« 態文法:新文法の実践検証12 | トップページ | 態文法:国語文法を正す方法2 »

2019/08/10

態文法:国語文法を正す方法1

態文法:国語文法を正す方法1
2019/08/10(土)
 新文法の実践検証の最後に、国語文法とどのように向い合うべきかを考察し
ます。
〇まず、国語文法(学校文法)の文法力の限界を明確にしておきます。
・「かな字表記」に頼る国語文法では、記録に残る文書内容を「かな字」単位
 で解釈する。書かれる:kakareru,食べられる:taberareru,で話される受動態に
 対して、書か・れる、食べ・られる:「れる/られる」異形態の助動詞・接
 辞なのだと把握してしまう。同様に、書かせる:kakaseru,食べさせる:tabe-
 saseru,で話される使役態を「かな字表記」で行えば、書か・せる、食べ・さ
 せる:「せる/させる」の異形態だとしか解析できない。
・そもそも、国語文法では動詞活用、用言活用の基本法則を「未然形、連用形
 、終止形、連体形、已然形、命令形」の活用形体系に求める。つまり、
 「かな字単位」による語幹+活用語尾形の構成で法則化するのが原則です。
例:書かれる→か:語幹、か:未然・活用語尾、れる:受動態接辞。
 食べられる→た:語幹、べ:語幹級・活用語尾、られる:受動態接辞。
 書かせる→か:語幹、か:未然・活用語尾、せる:使役態接辞。
 食べさせる→た:語幹、べ:語幹級・活用語尾、させる:使役態接辞。
(か・か、た・べ、ともに語幹と活用語尾の区切り識別が「かな字」では不正
 確となり、その悪影響が接辞の切出しにも及び、不ぞろい・異形態の姿で現
 れる。つまり、接辞の形態が正確に切り出されないから、正しい接辞意味の
 解釈ができない弱点が生じている。基本法則自体が目標の構成分析の機能を
 果せないでいます)
・さらにそもそも、動詞活用基本法則を定義する視点が時代により変化してし
 まう。本来、動詞活用を「未然~已然」法則だけで考察するならば、動作事
 象の表現と動作進行・完遂の表現ができる構成であれば十分だ。
例:動詞活用形の意味の理想的解釈(実際には、十人十色の解釈が邪魔する)
 動作打消の表現:未然形(打消、意向打消)。
 動作事象の表現:終止形、連体形(後続体言を修飾)。
 動作進行の表現:正然連用形。(正に動作中、後続動作に連結する)
 動作完遂の表現:已然連用形。(動作完遂・互助、完遂仮定、完遂命令)
・江戸期の動詞活用形の基本認識から近世・明治期にどれだけ正確に伝承され
 たのか詳細な研究成果を把握していないので、推測で記述する。
〇当時の国語学者のなかに暗黙の了解として、活用語尾末音が「い」音:正然
 連用形と「え」音:正然連用形、または已然連用形→つまり、「い、え」音
 が活用形末尾である形態が動作表現の音だと認識していたし、動作の打消や
 、その動作の外延(自他交替、態派生)表現には「あ」音が活用語尾末音に
 現れる「未然形を選んで」用いるという慣例的認識が存在したのだろう。
 (おそらく、現在でも未然形に外延派生の道を求める人が多いかも)


