態文法:未然形はあるのか?5
2018/03/29(木)
前回の投稿文の最後を引続き継続する。
〇抜け落ちた?発展考察:項目再掲
×動詞の四段活用/(二段活用/)一段活用の区別について、
何らかの規則性がある、との提言がどこにもない。(と思う)
×動詞未然形に態接辞や自他交替接辞が連結するのではなく、
動詞語幹につながる、との提起がどこにも見当らない。
現代口語文法では、(文語文法を発展的に考察して現代に活かすと)
〇動詞活用表を五段活用/上下一段活用で示す。(別:来る・する:変格動詞2個)
その心は、連用・已然が大活躍で上下二階建構造を支えているからだ。
→★当ブログの発展考察を交えて記述する。
・古代、原動詞は子音語幹であった。 四段活用できる動詞(未然/連用/終止・連
体/已然)が多かったが、中には四段活用に不向きな動詞もあった。
例:落つ、投ぐ、起く、流る、など。(連用/已然で独立単語化→二段・一段活用)
〇四段活用:D[a/・]na‐i/D[i]Ø‐/D[・]u‐/D[・]e‐、:例:書き/書け。
〇一段活用:四段活用できない動詞には「連用か已然の形態を借用」して、母音語
幹動詞に変身・独立させて活用する。(例:落つ→落ちる、投ぐ→投げる)
例:落つ→D[i]Ø‐na‐i/D[i]Ø‐/D[i]Ø‐[r]u/D[i]Ø‐[r]e‐:落ち/落ちれ。
例:投ぐ→D[・]e[]na‐i/D[・]e‐/D[・]e[r]u/D[・]e[r]e‐:投げ/投げれ。
★四段活用の終止形の語尾音で:「う」型動詞(子音語幹動詞)という。
一段活用の終止形の語尾音で:「る」型動詞(母音語幹動詞)で、連用(上一段)と
已然形(下一段)が応用されている。
→★動詞型「う」/「る」の識別方法:(打消接辞の付加判定でなく)
〇「う」型は、Di-Du-De、(連用-終止-已然):書き-書く-書け。
〇「る」型は2種、D[i]Ø‐/D[i]Ø‐[r]u/D[i]Ø‐[r]e:落ち-落ち[る]-落ちれ、
と、D[]e‐/D[]e[r]u/D[]e[r]e:投げ-投げ[る]-投げれ、である。
「る」型は連用形、已然形に[r]uを付加して母音語幹の動詞に変身させたから、
終止形以後に[r]音素が追加されるので間違いなく見つけられる。
(日本語経験者ならば、連用-終止-已然の並びで簡単に識別できる)
・「う」型動詞:切り-切る-切れ、帰り-帰る-帰れ、(語尾音:i-u-e)
・「る」型動詞:着-着[る]-着れ、変え-変え[る]-変えれ、
(語尾音:i-i[r]u-i[r]e、/e-e[r]u-e[r]e)
ここまでで、発展考察の第一項目の四段/一段活用の規則性を提起できたのだ
が、実際には、第二項目に対しても発展考察の入口を通過した状態である。
→★発展考察の二項目は、「未然形に態接辞をつなぐ」が間違いである、というこ
と。
〇前項の考察で示した已然形は、一般形式:D[・/r]e‐で、すべて表せる。
・四段:書け、切れ、帰れ、 ・上一:落ちれ、着れ、 ・下一:投げれ、変えれ、。
この已然形の最後に、「る」をつなぎ込むと、すべて可能動詞に変身できる。
・已然形から可能動詞への一般形式:D[・/r]e[r]u、により、
書ける、切れる、帰れる;落ちれる、着れる、投げれる、変えれる、可能表現だ。
「ら抜き」と見るのは誤解だし、必然的に正当に派生した可能態である。
→★可能態接辞:e‐、は、未然形に連結するのではなく、終止形語幹:D[・/r]に
連結するのだと言える。
・受動態:D[・/r]ar[・]e[r]u、→切られる/着られる、帰られる/変えられる、
のように、態動詞になると音素並びが四段/一段で完全に同じになることも
「未然つなぎでない」傍証であろう。
・なお、連用・已然由来である「る」型母音語幹動詞は、強制・使役態に連結する際
には、[・/r]→[・/s]に替えて連結する。
・強制態:D[・/s]as[]u(着さす、落ちさす、投げさす;書かす、切らす、帰らす)
・使役態:D[・/s]as[]e[r]u(着させる、落ちさせる、投げさせる;書かせる、)
★文法学界では、任す/任せる、合わす/合わせる、などの形式の差を「四段/一
段の活用の差」と見做すのが通例らしいが、その活用差の根源である「已然形に
[r]uが連結する形態」という指摘がなされることがない。機能差も説明なし。
→★だが、当ブログでは、結果態/受動態、強制態/使役態を「四段/一段の活用
差」だと割り切らないで、態形態の差だ(動作の律仕方に差がある)、と解釈して
4つの相関的な態と見なしている。 特に已然形の意味を敢行(敢えてやり遂げ
る)と理解すれば、可能態の機能が添加されてくるはずだ。
以上で、未然形はあるのか?と古語辞典の発展考察に追加する考察のしめくく
りとする。
最後に、動詞活用表を使い続けるとしたら、未然形を縮小し、已然形の内容を増
やし、意味を明示する方針を試してみた。
→★新しい旧式動詞活用表の試行案:
①未然形:打消・意向に限定:(自他交替・態接辞との連結はない)
・打消:D[a/・]na‐i(書かない、切らない;着ない、投げない)
・意向・推量:D[・/y]oo(書こう、切ろう;着よう、投げよう)
②連用形:中止・相接辞に連結(前方体言の述部と解釈させるのが望ましい)
・中止:D[i/・]Ø(書き、;投げ、) ・連用:D[i/・]Ø[+]te(書いて、;投げて、)
(D[i/・]Ø[・/r]u→D[i]Ø[r]u→「~いる型」母音語幹動詞を派生できる)
・「~いる型」母音語幹動詞:D[i]Ø[r]u→落ち‐る、起き‐る、
③終止・連体形:言い切り・体言修飾(後方体言を限定・修飾すると解釈)
・終止:D[・/r]u、(書く;落ちる、投げる、)
・連体:D[・/r]u[+]~、(書く人、読む側;投げる球、起きる時刻)
④已然形:仮定・命令に連結:(「~える型」母音語幹動詞を派生できる)
・仮定形:D[・/r]e[+]ba(書けば、読めば;食べれば、起きれば)
・命令形:D[・/r]e[y]o:書けよ、食べれよ(已然形)、書き・食べ・なさい(連用)
書け→D[・/r]e【[y]o】:已然形で継続。(文語時代から「~よ」は付かず)
食べろ→D[・/r]【e[y]】o:已然形に確定。(食べれよ「べ・れ」が已然臭い「え
音」の連続なので、D[・/r]o:食べろ、見ろ、覚えろ、忘れろとなったと推測)
・命令形を簡略一般形式で、D[・/r]e/o:と表記してもよい。
(由来が已然形態であると覚えておきたいのだが・・・)
・「~える型」母音語幹動詞を派生し、可能動詞や自他交替動詞を生み出す。
已然形の動詞化一般形式:D[・/r]e[・/r]u→D[・/r]e[r]u→書け‐る、
食べれ‐る(可能態・可能動詞)、立て‐る、割れ‐る、(可能態と自他交替動詞)
以上
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