日本語文法:名詞述語文で「基本文型を二階建て」にする
2016/10/26(水)
ようやく『日本語動詞 態文法を再生する』のネット出版、販売が開始となりました。
どれだけ反響が得られるのか期待と不安があります。が、時間がかかるでしょう。
態文法を考察していると、動詞活用、助動詞活用にも思考が向かいます。
なかでも、動詞と助動詞の接続関係が気にかかり、助動詞接辞の形態を見直して
います。
そこで、今回の表題に関わる既存記事を読み直したのです。
たとえば、
日本語文法:名詞述語文と判断措定、 の中段(4)項に、「~名詞述語文が3種類
の意味:同定指定、措定、判断措定・端折り、を持つ。構文が完結盆栽型の場合と
連結熊手型の場合を提起」してある。
判断措定の機能と連結熊手型の機能に注目しました。
〇その結果、新たな視点を見つけました。「基本文型の二階建て構造」です。
基本文型に名詞述語文がつながり、二階建構造になる:
(文の最後に名詞述語文を付加して発話者自身の判断措定を示すためです)
①動詞述語文+名詞述語文:
「太郎は明日大阪に行く+(それが)予定・だ」:体言締め文(人魚構文)も二階建構文です。
「太郎は明日大阪に行く+(これ本当)そう・だ」:助動詞接続も二階建ての一種でしょう。
(連体修飾の一部は関係代名詞的に扱えるが、本来何も要りません)
②形容詞述語文+名詞述語文:
「太郎は毎日忙しい+(そういう)仕事(ぶり)・だ」:
③形容動詞述語文+名詞述語文:
「太郎は今日も元気な+の・だ」:
④名詞述語文+名詞述語文:
「太郎(の注文)はウナギ+だ」、「姉(の第一子)は男+です」:二階建構文です。
「太郎はウナギ、+(それが注文)・だ」、「姉は男、+(それが最初の子)・です」
(発話の場面に依存するが、もともと名詞文は二階建構文です)
「太郎は発明好きの社長+です」:です、だ、の意味は構文の前部を統括する機能
を含みます。
〇判断措定の辞:だ/である/です。
名詞述語文が文末に、です/である/だ、をつけて判断措定を締めくくる。
この判断措定接辞(断定辞)は、西欧語のコプラ:繋辞の機能よりも幅広く解釈で
きるもので、構文の前部全体をまとめ上げて措定定着させる働きがある。
つまり一つの構文のまとめ上げをする。
構文を聞く人も「だ/である/です」を聞いて、全体の意味を反芻することができる。
名詞述語文の二階建構造を考察していくと、連体修飾機能との類似を整理しなけ
ればならないでしょうが、簡明な文法を求めるとしたら、「二階建構造」からの調査
研究も選択肢に入れてほしいです。
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