態文法:発見!挿入音素と機能接辞の同源性
2017/05/17(水)
もう一つ大きな発見ができました。
最近、態文法:形状動詞の派生と挿入音素、で記述したように、
挿入音素の考え方を整理しています。
〇そこで、発見しました。簡略的に記載する。
->記事引用:態文法:形状動詞の派生と挿入音素、(下地を記述)
「態の双対環」文法で、子音の[挿入音素]に採用したものは、
[r]:自律動作を意味する動作接辞に前置させる。(自他動詞ともに適用)
[s]:律他動作を意味する動作接辞に前置させる。(強制、使役に適用)
[y]:自分他人ともに動作を促す接辞に前置させる。(前望、意向に適用)
[k]:有情他者に対し忖度しない動作表現にするため接辞に前置させる。
(例:寝[k]as[-]u /騙す・騙[k]as[-]u /笑わす・笑[k]as[-]u /はぐる・はぐら
す・はぐら[k]as[-]u /散らす・散ら[k]as[-]u ・散ら[k]ar[-]u 、など結果状態
のみを求める如きの動作)などがある。
他に音便表記の[I][Q][N][¥]、母音の[a][i]の[挿入音素]を定義した。
<-引用おわり
★機能接辞と挿入音素との同源的完全一致の姿を発見できたのです。
・結果態接辞:-ar-: ・・・・ 挿入音素:[r]:自律動作(自他動詞ともに適用)
・強制態接辞:-as-: ・・・・ 挿入音素:[s]:律他動作(強制、使役に適用)
・古語可能接辞:-ay-: ・・・ 挿入音素:[y]:互律動作(前望、意向に適用)
・古語ク語法接辞:-ak-: ・・ 挿入音素:[k]:無律様態(形状動詞、無律動詞)
〇D[-/y]ou :書こう、見よう:主体相互に自律動作を呼びかける用途に適する。
〇K[k]a(r[0i=Q]ta :美しかった、強かった:無律(意思なし)の動詞化。
〇D[-/r]ak[-]u :曰く、すべからく、老いらく:無律無意思での動作様態。
・笑わす:他が意識して笑うように仕向ける。に対して無律状態を想定した上
・笑かす:wara[k]as[-]u ←笑わかす:waraw[-]ak[-]as[-]u:無意識の笑いを仕掛ける。
・たぶらかす:←tabur[-]ak[-]as[-]u ←tabur[-]ak- ←tabur[-]u:たぶるを無律化。
・思惑:←omow[-]ak[-]u ←omow[-]u:思うを概念外延無律化。
★現代では、挿入音素:[y]は [-/y]ou の形態でしか使われないようだが、
・探そう:sagas[-/y]ou 、渡そう:watas[-/y]ou 、写そう:utus[-/y]ou 、
・例外で、×でそう ○でしょう:des[y]ou 、ましょう:mas[y]ou、に対しては発音識別が
優先されている。(出そう、増そうと区別できる)
★挿入音素:[k]には、形状動詞化(ク活用)や動名詞化(ク語法)の機能接辞とし
て古来より研究対象になっていたが、明解な解釈ができないでいた。
〇当ブログ「態の双対環」文法では、すべての用言が接辞で派生すると徹底して
考えた。しかも、基本方程式に「語幹+[挿入音素]+接辞」を据えたので、適切な
挿入音素を設定すれば一般式(子音語幹/母音語幹どちらにも対応する式)表現
が可能となります。
〇形状動詞の一般式=「形容詞語幹+[k]+接辞」となるはずだと考えて、思考実
験した。その上で、挿入音素:[k]とク語法接辞:-ak-の意味が深層でつながっ
ているのだと見通すことができた。
★用言を使い動作などを表現する際に、動作の意図や対向方向を組み入れた発話
であると理解しやすい。
・子音語幹用言では、[子音の挿入音素]を発話しないから機能接辞のみにより
動作の律仕方を感じとることになる。
・母音語幹用言では、[挿入音素:r/s/y/k]の一つが発話で選択され、機能接
辞と組み合されて動作の律仕方を感じとる。
〇律仕方とは、
・[r]:自律動作→動作主体自身が意図し制御する動作。自動詞と他動詞。
・[s]:律他動作→主体が対他へ自律動作を指示する行為。対物なら主体の他動詞。
・[y]:互律動作→主体または対他に共に自律動作を呼びかける行為。
・[k]:無律動作→動作制御のない事象状態(形容詞動詞化など)を派生する。
特に、D[-/r]ak[-]as[-]u、D[k]as[-]u、の形式で「対他の自律を無律化する」意図を含んだ誘導他動
詞が派生できる。
(笑かす:wara[k]asu ←waraw[-]ak[-]as[-]u ←waraw[-]as[-]u ←waraw[0]u 寝かす:ne[k]as[-]u←ne[-/r]u )
〇機能接辞や[挿入音素]で動作・行為の律仕方を表現する言語は世界中に各種存
在するのではないだろうか。日本語もそういう機能を持った言語である。
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