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2017/08/14

態文法:解説2:学校文法最大の欠陥点

2017/08/14(月)

 膠着語である日本語の動詞(などの用言)は、動詞「語幹」に「機能接尾辞」を順次「連結していく」ことで新しい意味を「派生」する。
〇「学校文法最大の欠陥点」は、「ひらがな解析」で動詞派生を不精確に解釈するから、その中でも、最大の悪影響が「態の接辞連結」の解釈において発生する。
実例1:受動態一般式:D[-/r]ar[-]e[r]u, が精確な連結解釈である。
 読まれる:YOM[-]ar[-]e[r]u, 見られる:MI[r]ar[-]e[r]u, 両者ともに接辞 -ar-, -ar[-]e[r]u-, が正しく解釈できる。
実例1:学校文法では、未然形に受動の助動詞を連結する、と解釈して、
 読ま+れる:よま・れる、:-a:未然形にあてる/reru:助動詞で残る。
 見+られる:み・られる、:-rareru:助動詞で残る。
 (当然、助動詞としての原意は不問になるが、受身、可能、自発、尊敬の用法だけを説明する。
 同一意味の助動詞が2つの形態:異形態で解釈されるのは不自然だが、構わず記憶させられる)
実例2:使役態一般式:D[-/s]as[-]e[r]u, が精確な連結解釈である。
 読ませる:YOM[-]as[-]e[r]u, 見させる:MI[s]as[-]e[r]u, 両者ともに接辞 -as-, -as[-]e-, が正しく解釈できる。
実例2:学校文法では、未然形に使役の助動詞を連結する、と解釈して、
 読ま+せる:よま・せる、:-a:未然形にあてる/seru:助動詞で残る。
 見+させる:み・させる、:-saseru:助動詞で残る。
 (当然、助動詞としての原意は不問になるが、使役の用法だけを説明する。同一意味の助動詞が2つの形態:異形態となるのは不自然だ)
実例3:可能態一般式:D[-/r]e[r]u, が精確な連結解釈である。
 読める:YOM[-]e[r]u, 見れる:MI[r]e[r]u, 両者ともに接辞 -e- が正しく解釈できる。
(本来、可能態は子音末/母音末語幹の両動詞で派生可能なのです)
実例3:学校文法では、-e-音の助動詞を「未然形に連結と言えない」から、可能態として扱えなかった。
 読+める/読め+る:区切りもできず、一括で「読める:可能動詞」と見なした。
 見+れる:区切りが的確にできるのに、なぜか態動詞と見なさなかった。
 (学校文法では-e-、-e[r]u-の接辞を説明できないでいる。文語時代では、-e- 音を已然形にあてて使いこなしたから、
 下二段、下一段の動詞派生ができたはずだと推測する)

〇「学校文法の欠陥点」でも、機能接辞の語頭が「子音始まり」であれば、悪影響が現れない。
実例4:打消派生の一般式:D[a/-]na[k]0i, が精確な連結解釈である。
 読まない:YOM[a]na[k]0i, 見ない:MI[-]na[k]0i, 両者ともに接辞 -na[k]0i- が正しく解釈できる。
実例4:学校文法の「ひらがな解析」は、子音始まり接辞を分断した解釈にならないので、接辞の異形態が生じない。
(未然形の付加音[a/・]が暗黙に作用する)
 読ま+ない:よま・ない、見+ない:み・ない、(「ない」同一形態で意味も分かる)
実例5:希望派生の一般式:D[i/-]ta[k]0i, 
 読みたい:YOM[i]ta[k]0i, 見たい:MI[-]ta[k]0i, 両者ともに接辞 -ta[k]0i- が正しく解釈できる。
実例5:学校文法の「ひらがな解析」は、子音始まり接辞を分断した解釈にならないので、接辞の異形態が生じない。
(連用形の付加音[i/・]が暗黙に作用する)
 読み+たい:よみ・たい、見+たい:み・たい、(「たい」同一形態で意味も分かる。ただし以下の代償が必要だ)

〇「学校文法の派生法則の功罪」
 学校文法の「ひらがな解析」は不精確であるが、実例4、5のような動詞派生の場合では結果的に悪影響を生じない。
(動詞語幹語尾の変形や活用語尾に食いちぎられてしまうことが起きているが、接辞語頭は異形態を避けられる)
実例6:学校文法で用いる「動詞活用表」を詳しく調べる。
 動詞派生を(精確な)一般式で表記する。(未然・将然・連用・終止連体・仮定・命令)
★D[a/-]na[k]0i, D[-/y]ou, D[i/-]mas[-]u, D[-/r]u, D[-/r]u, D[-/r]e[+]ba, D[-/r]e(yo)/(ey)o, 
  ↑[挿入音素]+接辞の形式で記述してあるので、子音・母音語幹の両動詞に対応した「活用表」である。
(つまり、四段活用も一段活用もこれ1行で示せる)
・学校文法では、「あ-い-う、う-え-」の並びに注目させる。本来、注目すべきは
 「[挿入音素]の並び」のほうである。
→[a/-], [-/y], [i/-], [-/r], [-/r], [-/r], [-/r], [-/r], :子音接辞と母音接辞との連結では様相が違うことに気づくべきだった。
(「あ・い・う・え並び」は錯覚だ)

〇文語文法では、「住まば都、住めば都」の対句が話題になる。
 未然形前提条件:住まば→SUM[-/r]aba, と今ならば解釈できる? -aba-接辞?
 已然形確定条件:住めば→SUM[-/r]eba, と今ならば解釈できる? -eba-接辞?
 当時は、住まば→SU[Ma]ba, 住めば→SU[Me]ba, と解釈していたから、一段活用動詞には適用できないでいたのだろう。
つまり、かな文字では語幹未と接辞頭が混合して[Ma], [Me], になってしまうから、文法則を踏み外します。
([-/r] のほか、[-/s], [-/y], [-/k], などもある。別稿で記す予定)
〇「態接辞はすべて母音始まり」だから、[挿入音素]は必ず [-/r], [-/s], である、と法則化するだけで「学校文法の欠陥修復」が直ちにできるだろう。
 もちろん、「ローマ字つづり解析」を基礎に整理しなおすべきなのは自明である。

 

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