態文法:国語文法を正す方法3
態文法:国語文法を正す方法3
2019/08/16(金)
まず、国語文法(学校文法)の動詞活用形の基本法則を再確認
します。
・「かな字単位」による語幹+活用語尾形の構成で、「未然形、
連用形、終止形、連体形、已然形、命令形」の活用形体系を定
める。
(五段・四段活用/二段活用/一段活用/その他、など体系が
ある)
・助動詞・接辞を連結するとき、何型の活用語尾形に接続すべき
か指定する文法則が必須だが、接辞ごとに連結法則が確立して
いるとは言えない状況である。
(接続規則はあるが、活用形枠組に対する解釈揺らぎや、接辞形
態の把握に曖昧さがあり信頼性が低い)
国語文法の恣意的放任:
③江戸後期・現代:「已然形は仮定形に名称変更になって消えた
のか?」 国語の共通化が求められ、動詞活用形式も主に二段
活用形が一段化へ収れんしてきた。特に「已然形」の出世振り
には感嘆する。だが、国語文法では、この時代の「已然形の変
貌振り」を十分に解釈できていない。
〇文法を正す視点:
本来、已然形は用途が広くて安定した意味機能を果していたが
、文語文法と口語文法の移り変りの間で大きく変りすぎたため
、評価が定まらない。
例:已然形の活用語尾末音:-e-には、それ自身に機能接辞の能
力があります。 詳細は次項の新文法の解釈で述べるが、ここ
では自他交替する接辞の機能について国語文法の曖昧さを正す
視点として記述します。
・立つ→立てる:tat[]e[r]u,割る→割れる:war[]e[r]u,この同じ
e[r]uでも自他交替と他自交替で逆の働きをする。国語文法で
は恣意的放任なのか、五段活用動詞には可能動詞と見做すだけ
で、一段活用での「見れる、食べれる」を認めたがらない。
恣意的えこひいきだと断じる。これでは可能以外の大事な機能
:完遂のための条件合せの互助(主・客・対象の互助)も感得
できない。
・立てば、割れば、の已然・仮定形も安定な機能であり、「立た
ば、割らば」の未然仮定形(の危うさ:五段動詞のみ辛うじて
通用)が放逐されてもよいのとは大違いにしっかりした構造で
す。
・命令形にも已然が使われ、立て!:tat[]e,割れ!:war[]e,
二段活用から一段活用の変化で、見よ:mi[]yo,→見ろ!:mi[r]
(ey)o、食べよ:tabe[]yo,→食べろ!:tabe[r](ey)o,のように
完遂を命ずる形式で已然型命令形になった。
この命令形の変化認識も国語文法ではほとんど定着していない。
新文法による解決:
★動詞派生の基本文法則=動詞語幹[挿入音素]接辞語幹[挿入
音素]接辞語幹・・・で、すべての動詞活用形、すべての態動
詞派生などを解釈できる。
(恣意的、属人的なえこひいき解釈を挟み込む余地なしで、構造
化できる)
・[挿入音素]=[連結母音/無音]または[無音/連結子音]
の構造で、次の6種類がある
:[a/-],[i/-],[-/r],[-/s],[-/y],[-/k].
