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2019年10月

2019/10/29

述語形式と[挿入音素]2

述語形式と[挿入音素]2
2019/10/29(火)
 付属語で活用のある品詞:接辞・助動詞は、付属の仕方で2通り
の述語形式がある。
(用言語幹に連結か、助辞に附属連結するかの区別)
 
③接辞・助動詞の述語形式1→語幹に附属する=[挿入音素]仲介。
 すでに①動詞の、②形容詞の、述語形式で記述したように、用言も
 語幹のままでは述語になれない。
例:接辞の述語形式(=述語文)を用言に密結合させる。
・動詞述語を生成:D[挿入音素]接辞語幹[挿入音素]接辞語幹・
 ・・:→D[挿入音素]接辞述語文。
・形容詞述語を生成:K[挿入音素:k]接辞語幹[挿入音素]接
 辞語幹・・・:→K[挿入音素:k]接辞述語文。
つまり、 動詞語幹D、形容詞語幹Kに[挿入音素]を介在させて
接辞による述語形式を連結する。
 
④接辞・助動詞の述語形式2→助辞に附属する=複合[+]、縮約[x] 。
 体言[+]助辞に接辞が膠着する場合、疎結合の[+]と縮約の[x]を併せ
 持つ連結形式([x])を採用する。
例1:体言[+]助辞[x]接辞語幹[挿入音素]接辞語幹・・・、
 →いわゆる名詞文(措定述語文)の構造をとる場合。
・[x]は、[+]複合と同様の膠着機能のほか、助辞と接辞が母音連続
 を避けて、簡略化・縮約化するのを許容するための記号です。
・〜です:de([x]gozar[i/-]ma)s[]u→である:d(e[x]a(r[])u→だ。
〇これはペン(です、である、だ)→「これ=ペン」を意味しない。
 「これはペン(の機能)で存在している」という二項関係を表出す
 る形式です。いわゆる繋辞、コプラ専用ではありません。
文語時代では、
・[k]ar[i]:カリ活用や、t(e[x])ar[i]:タリ活用、t(o[x])ar[i]:タリ活用、
 n(i[x])ar[i]:ナリ活用、などの用例で、措定接辞:-ar-を使い込んで
 います。
現代口語でも措定接辞:-ar-の根源に、ある、在る、有る、生る、の
意味を感じているし、また態接辞:-ar-は動詞語幹に[挿入音素]を介
してD[-/r]ar[]e[r]uの形態で受動態を生成するのは現代でも同じ。
 
例2:名容詞(実体の状態、状況を名詞化)[+]助辞[x]④接辞述語文:
 →いわゆる形容動詞(名容詞)述語文の場合。
・堂々[+]t(o[x])ar[]u:堂々たる(継続的な状態の連体形)
・盛大[+]n(i[x])a(r[]u):盛大なる、盛大な(即時的な状況の連体形)
・不安定[+]n(i[x])a(r[]u)[+]no[+]d(e[x])a(r[]u):不安定なのだ(状況の
 包括的認定)
 
例3:形式名詞[+]助辞[x]④接辞述語文:
 →関係文節を受け止めて包括措定、包括認定するための名詞文。
・太郎は明日大阪に行く[+]予定[+]d(e[x])a(r[]u)。→太郎=予定だ、
 のような単純な二項等価(繋辞機能)を想像してはいけない。
 日本語の「である、です、だ、」は先行内容を統括して全項の
 関係性を包括的に認定する機能である。
・予定(だ、がある、を変更する)のどれも通用する発話の場が
 想像できる。
・私はうなぎ(だ、がある、を変更する)も発話の場が想像でき
 る。私=うなぎだ、の成立する場面もあるが、包括認定の特殊
 用例に過ぎないと考えればよいだろう。大部分はうなぎを注文
 する場で発話される。
・ugok([i/-]θ、[-/r]u)[+]sou[+]da.:動きそうだ、動くそうだ。
 この、soudaはまさに例3による複合助動詞であり、sou:形
 式名詞、d(e[x]a(r[]u)→da:助詞[x]接辞述語文なのである。
 

 

2019/10/02

述語形式と[挿入音素]1

述語形式と[挿入音素]1
2019/10/02(水)
 前回の考察が単語の品詞分類の第一段階:自立語/附属語の区分
、第二段階:活用あり/活用なしの区分、を基に始まりました。
国語文法では活用ありの形態に対して、動詞活用表、形容詞活用表
、助動詞活用表の形式で膠着方法を説明してある。
そこで、活用文法を見直す立場で述語表現の全体像を合理的に把握
することを目指してみよう。
  
