日本語文法の論理
2016/02/12(金)
最近は日本語文法の再勉強を目指して、古い本を読み始めています。
もちろん、新しい本も読んでいます。
〇今月初めに『日本語のしくみ(1)~日本語構造伝達文法 S~』今泉喜一:揺藍社:
2015年12月24日発行 を著者ご自身からの謹呈部をいただきまして、読み終っています。
昨年、今泉研究会に希望参加させていただいていた時期に、先生は上記の「日本語構造伝達文法」の入門書を執筆なさっていました。入門書に載せるための演習問題を私にも渡され、解答例になるかも知れないから、まじめに考えて回答してと言われ、毎回の研究会で進捗中の下書原稿をいただいていました。
結果的には、私の興味が「態の文法」にしか向いていなかったので、回答も「態」の範囲でしかできませんでした。やはり、私の知識範囲がもう少し広がる段階を経験して、考察を仕直すことが必要かなと感じました。
★「態文法」に限定しても、さらに強力な説得力をもつ説明方法が必要だと反省しています。
〇日本語構文を捉えてこれを図形表示する方法には、(現状の私の知識範囲で述べれば)
①時枝誠記:『国語学原論』1941年:→詞辞入子型(風呂敷型)
②金谷武洋:『日本語に主語はいらない』2002年:→盆栽型(旗付き盆栽型)
③今泉喜一:『日本語構造伝達文法』2000年:→構造立体モデル(実体属性コマ型?)
④僭越ながら態に限定で「態の双対環」:2015年:→補述スタック型
などがあり、それぞれ独特の文法解釈を反映している。
特に、③『日本語構造伝達文法』には古代からの語形変遷(膠着語ならではの活用変化)を分かりやすく説明できる工夫・仕組が盛り込まれている。
★最近の読書から素晴らしい発見ができたので、次に記します。
・『展望現代の日本語』佐藤武義・編著:1996年、通読済み。
・『日本語の歴史』山口明穂・他3名:1997年、通読済み。
・『国語の論理 古代語から近代語へ』山口明穂:1983年、通読中。
・『日本語の論理 言葉に現れる思想』山口明穂:2004年、通読中。
特に通読中の『国語の論理』、『日本語の論理』に感心しています。
山口本によれば、「ひらがな解析」手法に留まる立場のようで、研究手法は国学本流を歩まれている。西欧語文法にはめ込むのではなく、日本語の論理から生まれるべくして生まれた構文を日本語の論理で解釈するという手法を貫いている。
★山口本には、時枝誠記の詞・辞の対向概念(詞=自立語・客観概念/辞=付属語・主観概念)を肯定する見解もあり、また反対に、受動・使役の接尾語を詞あつかいではなく辞あつかいを優勢論理として薦める見解もある。
(詞辞の対向概念そのものよりも、主観概念による論理の包括力増大を肯定するようだ)
・残念ながら山口本には「構文論理の解釈図解形式」での説明がないので、自分で空想図解実験をしていたら、新しい図解がひらめいた。
・前記書籍の図解「①~③、④までを統合する」ような新しい図解の糸口ですね。
★閃いた図解形式を実際描写するのは今後に回すが、この概念の素片を記せば次の如し。
(最近、古文の解説を読んだりの影響か、思わず如しが出てきます)
★日本語の構文解釈、文法の理解には、詞の客観投射面と辞の主観投射面の2面(最低でも)の関わりの中で説明、解釈されるべきであること。
(西欧語の文法が客観投射面でしか解釈しないことに、日本語をはめ込んではいけない)
・投射面の意味は「構文を伝えるために映し出すべき映写幕面」を類推したもの。
日本語の場合には「表層面に客観概念の投射面があり、下層面に主観概念の投射面が機能している」という構文構造であることを深く理解に達するといいですね。
(これは「建て前」と「本音」の2面があるという意味ではありません)
つづく
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