
〇可能態:休める/立てる。
・自可能:仕事が休める/子どもが立てる。
+他交替:手を休める/看板を立てる。
〇可能態:掴める/焼ける:
・他可能:手すりを掴める/魚を焼ける。
+自交替(自発):要領が掴める/胸が焼ける。
〇結果態:休まる/立たる:
・自結果:体がすっかり休まる/-。
+他交替(結果):-/-。
〇結果態:掴まる/焼かる:
・他結果:手すりに掴まる/-。
+自交替(結果):手すりに掴まる/-。
〇受動態:休まれる/立たれる:
・自受身:部下に休まれる/目の前に立たれる。
・自結果可能:今年は長く休まれたなあ/-。
+他交替(受動):-/-。
〇受動態:掴まれる/焼かれる:
・他受身:胸元を掴まれる/家を焼かれる。
+自交替(結果態からの可能):やっと吊革に掴まれたよ/-。
★以上、「自他同環の双対環」を考察しました。同環であるため、+自・他交替の態解説を含みましたが、「自他別環」の考察では交替項が現れないはずです。
★次に⑤型~⑪型「自他別環」動詞の例を抜き出して演習してみよう。
〇原形態:自他別環:⑤、⑩
・自:逃げる/移る:~が自。
・他:逃す/移す:~が~を他。
〇可能態:逃げれる/移れる:
・自可能:今なら逃げれる/席が/を移れる。
〇可能態:逃がせる/移せる:
・他可能:~を逃がせる/移せる。
〇結果態:逃げらる/移らる:
・自結果:-/-。
〇結果態:逃がさる/移さる:
・他結果:-/-。
〇受動態:逃げられる/移られる:
・自受身:猫がネズミに逃げられる/バイト店員に他店へ移られた。
・自結果可能:逃げられたら例の場所に集まれ/安全に移られるから勇気を出して。
〇受動態:逃がされる/移される:
・他受身:希少在来種は逃がされる/指定席を移される。
・他結果可能:-/-思いつかず。
★次に無対自動詞、無対他動詞の例を「双対環」演習してみよう。
〇原形態:無対自他:
・自:走る/死ぬ:~が自。
・他:食べる/見る:~を他。
〇可能態:走れる/死ねる:
・自可能:今日も走れる/死ねるものか。
〇可能態:食べれる/見れる:
・他可能:納豆が/を食べれる/映画が/を見れる。
→食べr(ar)eru/見r(ar)eruの(ar:結果)抜き形態です。
→書ける:書k(ar)eru/読める:読m(ar)eruの(ar:結果)抜き形態と同等の派生論理によるものです。
〇結果態:走らる/死なる:
・自結果:-/-。
〇結果態:食べらる/見らる:
・他結果:-/-。
〇受動態:走られる/死なれる:
・自受身:ネズミに天井裏を走られる/早くに親に死なれて、、、
・自結果可能:気は急いても走られない/子を残して死なれない。
〇受動態:食べられる/見られる:
・他受身:猫に魚を食べられる/失態を見られちゃしかたない。
・他結果可能:彼は超大盛りでも食べられるんだ/どこで品物を見られますか。
★可能態についての追加説明:
・可能態:書ける、読める・食べれる、見れる:(+eru接辞)と、結果可能態、つまり
・受動態の結果可能:書かれる、読まれる・食べられる、見られる:(+areru接辞)とは、表現範囲が異なっていますから並行して使える言葉であり、表現を豊かにするものです。
・また、可能態動詞の規則性も向上できるので是非とも推進したい文法則です。
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