 用言、体言の述語活用を概念的に定義すると、
①動詞の基本活用形式→語幹を活用
 =動詞語幹[挿入音素]接辞語幹[挿入音素]接辞語幹・・・、
②形容詞の基本活用形式→語幹を活用
 =形容詞語幹[挿入音素:k]接辞語幹[挿入音素]接辞語幹
  ・・・、
③接辞・助動詞の基本活用形式1→語幹に附属
 (動詞語幹、形容詞語幹の活用に附属する場合)
 =[挿入音素]接辞語幹[挿入音素]接辞語幹[挿入音素]接辞
 語幹・・・、
④接辞・助動詞の基本活用形式2→助辞に附属
 (体言・助辞の活用に附属する場合)
 =体言[+]助辞[縮約傾向]接辞語幹[挿入音素]接辞語幹・・・
のように、4種類の形式で把握できます。
 4形式とも実効的に活用の意味を担っているのは、各個の接辞・
助動詞が持つ機能そのものです。つまり、活用とは、接辞が順次膠
着することにより、意味が増大し述語表現を明確にし豊かにすると
いうことです。
 
 つぎに、述語活用4形式に使われる膠着方法を整理してみよう。
①[挿入音素]=語幹と語幹の直接膠着で子音衝突や母音連続が起
 きると、発音しにくいので、中間に「単音素」を挿入する。
 その構造は[連結母音/無音]で子音衝突を回避、[無音/連結
 子音]挿入で母音連続を回避する工夫が古来より発達してきた。
 その工夫を新文法では[挿入音素]による一般形式表記の方法で
 表現させている。
・[挿入音素]の種類は、次の6種類である。
  [a/-],[i/-],[-/r],[-/s],[-/y],[-/k].
例1:[a/-],[i/-],の[挿入音素]は子音衝突の膠着で回避機能を発
 揮する。(接辞が子音語頭)
 [a/-]→kak[a]na[k0]i,yom[a]zuni/mi[-]na[k0]i,kangae[-]zuni,
  書かない、読まずに、/見ない、考えずに、(打消し述語)
 [i/-]→kak[0i=I]te,yom[0i=N]de/mi[-]te,kangae[-]te,
  書いて、読んで(イ音便)/見て、考えて、(連用形述語)
例2:[-/r],[-/s],[-/y],[-/k],の[挿入音素]は母音連続の膠着で
 回避機能を発揮する。(接辞が母音語頭)
 [-/y]→kak[-]ou,yom[-]ou,/mi[y]ou,kangae[y]ou,
  書こう、読もう、/見よう、考えよう、(前望、意向・勧奨)
 [-/r],[-/s],→kak[-]as[-]e[r]u,yom[-]as[-]e[r]u
  /mi[s]as[-]e[r]u,kangae[s]as[-]e[r]u,
  書かせる、読ませる、/見させる、考えさせる、(使役態)
  
②[挿入音素:k]←6種の最後:[-/k]に相当し、動詞との膠着に
 も使われるが、主に形容詞語幹との膠着での使用を推量します。
例1:古語「久語法」の接辞:-ak-(動作意図を消して動作事象の
 概念化を表出する接辞)から由来する[-/k]は、動詞用法では、
 iw[-]ak[-]u:(言うことの総体)言わんとすることは、
 tir[-]ak[-]ar[-]u:(散り敷く状況)部屋が散らかる。
 ne[k]as[-]u:(無意思物とみて横にしておく)赤児を寝かす。
例2:形容詞語幹に付加される用法:活用品詞に分類する以上、
 動詞に準じた膠着形式を推量しよう。
 形容詞語幹はすべて母音終りなので、[-/k]→[k]を[挿入音素]
 とし述語活用を表記できる。
 haya[s]i,tanosi([s]i):(文語:終止形)早し、楽し(し)、
 haya[k0]i,tanosi[k0]i:(口語:終止形)早い、楽しい(イ音便)
 と変遷し、古語時代から現代まで形容詞述語の活用方式はゆらい
 でいると感じる。シ・ク活用やカリ活用が入り組んでいる。
・形容詞の連用形=副詞的用法で推量すると、4種の連結子音で比
 べれば、[k]が最適だと一目瞭然で判る。
 haya[k]u,haya[r]u,haya[s]u,haya[y]u,
 :早く、早る、早す、早ゆ。 [k]には動作意図を消し抽象化する
 機能が備わってるからだろう。
〇haya[k](u[-]na[k0]i,u[-]te,[0]i,ere+ba)
 :ク活用(早くない、早くて、早い、早ければ)。
〇haya[k](ar[a]zu,ar[-]ou,ar[0i=Q]te,a(r[-]u),ar[-]e+ba,ar[-]e)
 :カリ活用(早からず、早かろう、早かって、早か(る)、
  早かれば、早かれ)。
(haya[k][0]i=haya[k0]i=haya[0]iの意味で、またhaya[k]-
 ar[0i=Q]te=haya[k]aQte=haya[k]atteの意味で表記した)
現代口語ではク活用とカリ活用を混用し部分的に使い分ける。
(する/来るの不規則動詞と類似するが、形容詞の場合は語幹一定
であり異形混在しない。どちらかと言えば、非活用の名容詞・形容
動詞と似ている)
 ---
つづく
 

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