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2017/08/26

態文法:解説5:態動詞に律仕方あり

2017/08/26(土)

 膠着語である日本語の動詞(などの用言)は、動詞「語幹」に「機能接尾辞」を順次
「連結していく」ことで新しい意味を「派生」する。
〇「派生一般式」は、動詞語幹+[挿入音素]+機能接辞語幹+、・、・+[挿入音素]+
 統語接辞で表現する。

★態動詞の「動作の律仕方」を解説する。
 主要な態動詞を選択して解説する。前回、律動作の名称を各系で同一化したの
で、主要でなくとも同じ律名称は同じ意味に応用解釈してほしい。
〇「主要態動詞の律仕方」を選ぶ。
・能動系については、全部が大事な律動作。
①原形態:D[・/r]u:★「自律動作」(自他動詞ともに)自己意思で動作する。
②可能態:D[・/r]e[r]u:★「互律動作」自律で対象の動作法則に従い動作する。
③結果態:D[・/r]ar[]u:★「果律動作」動作結果に対する動作叙述。
④受動態:D[・/r]ar[]e[r]u:★「果互律動作」動作結果に応じる動作叙述。
・強制系については、原形態(基本強制動詞)を選び解説する。
⑤原形態:D[・/s]as[]u:★「律他動作」他者にD動作をやらす。(指示、命じる)
・使役系についても、原形態(基本使役動詞)を選び解説する。
⑨原形態:D[・/s]as[]e[r]u:★「使役動作」←「律他互律動作」と同じ。
 (律他互律の互の意味は、被律者と主体律者の間で、律者に戻る動作だから、
  主体が手助けや、介助、心理的な補助動作などをする意味となる)

★「律仕方」の基本視点は、動作の意図、意思の在り場所、方向の見立てにある。
〇「原形態の律仕方」:自律(自・他動詞)/律他(強制)/律他互律(使役)
①「動作・行動」を→自分みずから行う:自律動作。(自・他動詞で区別しない)
⑤「動作・行動」を→他者に自律動作としてやらす:律他動作。(1を命じて10をさ
  す)
⑨「動作・行動」を→他者に自律動作としてやらせる。心配なら手助けする:律他
  ・互律動作。(1~3を命じて10~8をさせる)
〇強制「さす、やらす」と使役「させる、やらせる」は文語体の時点で、下二段活用
 (させ:未然・連用、さす:終止)であったから、下一段化(させる:終止)で態動詞
 :させる、やらせる、に移行しやすかった。
★使役態は強制態に可能態接辞-e[r]u-を付加した形態であり、意味も上乗せ
 するのが文法則である。
(同時に、強制態接辞-as-は、自他交替接辞として単語派生に使われているから
、動詞語彙の財産になっている。文法的にきちんと解釈するのがよいはずだ)

〇「可能態の律仕方」:互律動作(文法的には已然形の概念が深層にある)
②「動作・行動」が→すでに行われる状態である。(態でもあり、相でもある)
 ・「動作・行動」が→自律の対物動作ならば、立つ→立てる:自他交替。
 (他動詞へ交替後の力量配分は客体1、主体9の労力を継続する他動詞となる)
 ・「動作・行動」が→自律の対物動作ならば、割る→割れる:他自交替。(自発)
 (自動詞へ交替後の力量配分は主体1、客体9の物理法則に従う。所動化)
 ・「動作・行動」が→自律の対自解釈ならば、立てる、割れる:自他可能表現。
 (自律で可能を表現する場合、主体5、客体5程度の物理条件が必要か。所動化)
〇互律動作とは、自律主体は意思で実行可能と感じる、対象客体は動作を受けて
 物理法則に従い状態変化する。
★「可能態の意味」の深層は、仮定形:D[・/r]eba:の確定条件に対して肯定的に
 呼応して、D[・/r]e[r]u:と表現する状態なのだろう。
例:書けば→書ける、読めば→読める、見れば→見れる、食べれば→食べれる
 のように解釈するのが一番話しの筋が通る。(動作相は可能状態の表出、動作性
 は失っている)
〇互律動作とは、自律動作で書ける、読める、見れる、食べれる、立てる、割れる
 の行為だけでなく、書く・読む法則・見る・食べる・立つ・割るの物理的法則、条件
 に従った矛盾のない状況との相互律関係にあることが不可欠である。
例:彼は英語が話せる:彼と英語とが言語法則に従った互律動作ができる。
 ・窓のガラスが割れた:ガラス(と自然と)が物理法則に従って互律動作した。
〇使役態の律他互律動作は、他者に律他動作を指示し、あわせて他者の動作法則
 ・力量を見計らって助勢するという互律動作で動作性が残る。
 (いま流行りの忖度と解釈するなかれ。昔ながらの物の道理:物理法則に従った
 互律動作である)

〇「③結果態の律仕方」:果律動作、「④受動態の律仕方」:果互律動作、
 (結果律が基本で果律と簡略化した。動作性は弱く、所動性になる)
③「動作(結果)」が→目の前に「ある」:結果態:D[・/r]ar[]u:
 (文語体の受動態だった)→★自・他動詞の「動作結果」が周囲を律する。
④「動作(結果)」が→目の前に「ある」「あれる」:受動態:D[・/r]ar[]e[r]u:
 (現代口語体の受動態である)→★自・他動詞の「動作結果」が周囲を律する。
〇文語体の結果態は、下二段活用(書かれ:未然・連用、書かる:終止)であったか
 ら、下一段活用(書かれる:終止)で、書かれる:が受動態動詞の形態となって、
 現在の口語体で使われる。
〇受動態は結果態に可能態接辞-e[r]u-を付加した形態となり、意味も上乗せ
 するのが文法則である。(ただし、「ある」は状態動詞だから、動作可能より已然
 概念に重点がある)
(同時に、結果態接辞-ar-は自他交替接辞として単語派生に使われているから
、動詞語彙の財産になっている。文法的にきちんと解釈するのがよいはずだ)
★「受動態の果互律動作」の基本は、「動作の結果が出ている、在る、有る、ある」
 状態で主体、客体がどう関わるかを叙述するものである。
・動作結果が果互律動作源だから、自動詞であれ、他動詞であれ物理法則に従う
 範囲で主・客へ関わりを持つ。
・「動作結果」の捉え方に多様性があり、継続的な「動作実績」「動作習慣」などを
 「動作結果」と見なした使い方もできる。また、「動作を見通し予測した結果」を
 「動作結果」に見立てることもできる。
 (一方、可能態は「動作時点での互律動作」を表現するだけである)
例:(直接受身、間接受身、実績・習慣可能、自発・事象可能、尊敬・他者発話、など
 個別に区分した例文は巷に溢れているので、省略する。もし興味があれば、各例
 文が「ある」、「在る」、「有る」、「受ける」のどれに合うのか試験なさることを勧
 めます)

 次回は解説の最後を目指して、関連項目を自問、に挑みたい。
・強制系、使役系の「態の双対環」2組両方を常に併記するのは何故か?
・能動系にも対になる別組の「双対環」があるのか? 検討を記述する。

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