態文法:態活用の新概念を練習する
2018/10/28(日)
動詞や態動詞の派生方法に対する文法用語が従来から不十分なので、独自に定
義します。(理由は例えば、母音交替、接辞付加などの呼称は動詞活用専用の定義
ではなく、他の品詞結合にも当てはまるから、文法上の一般用語である)
12.態(ヴォイス)とは何か
・動詞動作に関連する定義である。
①事象:動作の実行で現れる出来事・現象、動作が表す形象が事象。
事象の裏づけ:動作意図の有/無、有情/無情の区別はしない。
(事象は自然現象、人為行為、社会的行事、犯罪的事件、すべてを含む)
②辞典→事態:動作事象の有り様、成行き。(不都合な事態表現が多い)
★独自解釈→事態:動作事象に関与する「登場人・物」が事象から受ける
態様を描写すること。 動作事象に対する「登場人・物」の立場ごとの
反応、対応が描写できる。
★態:ヴォイスとは:動作による「事象:出来事」と「事態:見え方」の対向
関係で認識する文法則である。 態派生した動詞形態ならば「登場人・
物」のどれもが構文の主格に立って、「事態:事象の見え方」を描写する
文が作成可能である。
〇日本語が受動態や使役態の構文を自動詞・他動詞の区別なく作成可能
なのは、この態派生の文法則:事態の見え方は「登場人・物」の立場ごと
に解釈ができること、による。
(「事態」内容を良くないこと、迷惑なこと、と予断すべきでない)
13.態の対向関係とは
・動詞動作の「事象-事態」は文法上の狭い範囲での「動作と反応」の対向
関係と見做すと定義した。
〇事象は一つでも、事態は関与する人・物の立場で複数になる。
〇また、動詞自体が動作相を含むから、事象自体にも注目時点でのアス
ペクト態様が現れる。それも態を含意して事態表現になる。
★これらを単純化して「事象-事態」の対向関係と呼ぶ。
・「事象-事態」の対向関係を基にすれば、三系の事象があり、各系には
四態の事態がある、という概念で「態の全体」を把握できる。
・つまり、三系四態(3×4=12)の態形態を派生するから、能動動詞には
12個(原動詞、合同形態を除くと10個)の態派生動詞を生み出せる。
それだけの有意差のある対向関係が存在するということである。
14.態の三系四態とは:
★態の三系とは:能動系・強制系・使役系を三系と名付ける。
・能動系:D[・/r]u:書く、食べる、:自律動作を意味する。
・強制系:D[・/s]as[]u:書かす、食べさす、:指示命令して他者に自律
動作をやらす。(文語文法の使役形態だった)
・使役系:D[・/s]as[]e[r]u:書かせる、食べさせる、:指示命令して
他者に自律動作をやらせる。動作完遂に必要なら手助けをする。
(注)強制:やらす:指示を出すだけで、被強制者の動作完遂に関与せず。
使役:やらせる:指示を出し、被強制者の動作完遂に必要な配慮をする。
やらす→の已然形:やらせ~と同様の意味になる「やらせる」は、已然形
が持つ「完遂まで力を尽す」の意味を秘めている。
★態の四態とは:原形態(事象形)-可能態-結果態-受動態、の四態を
基本四態と呼び、原形態に三系動詞を付け替えれば、三系四態の全体が
把握できる。(態派生の一般形式表記を次に示す)
〇能動系四態:D[・/r](u、e[r]u、ar[]u、ar[]e[r]u):
→能動系(原形態-可能態-結果態-受動態)と簡略表記。
例:書く、書ける、書かる、書かれる/食べる、食べれる、食べらる、
食べられる。
〇強制系四態:D[・/s]as[](u、e[r]u、ar[]u、ar[]e[r]u):
→強制系(原形態-可能態-結果態-受動態)と簡略表記。
例:書かす、書かせる、書かさる、書かされる/食べさす、食べさせる、
食べささる、食べさされる。
〇使役系四態:D[・/s]as[]e[r](u、e[r]u、ar[]u、ar[]e[r]u):
→使役系(原形態-可能態-結果態-受動態)と簡略表記。
例:書かせる、書かせれる、書かせらる、書かせられる/食べさせる、
食べさせれる、食べさせられる。
(注:強制可能態と使役原形は同一形態、同一意義である。能動動詞は
3×4-2=10個の態動詞を派生できることになる)
★「態の双対環」とは:基本四態のこと:二組の対向関係が直交する概念を
命名したもの。(詳細後述)
①原形態-受動態の対向関係:書く-書かれる、食べる-食べられる。
②可能態-結果態の対向関係:書ける-書かる、食べれる-食べらる。
・この二組の対向関係が直交する図としたのが「態の双対環」である。
(参考図を付加する)
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