態文法:態接辞の意味を理解する(3)
2016/11/20(日)
3.膠着語での接辞連結
日本語研究分野での資料、書籍を入手した。
①清瀬義三郎則府:『連結子音と連結母音と~日本語動詞無活用論~』:
1969年(PDF入手可能)、
②清瀬義三郎則府:『日本語文法新論-派生文法序説-』:桜楓社:
1989年2月、を走り読みしたところです。
>清瀬本に曰く、
・日本語は膠着語であり、用言が活用すると解釈するのは間違いだ。
(体言、用言の)語幹に接尾辞が順次連結して派生する言語形式だ。
例:書かせられたがりますまい:従来文法では動詞、助動詞の活用という。
派生文法:kak-[*s]ase-[r]are-[*i]tagar-[i]mas-[u]mai
([連結子音][連結母音]を接辞側に付す。[*x]は無音化の意要約)
・語幹+[連結音素]接辞語幹+[連結音素]接辞語幹+[連結音素]接辞語幹
+[連結音素]接辞語幹+[連結音素]接辞終止という膠着形式なのだ。
<要約おわり。(「連結子音」、「連結母音」を簡略して「連結音素」と要約)
〇「態の双対環」方式なら:([挿入音素]、[*x:無音素]を語幹側に付す)
・上例:kak[*s]-ase[r]-are[*i]-tagar[i]-mas[*r]u-mai
と表記するのも可能か。(mas[*r]uは「ます」の終止形)
〇清瀬派生文法は、態だけではなく日本語の全品詞に対する新文法が含まれ
ている。膠着語の一貫性を生かした「構文解釈、文節の形態素解析」などが
容易になるから、自動翻訳などに応用されている。
〇清瀬派生文法の素晴らしさを実感する人が今現在どれほどいるのだろうか。
教育現場で使えるように体系化(教材作成)が必要なのだが、継続した研究
が広がっているのだろうか。
当ブログでは、動詞から態動詞へと派生する段階に注目してきましたが、
上例に対して、今までなら精確さを求めて、
・書k[]ase[r]are[]tagar[i]mas[]u・mai
・書k・ase[r]are・tagar[i]masu[]mai
のどちらかで記述するだろう。
例文のなかには、態派生2つと連用形派生2つ、終止形と終結派生という、種
類の違う接辞連結が連続しています。
〇連結が、語幹[挿入音素]接辞語幹[挿入音素]接辞語幹と繰り返し、最後は
終結接辞で完結する。この例では終止形構文のあとに否定推量「mai」接辞
で終結するという副文連結構造になっている。
・派生文法でも説明がむずかしいのは、文法的な多用な機能が、語幹[挿入音
素]接辞の形態に内包されているのだと印象づけることでしょうね。
従来文法より優れている点が「同一連結法則」で説明できる点ですから。
・清瀬文法を参考にすれば、[連結音素]→[挿入音素]と呼び直すとか、それ
を接辞側につけるか/語幹側につけるかの違いがあっても、すべての品詞
の膠着連結が「同一連結法則」によるのだと得心できて本当に心強い。
今回は横道にそれました。ここまでにします。
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