態文法:態文法を組み上げる6
2017/12/16(土)
3.「態の双対環」とは:
日本語動詞の「態の表現」も動詞派生の方法を用いて、動詞語幹に態接辞を付け
替えて使役・受動などを表現する。
西欧語では他動詞に限り「受け身文型」を作るが、日本語では自動詞でも他動詞
でも受動態を構成するし、その他の態派生にも制限はない。
(制限は、状態動詞(所動性)を態派生させて意味不明となる場合だけ)
〇なぜ自動詞、他動詞ともに受動態が派生できるかといえば、
・受動態は「動作の結果」に対応する事態(行為者、被行為者、対象物)を表現する
形式であり、動作結果は必ずあり得るから自・他動詞の制限は生じない。
・つまり、受動態は受け身だけを表現するのではなく、動作結果への対応表現だ
ということを理解しておきたい。
→従来の学校文法の概念を離れて、新しい設計図を眺めるつもりで見てほしい。
態接辞の付け替え法則を図形的な態配列で示したのが「態の双対環」である。
(参照図2種:「態の双対環」図と「態のマトリクス」図)
★「態の双対環」図は、態のすべてを組み合せることを目標に
・原形態-受動態の:能(動)-受(動作結果への対応)の対向関係、と
・可能態-結果態の:動(手掛け)-静(動作結果)の対向関係、の「2つの対」を
直交配置させて環状に「双対で環」を創作した図形である。
〇簡略的に文字列で表記する場合は、原形態-可能態-結果態-受動態の並び方
にすれば、動作発意-着手態勢-結果状態-受動態勢を表現する構文の流れに
合致する気分になる。
★「態のマトリクス」図は、態表現使用の局面を事象軸(出来事)と事態軸(態勢)
の2つの尺度で区分けしたものです。
・原形態:事象の生起・事態の中心:自律/律他:動作の起点であり、「能動性」。
・可能態:事象の生起・事態の周辺を含む:互律:対他と協調動作、「所動性」。
・結果態:事象の結果・事態の中心:果律:動作の結果を表現、「所動性」。
・受動態:事象の結果・事態の周辺を含む:果互律:動作結果に対応、「所動性」。
〇両方の図で示す一般形式とは、原動詞が自動詞/他動詞の両方を対象にでき、
また、動詞語幹が子音末/母音末のどちらでも処理できるということ。
〇両図で示すように可能態を正式な態動詞として扱うのが正道だといえる。
(ら抜き言葉を排除する概念は賢くない)
つづく
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