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2018/01/07

態文法:態文法を組み上げる7

2018/01/07(日)

4.「態のマトリクス図」とは:
 前回、態の「双対環、マトリクス」図、を載せました。「態のマトリクス図」について
その構造や考え方を説明します。
→態のすべてを表現するには、「双対環」図や「マトリクス」図のように座標軸が
 二軸ある平面を用意しておき、各個の「態」が平面のどの位置にあるのかを示す
 という方法が解りやすい。その意味では「マトリクス」図法が汎用的にも使える
 方法である。

4-1.「事象軸」と「事態軸」の二軸とは:
・動作関係を投影する平面として、座標軸は「事象軸」と「事態軸」の二軸を選ぶ。
〇事象の軸(横軸):
 動作による「事象・出来事の生起、収束、結果」を見つめる軸。
 左端が「出来事・事象の結果」←・→右端が「出来事・事象の生起」。
〇事態の軸(縦軸):
 「事象への反応・態応の仕方」を見つめる軸。
 上端が「事象の中心での態応」←・→下端が「事象の周辺を巻き込んでの態応」。
→「事象」と「事態」の単語を思い付いて手持の古語辞典を調べたが、見出し語に
 は載ってないから近代語らしい。今回の図解を制作する段階で「事象と事態の
 意味の差」を調べ直したから、事象と事態が明確に説明できるようになった。
・「事象」とは、出来事の目に見える形象、姿を意味する。現象として見える姿を意
 味する。(動作として見える姿・実体の「生起と結果」に注目する)
・「事態」とは、「事象・出来事」に対応した「反応、なりゆき」を意味する。
 (事態の中心にあるとは:主体・行為者、結果者など直接の関与者の態応)
 (事態の周辺にあるとは:客体・被行為者、対象物、周辺者などの直接・間接の関
  与者(中心との対峙態勢を含めて))
〇「マトリクス」構成の直交二軸の図を象限図法で考察すると、
・第一象限:動作生起(事象)・中心(事態)→動作現象・事態(中心の自律動作)
・第二象限:動作結果(事象)・中心(事態)→動作結果(成果が基で発する果律)
・第三象限:動作結果(事象)・周辺(事態)→結果と周辺の態応(果互律)
・第四象限:動作生起(事象)・周辺(事態)→動作進行と周辺関与(互律)
という動作概念を表している。
→各象限の右端に示す「自律/果律/果互律/互律」とは、事象・事態への態応の
 仕方、つまり「動作の律し方:律仕方」であり、「態の概念」そのものである。

4-2.「態の三系四態」とは:
 動作動詞には、自らの意図で動作を起すことを表す「能動系」のほか、相手に動
作を強制してやらす「強制系」と、やらせることを表す「使役系」の3つの動詞体系
がある。これを「態の三系」とすると、各系には「マトリクス」図で示す「四態」が付
随することになる。
★つまり、「態の三系四態」の「マトリクス」構成であり、簡潔に示すと、
・第一象限:原形態(能動系:自律/強制系:律他/使役系:律他互律→使役律)
・第二象限:結果態(能動系:果律/強制系:律他果律/使役系:使役果律)
・第三象限:受動態(能動系:果互律/強制系:律他果互律/使役系:使役果互律)
・第四象限:可能態(能動系:互律/強制系:律他互律/使役系:使役互律)
となる。(態の三系四態という考え方で、各系の象限平面を重畳して記述した)

→「態の三系四態」の組立て方、派生法を説明する。
〇まず、一般形式で表現するために、
 動詞語幹:D(子音語幹、母音語幹を共通表記)を一般共通化で認識しよう。
 例:D=aruk,kak,yom,tat,mi,tabe,de,
 (歩く、書く、読む、立つ、見る、食べる、出る、の動詞語幹:D)
★態動詞の派生方法を一般形式で表記する。
・能動系・動詞語幹:D[挿入音素]態接辞語幹[挿入音素]統語接辞(-u)、の形式で
 派生する。
・強制系・動詞語幹:D[挿入音素]強制接辞語幹[挿入音素]態接辞語幹+
 [挿入音素]統語接辞(-u)、のように一次派生、2次派生の二段階となる。
・使役系・動詞語幹:D[挿入音素]使役接辞語幹[挿入音素]態接辞語幹+
 [挿入音素]統語接辞(-u)、と二段階の派生となる。(使役は強制・可能態と同形
 なので、三段階の派生とも言える)
〇実際には前掲のマトリクス図を参照しながら一般形式を解釈なされば、直感的
 に理解しやすいだろう。
→「態の双対環」図、「態のマトリクス」図で、動詞語幹に[挿入音素]を付随させる
 という少し独特な表記法を採用した。
・能動系:D[・/r]、を一括りにして、共通原形化した。
・強制系:D[・/s]as[]、を一括りにして、共通原形化した。
・使役系:D[・/s]ase[r]、を一括りにして、共通原形化した。
〇それにより、態接辞がすっきり一本化して「共通四態」図が表現できる。
 各系にそれぞれの「四態」が存在するのであり、一つの「四態」を共有するのでは
 ない。
 (「態のマトリクス」図は四態を重ね合わせて示してあるが、各系ごとに「四態」
 がある)
→「態の三系四態」の概念がもっと広く認識され、理解されていく日を期待したい。
 実際に日本語のなかで日常的言語活動に使われている法則でありながら、
 「態のマトリクス的全体像」が公知・周知になっていないのはとても残念だ。

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