態文法:「なぜ日本は強いと思われますか」
2018/06/15(金)
<引用:スポーツ報知のネット記事:06/08 01:33>
ロシアW杯に臨むFIFAランク61位の日本は8日、同6位のスイスと
同国・ルガノで親善試合を行う。7日は試合会場で前日会見が行われ、
西野朗監督が出席した。
地元メディアからは「なぜ日本は強いと①思われますか」と珍質問が
飛びだし、指揮官は「誰に②思われているんですか。質問された方が
③思われているのですか」と戸惑いながらも「日本はW杯に連続して出場
している現実はある。アジアのサッカーを牽引しているので自信を持っ
てW杯に出場したい。ただ、これがW杯でチャレンジしてもある程度で
拒まれている歴史も認めないといけない。W杯の中では十分には実力を
発揮できず、なかなか認めてもらえない現実もあるのも事実」と冷静に
答えていた。
<引用おわり:①②③印は当ブログで付記す>
→(感想)
珍質問ではなく、「日本は強いと思われる理由はなんでしょうか」という
生な質問を、日本語らしく「なぜ日本は強いと思われますか」と表現した
のだろう。日本人でなくてこの表現ができたのだからびっくりします。
(日本チームが調子を上げていれば、西野監督も戸惑うことなく応答でき
たはずだ)
→まず、記者会見の受動態:「思われる」の使い方、解釈について、文章上
で考察しておきたい。
①思われ(ますか):通常の会見で質問文形式であれば、受動の尊敬表現の
「あなたが(思考結果として)思われ・て・るのか」を意味します。
(思われますか:動作事象・基本相で質問する点も正当手順である)
②誰に「思われ・ている・のか」:受け身の表現と解釈すると、誰に思われ
るのかを詮索し出すか? (~ている:動作進行相で質問を感じたらしい)
③質問者が「思われ・ている・のか」:質問者に対しての尊敬表現では
なく、質問者を②誰のうちの一人として想定した言い方で、「質問者に
思われて」という受け身表現も兼ねたものなのだろう。
戸惑いながらも、受動態の意味するところを冷静に分析しながら、正しい
表現・思考結果を披歴する応答を行った。その点は論理的な判断ができる
人だろう。
では、当ブログ態文法を活用して、受動態の本質を解明してみよう。
<音素分析:構造>
当ブログ態文法での、受動態生成の方法を説明する。
〇態の派生原理は、動詞語幹:Dに[挿入音素]をはさんで態接辞を連結する。
語幹の子音末/母音末の差を[挿入音素:連結母音/連結子音]で調音し
態接辞の子音語頭/母音語頭に順応する構造である。
〇受動態の一般形式:D[・/r]ar[・/r]e[・/r]u→D[・/r]ar[・]e[r]u。
子音幹 思う→思われる:omow[・]ar[・]e[r]u→omowareru、
母音幹 考える→考えられる:kangae[r]ar[・]e[r]u→kangaerareru。
〇受動態接辞:are-の構造は、上に示すように結果態:ar、に可能態接辞:e-
が連結した二段階の派生である。
<音素分析:意味>
態の接辞を異形態でなく同一形態で示せるので、意味も統一して明示できる。
〇可能態接辞:e-は、動作完遂への動作相を表し、完遂に必要なら相互に助力し
合うことを意味する。(動作律仕方を「互律動作」と定義する)
〇結果態接辞:ar-は、古語、文語での受動態を意味する接辞であり、文字通り
動作の「結果がある」という状態を表す。 「ある」→ある、生る、在る、有る、の
すべてを内包する意味であり、「過去、現在、未来の動作結果」に対しても有効
である。(動作結果は主体・客体・対象に対し等距離の関係で態応を律するから
、律仕方を「果律動作」と定義する。動作結果からの視点なのだ)
〇受動態接辞:are-は、古語、文語でも(結果態の)連用形として使い込まれ
た形態で、意味は動作結果の完遂に必要なら助力することを意味する。
単純に、動作結果の完遂による誘発事態に振り回されることも意味する。
(受動態の律仕方は「果互律動作」と定義する。動作結果からの視点なのだ)
→態動詞の動作律仕方の定義を記述した。(態には三系四態がある)
三系四態=12態動詞の深層核心の意味を正確に覚えるために、「律仕方」の
概念を考えたものです。参考の補完に三系原形態3つを追加しておこう。
①能動系・能動態:一般形式:D[・/r]u、
自律動作→自己の意図で動作する。(自他動詞ともに)
②強制系・強制態:一般形式:D[・/s]as[・]u、
律他動作→動作を指示し、他者に服従・自律動作をやらす。
③使役系・使役態:一般形式:D[・/s]as[・]e[r]u、
律他互律動作→律他動作を指示し、完遂に必要ならば手助けする。
〇この3律仕方と上段の可能/結果/受動の3律仕方を組み合せれば、
すべての態動詞の律仕方が区別して完全理解できると思われる。
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