 さて、以上のように国語文法は「かな字解析」による方便的な動詞活用形の
文法則で成立っている。その文法則の限界を認めた上で国語辞典などを使いこ
なしているわけだが、問題は別のところにある。
〇基本法則に反したり、抵触したり、の不具合があるわけでもない事柄に対し
 て、恣意的な正に属人的なえこひいきの規制事項や禁止事項を文法に持ち込
 む事態が起きていることを問題にしたい。
 (恣意的なえこひいき法則がはびこる遠因には「かな字解釈」の不完全さに
 あるのだが・・・)
・「ローマ字解釈」文法家の多くも、はびこる恣意的なえこひいき文法に気を
 ゆるしてることが多い。これは「ローマ字解析」するだけで新文法を開ける
 わけではないことを意味する。「ローマ字解析」が一般形式表記できる法則
 化が可能になり、国語文法の基本法則の何倍も広い範囲で有効性を発揮でき
 る機能を使いこなす感性を持っていないと、恣意的な規制のうさん臭さに気
 づかず、それを撥ね除けることが難しいからだ。
→以下、順次、恣意的な規制例をあげて、新文法からの視点で規制解除して
 いきたい。
①「い抜き言葉、あ抜き言葉」はいけないか?:恣意的規制。
②「ら抜き言葉、さ入れ言葉」はどうなの?:恣意的規制。
③「已然形は仮定形になって消えたのか?」:恣意的放任。
④「已然形は可能動詞、可能態、命令形を生み出した」:恣意的無視?
これらは、連用形、終止形、已然形が果すべき役割を正確に理想的解釈として
身につけておけば解決できることです。
新文法による解決:
★動詞派生の基本文法則=動詞語幹[挿入音素]接辞語幹[挿入音素]接辞語
 幹・・・で、すべての動詞活用形、すべての態動詞派生などを解釈できる。
(恣意的、属人的なえこひいき解釈を挟み込む余地なしで、構造化できる)
①「~ている、~てある」と言うところで、「~てる」と言うのは?
 ~ている:連用形+いる、動作継続中の表現。:D[i/-]te[+]i[r]u.
 ~てある:連用形+ある、動作完了済の表現。:D[i/-]te[+]ar[]u.
 古語由来の「て」:て-て-つ-つる-つれ-てよ(二段活用)
  :D[i/-](te,te,tu,tu[r]u,tu[r]e,te[+]yo):完了接辞「つ」。
 現代語の「て」:て-て-てる-てれ-てろ(一段活用となる)
  :D[i/-](te,te,te[r]u,te[r]e,te[r](ey)o):完了接辞「て」。
・~てる:終止形:動作完遂済の事象を表現。(動作そのものではない)
 つまり、連用形も終止形もそれぞれの役目があるので、それに見合う使い方
 をすればよい。動作中の姿を表現するには、~ている、完遂習慣として行う
 事象を表現するには、~てる、を使用する。直接に丁寧さとか口語的とかの
 差はないのです。(当ブログでも意識的に~てるを使います)
・古語が一段活用で生き残るのは言語の移り変りを大事にする点でよいこと。
 (正当な一般化可能な言語変化は全国どこかで生き抜いているはずです)
①’関連規制「~てある」は自動詞と連結しては使わないと恣意的規制あり。
例:窓は/が/を開けてある、他動詞+てある、が通例で、自動詞+てある、
 は使わないようにと恣意的な規制をする文献もあるようだ。
・もう今朝は10km走ってある、昨日は8km歩いてあるし、夜はぐっすり
 寝てあるから、と自動詞で表現できる。無駄な恣意的規制は不要です。
・つまり、D[i/-]te[+]ar[]u,の一般形式表記が文字通り共通に使えるし、動作
 完了済の状態を吐露する意味で共通です。恣意的な規制は不要なのです。
〇イ音便について:
 なお、D[i/-]teには、イ音便があり変形を受けます。(実例を示します)
 走って:hasir0[i=Q]te,歩いて:aruk0[i]te,泳いで:oyog0[i]de,
 寝て:ne[]te,食べて:tabe[]te,読んで:yom0[i=N]de,
 笑って:waraw0[i=Q]te,探して:sagas[i]te,行って:ik0[i=Q]te,
(r0,k0,g0,w0,m0は無音化を、[i=Q]促音,[i=N]撥音を表します)
つづく 

 

« 態文法:新文法の実践検証12 | トップページ | 態文法:国語文法を正す方法2 »

日本語文法」カテゴリの記事

態文法」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 態文法:新文法の実践検証12 | トップページ | 態文法:国語文法を正す方法2 »