態文法:態文法を組み上げる2
2017/11/15(水)
1.動詞活用には「派生:接尾辞の付加」と「複合:修飾語付加」の2通りあり
国語辞典の付録ページにある品詞分類表での定義を確認しておくと、
〇単語→自立する→活用がある(用言)→終止形語尾がウ段:動詞/イ音:形容詞
/ダ音:形容動詞(別称:名詞に似るので、形容名詞、名容詞などという)。
〇単語→自立する→活用がない→主語になる(体言)→:名詞。
〇単語→付属する→活用がある→:助動詞。
以上の5つの品詞が文の述語要素になるもの。
常識的に「終止形」概念が存在して、語尾音がウ段音/イ音/ダ音で分類できる
と仮定する。 念のため付録ページには、動詞・形容詞・形容名詞の「活用一覧表」
と「助動詞の活用一覧表」を載せる辞典が多い。
→用言活用に対する定義は説明不足の部分を「活用一覧表」で補っているが、根
源的な解釈から外れるところがある。(何行何段(かな音節)活用表では語幹把握
や派生法則を正確に記述できない)
→新しい時代に向けて正確な音素解析(ローマ字表記)で「派生」「複合」を取り上
げる。
1-1.動詞の「派生」の法則は:(必要最小限の範囲で音素(ローマ字)表記する)
→動詞語幹+[挿入音素]+機能接辞語幹(助動詞語幹)+[挿入音素]+機能接辞語
幹(助動詞語幹)+・・+[挿入音素]+統語接辞。
の連結構造で示すように、動詞語幹の後に「+[挿入音素]+接辞語幹」を繰返し
付加し(後段の図参照)、意味を補足して述語を完成させる。
〇例(かな文字区切り):呼ばれなかった→呼ば・れ・な・かった。
〇ローマ字解析の一般形式:呼b[・/r]are[a/・]na[・/k]a(r=0[Q])ta.
・動詞語幹:呼b、
・[挿入音素]:[・/r]、動詞語幹が子音末なら[・:無音]、母音末なら[r]発音、
・受動態接辞:are、(ar[・/r]e→ar[・]e→areと派生したもの)
・[挿入音素]:[a/・]、先行語幹が子音末なら[a]発音、母音末なら[・:無音]、
・打消接辞:na(i)、
・[挿入音素]:[・/k]、簡略化で[k]としてもよい。
・ar助動詞[挿入音素]完了接辞:ar[i/・]ta→(ar[i]ta)→a(r=0[Q])ta.
[Q]促音:あ[っ]た、の詰った音を表す。(イ音便の促音表記)
〇一般形式の特徴は、動詞語幹が子音末、母音末どちらであろうと、Dと表記し
て「派生」を書き表せることだ。
→例:一般形式で、D[・/r]are[a/・]na[・/k]a(r=0[Q])ta.と書けば、
・打たれなかった、切られなかった、着られなかった、飲まれなかった、食べら
れなかった、疑われなかった、見られなかった、忘れられなかった、渡されなか
った、止められなかった、、、などを代表する表記となる。
次例は、動詞語幹に打消接辞が連結する場合、
〇一般形式:呼b[a/・]na[・/k]a(r=0[Q])ta.→呼ばなかった。
→一般形式:D[a/・]na[・/k]a(r=0[Q])ta.と書けば、
・打たなかった、切らなかった、着なかった、飲まなかった、食べなかった、疑わ
なかった、見なかった、忘れなかった、止めなかった、、、などを含む。
★[挿入音素]と機能接辞の関係は:
・機能接辞が子音語頭なら[a/・]、[i/・]のように [連結母音/無音]が配置さ
れる。
・機能接辞が母音語頭なら[・/r]、[・/s]、[・/k]、[・/y]のように [無音/
連結子音]が配置される。
→動詞「派生」の一般形式での表記法を理解するうえで、[挿入音素]の考え方が
重要なので図を追加しておく。
(次回へつづく)
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