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2016/09/08

日本語:「態文法」を生活に役立てる

2016/09/07(水)

 数日前の出来事でしたが、振込め詐欺の一種に遭遇しました。携帯電話にメール受信があり、
『動画有料サイトの入会料が未払で一年経過している。裁判提訴する。一応、事前の通告をする。
くわしくは×××相談窓口:03・・・・・・に問い合せよ』とある。
私の携帯電話はめったに受信することはないし、ほとんど目覚し時計みたいな使い方なのだ。
不審に思い、珍しく携帯電話でその相談窓口に電話した。
 「携帯メールにこれこれのサイト料金の請求があったが、憶えがない事だ」、
 「一年前に入会したことになっている。携帯でなくパソコンからでもアクセスできるんです」と若い男
の声が返事をしてくる。
残念ながらまだこの時も「詐欺」だとは思っていなかった。

 なにを思っていたかと言うと、「サイトにアクセスした憶えがない」、「証拠があるのか」「サイト画面
は何か」ということを明確にすべきだということ。最初の前提条件をはっきりさせることだ。
5、6回の質問で相手の返答に説得力がないことを内心で確認できた。
「説明してもしかたないので、訴状が届くから待っていろ」相手は捨てぜりふ。
しばらく自分の頭の中で反芻しながら、訴状が来たら逆に警察へ訴えてやろうと思い至って、はじめ
て「これが詐欺の手口だっ!」と気がついた。

 以前にも「おれおれ詐欺」の電話がかかったことがある。
私の電話応答では、相手の「息子のおれ」に対して「誰?」と返す。2度目も同じに繰り返す。
相手は3度目まではさすがにやろうとしない。
だまそうとする人は、3度目には諦める。
だまかそうとする人は、3度目も繰り返す。先を急ぐ。
だまされる人は2度目で「どうしたの?」という。
だまかされる人は3度目に「なにがあるの?」という。
だまかそうとする人は先へ先へと嘘を重ねる。
だまそうとする人は反応を確かめようとするが、無理押しはしない。
先へ進めば、余計に不確定要素が増えるだけ、相手有利になって相手の思う壺にはまる。

 「態の双対環」で強制・使役系を考えているとき、
・寝さす、寝せる、寝かす、笑わす、笑かす(?大阪方言)、だます、だまかす、だまくらかす、散らす、散ら
 かす、はぐる、はぐらす、はぐらかす、などの単語に接続する[asu]と[kasu]の接辞を見てきた。
だまそうとする人[asu]は嘘できっかけを作るが、反応の仕方までは誘導しない。
だまかそうとする人[kasu]は嘘をいくつも重ね、反応を誘導しようとするだろうと推測する。
(接辞、単語の意味を斟酌してそう思う)
〇寝さす、笑わす、だます:対他への他動詞(相手の自律動作を意図的に誘導する)[~asu]
〇散らす、はぐらす:対物他動詞(意図を隠して自律動作をするような、、、)[~asu]
〇寝かす、笑かす、だまかす:対他への他動詞(他の意思を忖度せずに誘導動作をする)[~kasu]
〇散らかす、はぐらかす:対物他動詞(他の迷惑を忖度せずに自律動作をする)[~kasu]
(寝さす、笑わす、は強制態なので、だますと同列ではないですが、asuつながりの考察です)

 態文法が現実問題に役立つこともあるはずなので、これもそのひとつになるだろう。
歳を取ってきて判断速度が遅くなってきているし、複数の判断を同時にこなす性能も落ちているのを
感じるから、余計にとっさの判断を求められるときの身構えをしっかりしなくてはと思う。
「詐欺」に対しては第一段の判断が大切だが、生活の場にたとえても、二段、三段の判断に進んだとき、
一、二、三段(全部で8個の可否判断)を見直して後戻りできるだろうか。
やはり、ある程度の段階で我に返る訓練も必要ですね。
(用語:詐欺に修正)

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