態文法:態文法を組み上げる4
2017/11/28(火)
1-3.動詞の「複合:修飾語付加」の法則:
前節で示した「ブロック活用表」を寺村本でも採用して寺村自身の活用表を公
表している。ブロックも寺村も活用表の中で「用言の派生と複合」の違いを明確
に説明していないが、当ブログでは派生:[挿入音素]、複合:[+]を付加して区別
する。
・派生は先行語と接辞が密結合する。(先行語幹[挿入音素]接辞語幹[挿入音素]
接辞、、、)
・複合は先行語と助動詞が疎結合する。(先行語[+]助詞・助動詞、、、)
また、後続助動詞がそれ自身で活用するために派生を起すことがある。
同様に派生した用言が連用形・連体形の修飾機能を果す場合、複合[+]機能が働
いたと想定すると分かりやすい。
日本語の態動詞の連体修飾と連用修飾の使い分けに関しては、特に工夫が必要
になる。
例:女は殴られた[+]男に復讐した。(連体修飾:男から殴られた)
別例:女は、殴った[+]男に/を復讐した。(連体修飾:男が殴った)
〇構文中に能動/受動の主・客が同居して、相互に修飾表現をすることが日本語
としては可能なのだが、間違いなく理解するには慣れが必要だ。
工夫例:女は男に殴られて[+]、復讐した。(連用修飾:殴られたのは女)
別例:殴られて[+]、男に復讐した[+]女は、、、(連用修飾+連体修飾)
〇会話では、連用修飾:分詞形で表現することに違和感が少ないが、文章では連
体修飾の構文構造が好まれるかもしれない。
関係詞を使わない日本語の場合、連体修飾と連用修飾で、表現主体の移動が起き
ることを考慮してなんとか工夫をしたいもの。
〇明確に「殴られた[+]により/から/(の)で、男に復讐した」、「殴った[+]から
/ので、女に復讐された」というような補完(判定詞)要素が必要なのだろう。
〇「ブロック活用表」では、コプラ・繋辞の活用と規定ありなので、先行単語を名
詞 ・名容詞と想定して加筆した。やはり、コプラ・繋辞の概念を超えるべきだ。
〇「寺村活用表」では、(繋辞でなく)判定詞:ダの活用だとの規定ありなので、先
行単語の範囲を広げて、体言・用言・説明詞(形式名詞)が複合機能で連結すると
想定して加筆した。
→活用表右端の判定詞:ダの[+]連結できる単語を大幅に拡大して体言・用言・説
明詞(形式名詞など)としたのは当ブログの独断なのだが、寺村一覧表では、動
詞・形容詞の活用表と判定詞:ダの活用表は別表になっている。
(さらに残念なのは、寺村の判定詞活用原表には複合するための先行単語につ
いては記述がない。体言:名詞、名容詞のみを想定しているらしい。他の助動詞
活用も同様なムード仕分けによる個別的な活用表である)
→判定詞活用を拡大する理由は、「確言ムード」を受けて、連体修飾や連用修飾を
構成させる場合の「理由付け」「説明付け」を簡単に実現している現行文法の方
法を活用表に採り入れるべきだからだ。
例:体言に判定詞が複合連結するとき:もう師走[+]だ。と「だ」が直接連結する。
例:用言に連結する場合:書く[+]のだ。食べた[+]のだ。寒い[+]のだ。と「の」が
間に入る。「の」は形式名詞で先行用言を事象概念化し説明付けの態勢にする。
例:殴った[+]ので、復讐された[+]のだ。 この表現方法が使えての日本語だ。
殴られた[+]ので、復讐を考えた[+]のだ。 この表現方法が使える。
例:形式名詞を説明付けのために使う。(簡略のために[+]形式名詞を「」で示す)
太郎は、あす大阪に行く「予定」だ。(太郎の予定を説明付け)
次郎は、あす東京に行く「の」が予定だ。
犬が嫌いな「の」に猫は知らんぷり。 犬が嫌う「はず」の猫は知らんぷり。
今、出かける「ところ」だった。
判定詞活用になじんでくると、~「の」だ構文を流用すると連体修飾になるのが
わかるはずだ。つまり、関係詞構文のように使うこともできる。
例:殴られた「理由」が今もって納得できない「なぞ」だ。
つづく
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