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2017/07/14

態文法:動作を律する法則

2017/08/5(土)
追加投稿で補完しましたので、ご一読ください。
態文法:動作を律する全法則

2017/07/14(金)

 (態文法:発見!挿入音素と機能接辞の同源性で記述した肝心点を詳述する)
 動作事象をどのように把握して態動詞を派生するのか、考え方を整理した。
1. 態動詞の派生一般式=動詞語幹:D+[挿入音素]+態接辞(+[r]u)
〇能動系「態の双対環」での律しかた:
①原形態:D[-/r]u :挿入音素:[-/r]:自律動作の意(自・他動詞での自律動作:客体の受律・受けるだけの規律を含む)
②可能態:D[-/r]e[r]u :可能接辞:-e- :互律動作の意(なる/なす両義。已然、動作完遂に尽力の意味)
③結果態:D[-/r]ar[-]u :結果接辞:-ar- :自律・受動の両義(動作結果あり/なすの意。)
④受動態:D[-/r]ar[-]e[r]u :受動接辞:-ar[-]e- :自律・受動・互律の意(動作結果事態への態応の叙述)
〇強制系「態の双対環」での律しかた:
⑤強制態:D[-/s]as[-]u :挿入音素:[-/s]:律他動作の意(主体指示命じ、客体服従的自律動作をする)
 →強制接辞:-as- 動作を他者にやらすの意(他者の自律動作としてやらす)
・強制可能態:D[-/s]as[-]e[r]u, 強制結果態:D[-/s]as[-]ar[-]u, 強制受動態:D[-/s]as[-]ar[-]e[r]u, :律他動作に互律、受動、の意が連結される。
〇使役系「態の双対環」での律しかた:
⑥使役態:D[-/s]as[-]e[r]u, :使役接辞:-ar[-]e- 律他・互律(自律)の意(他者にやらせ、気も使う。 隣接するなら律他互律で客体を手助けして完遂する意となる。自律性が強い動詞です)
・使役可能態:D[-/s]as[-]e[r]e[r]u, 使役結果態:D[-/s]as[-]e[r]ar[-]u, 使役受動態:D[-/s]as[-]e[r]ar[-]e[r]u, :律他互律・受動の意が連結される。(使役態は近世になって誕生した用法で、-e[r]e[r]u- 二重可能態も使役態の自律性の強さから、使役だけ特例的に許容される)

★互律動作の概念を整理する。
〇互律動作(自律動作との連結:複主語構文ができる)
 已然の概念を持つ可能接辞:-e- は、自律動作が完遂進行する状態を呼び起こすから、主体の動作進行と同時に事象の進行(客体の進行)の両面を描写することになる。(複主語構文は動作の互律だけでなく、対象の属性、状態の説明のための形式「~は~が~だ構文」として多種類のものがある)
例:彼は英語が話せる。彼は旅行が行けるようになった。
  (互律動作だから、複主語構文が可能になる)
例:彼は納豆が食べれない。(彼は納豆が食べない、とは言えない)
〇互律動作(律他動作との連結:自律動作の付加と見なす)
 律他動作に已然が連結しても他者の已然でなく、主体自身の已然に見立てられる。
例:彼は生徒に英語を話させれる。
 (可能なのは彼であり、生徒にも英語にも態表現を変えるほどの手助けが届かない)

2.その他の態接辞や[挿入音素]から派生する動詞
〇互律動作に近い意味を持つ:
・前望態:D[-/y]ou :挿入音素:[y] :自律動作だが、あえて互律動作に立てる(呼掛け誘導効果)
 →古語可能接辞:-ay- の名残り(行こう、見よう、など相互に自律呼掛けできる)
 -ay- は、古代では自発の可能動詞:見える、聞こえるなどの生成接辞であり、-ou- は、-au-:合うが原意で、接辞としては「条件を合わせて継続して繰り返す」ことを表す。例には叩-au- 戦う、語-au- 語らう、住-au- 住まう、などの生成接辞である。
(重要)-ay- 接辞から、[-/y] の挿入音素の要素音にも転用されたものと推測する。

〇無律化するための接辞、挿入音素を導入する動詞
 同様に [k] 挿入音素についても、-ak- 古語ク語法の接辞が無律化接辞、および無律化態接辞に転用されたと推定する。 
①形状動詞の一般式=形容詞語幹:K+[挿入音素:[k] ]+ar形式接辞で派生する。
・終止形:K[k]0i :haya[k]0i /tanosi[k]0i /nozomasi[k]0i :早い/楽しい/望ましい:無律化の性状陳述。
 →挿入音素 [k] は当ブログで提起した。律する動作でなく性状・事象の概念化。
(形容詞の述語律は3種類:感情律/属性律/感情・属性律。 形容詞語幹の意味で決まる)
・未然、連用形:K[k]u /K[k]u[-]te /:haya[k]u[-]na[k]0i (速く・ない)
・仮定形:K[k]ere[+]ba :早[k]ere[+]ba /楽し[k]ere[+]ba , 
・現在形(九州弁):K[k]a(r-):早かぁ、楽しかぁ、(共通語:終止形)
・完了形:K[k]ar[0i= Q]ta ==K[k]a(r[0i=) Q]ta :早かった、楽しかった、
・前望形:K[k]ar[-/y]ou :早かろう、楽しかろう。

②動詞の無律化名詞の一般式=D[-/r]ak[-]u (古語から廃れて久しいが、、、)
・曰く:iw[-/r]ak[-[u, /老いらく:oyu[r]ak[-]u, 
③動作を無律化したのち再動詞化して律しかたを変化させる。
・無律他動詞化の一般式=D[-/r]ak[-]as[-]u (現在でも使われる)
  無律事象動詞化の一般式=D[-/r]ak[-]ar[-]u (現在でも使われる)
・散る→ちらく→散らかす:tir[-]ak[-]as[-]u (無律の他動詞化→自律他動詞)
 →散らかる:tir[-]ak[-]ar[-]u (無律の出来事陳述化)
・笑う→わらわく→笑わかす:waraw[-]ak][-]as[-]u 、
 →笑かす:wara(w[-]a)k[-]as[-]u, →wara[k]as[-]u, (省略が働き、-ak- が[k] に転換した)
・寝さす→寝かす:ne[k]as[-]u (赤児には無律他動詞で寝かせるのが妥当だ)。

以上。

 

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