〇動詞語幹をDで、すべての動詞を代表させる一般形式表記によ
れば四段活用/一段活用を一行で表せる。
・D([a/-]na[k0]i,[i/-]te+,[-/r]u,[-/r]u+,[-/r]e[]te+,
[-/r]e(yo)!/(ey)o!,)
(未然打消、正然連用+、終止事象、連体+、已然連用+、已然
命令、という基本枠組で動詞描写に対応する)
〇注目する已然形:
:D[-/r]e+,D[-/r]e[i/-]te+,D[-/r]e[+]ba,
D[-/r]e(yo)!/(ey)o!, のように、完遂(連用形、仮定形、命
令形)として発展したうえ、さらに完遂動詞:D[-/r]e[r]u,と
して晴れてやっと独立できたことがすばらしい。
・読める、書ける、飛べる、見れる、来れる、行ける、食べれる
、起きれる、変えれる、着れる、などの動作可能の表現がすっ
きり描写可能になった。
<考えれる、調べれる、覚えれる、忘れれる、感じれる、など知
覚動作に対しては、動作の完遂そのものを相互に確認できないか
ら、結果が現れたとき、考えられる、調べられる、覚えられる、
忘れられる、感じられる、と、受動態=結果已然(形)態で描写
する。
つまり、知覚動作の伝達認知の方法を吟味して受動態を選ぶので
す。文化庁の「国語に対する世論調査」でも、各年代の一般大衆
は実質の意味をきちんと吟味しての圧倒的正解率です。
・調査設問が友人の行動結果が予想と大幅に違うものだったら、
考えれない/考えられない、のどちらを使って表現するか、を
問い掛けるものです。
・皮肉なもので、文法界は「短い単語は可能動詞になりやすいが
、長い音節の単語では受動態をきちんと維持している」と外形
判断だけを続けている。意味の違いを吟味せずに思考停止状態
だ。可能を問うのか/結果を問うのかを学者は忘れてるのだ>
新文法の切り札
:已然接辞=自他交替接辞=完遂接辞=可能態接辞:-e-。
已然形:すでに然る、動作完遂に尽す、やり遂げる、条件に折
り合いを付けて成就する(対他・対物で折り合い、互助し完遂
する)、のすべてを含む動作概念を表す。
・動詞の自他交替には12通りの対応型があり、一番多い:半分
以上の対応型が接辞:e[r]u付き動詞です。(終える、立てる、
割れる、増える、流れる、見せる、など6通り)
・また、態の四態でも可能態と受動態の2態に:e[r]uが付き、使
役系には4態ともにe[r]uが含まれる。
・さらに、動詞活用形で已然・連用:-e-としても使われる。
(塞がれて、上がれて、増やせて、流せて、動けて、生きれて、
活かせて、起せて、残れて、残せて、乗れて、乗せて、など、
すべての動詞に已然形が対応する)
〇これだけ大量の動詞に派生連結できるのに、見れる、来れる、
食べれる、調べれる、などが不適当というのは、恣意的えこひ
いき以外にないでしょう。
〇これだけ大量の動詞に派生連結できるのに、-e-,-e[r]u,の根
源的な意味を解説できないとしたら、新文法と言えない。
(答えは切り札項の最初に記述)
★深層理解を願う:已然接辞=自他交替接辞=完遂接辞=可能態
接辞:-e-。
次の2つの派生形式から、深層理解に達することができる。
・1つ:自他交替例:立てる:他動詞化/割れる:自動詞化、は
一見すると、-e[r]u接辞が自他交替と他自交替の相反する機能
を発揮するように感じる。
〇だが、深層の意味には、立つ、割るの「動作を完遂・やり遂げ
る」ことで生じる状態を描写する言葉であり、対物側の動作と
しては「やり遂げられた→態の入れ換り見立て」が発生してい
る。 主体側は、動作をやり遂げるの意味で完遂・可能の描写
になる。
つまり、-e[r]u接辞の真の意味は「動作を完遂・やり遂げる」
ということである。
・2つ:相互助成例:見せる、着せる、乗せる、任せる、対他動
作で-e[r]u接辞が付くと、主体・客体・(対象物も類推)の相
互協同の動作で完遂努力するような深層意義を発揮する。
〇同感しやすい例で「見せる:mi[s]e[r]u」を考察しよう。
主体は対象物:定期券、逮捕状、得意技、を相手が見えるよう
に提示する。
客体は対象物を見て納得できるか判断して相応の行動をする。
主体・客体・対象物の相互の協同・合致動作が合うことで完遂
する。(対象物の内容が効力なしなら、完遂が成立しない)
〇相互合致の末に完遂が成立する:深層意義として潜在する。
・花子はピアノが弾ける:花子・ピアノ・音楽法則が相互合致す
る。
・幼児でもこの距離が歩けるのか:幼児・長距離・物理条件の相
互合致の有無が決め手。
・この漢字は読めるが、書けないかも:主体・漢字・知識領分の
相互合致範囲による。
このように、已然接辞、可能接辞:-e[r]uには、「完遂と相互助
成」の深層意義があると解釈するとよい。
つづく
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