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2019年11月

2019/11/24

述語形式と[挿入音素]7

述語形式と[挿入音素]7
2019/11/24(日)
 新文法では、形容詞を用言と認めて動詞活用と同様な活用形式
を適用する。(第1回に提起した。再掲すると、)
 形容詞語幹:Kで代表すると、Kはすべて母音末語幹なので、
[挿入音素]には、[-/k]→[k]を使って表記できます。
〇形容詞基本活用形式=K[k]接辞語幹[挿入音素]接辞語幹・・・、
 で表せる。
 古語時代の活用と現代の活用形式を比べてみよう。
・(シ)ク活用:K(-,[k]u,([s]i),[k]i,[k]ere,-,):→K[k](-,u,[0]i,ere,-,)
 →例:(haya,tanosi)[k]u:早く、楽しく、(連用は副詞的)
 ・(haya,tanosi)[k0]i:早い、楽しい、
 ・(haya,tanosi)[k]ere[+]ba:早ければ、楽しければ。
〇副詞的用法と-ar-接辞が連結してカリ活用が発生した。
・カリ活用:K[k]u[x]ar([a]zu,[i]te,-,[]u,-,[]e):縮約が進み、
 →K[k]ar([a]zu,[(0)i=Q]te,([]u/[0]),[]e)、が優勢になっている。
 →例:(haya,tanosi)[k]ar[0i=Q]te:早かって、楽しかって、
 ・(haya,tanosi)[k]ar([]u/[0]):早かる/早か、楽しかる/楽しか
 ・(haya,tanosi)[k]ar[]e:早かれ、楽しかれ。
〇k[k]ar([]ou,[]u/[0],[0i=Q]ta):早かろう、早か(る)、早かった、
  楽しかろう、楽しか(る)、楽しかった。(形容詞の現在時制
 表現が客観的にならないのは、早い、楽しいの感覚表現が代用
 するからです。早いです=早かる、楽しいです=楽しかる)
 
仮説4:形容詞の述語活用で(シ)ク活用やカリ活用が並行して用い
 られる。古語時代から現代まで変遷や由来があり継承されて来
 たはずだ。併存する活用形式を文法書に両方併記することが必
 要だと感じる。(形容詞活用は併記が多いが、不規則動詞の場
 合、その由来の併存形式があるはずだ。見たことがない)
例:不規則動詞の活用形式:併記がほしい。
・する:正然連用に「i/e」音を配置して活用する2形式。
 シ形:si([]nai,[y]ou,[]te,[r]u,[r]e,[r]o),
 セ形:se([]nu,[y]ou,[]te,[r]u,[r]e,[+]yo),
 →混在型:si[]nai,si[y]ou,si[]te,su[r]u,su[r]e,si[r]o,se[+]yo,
 態三系:s(u[r],as[],as[]e[r])u,
 能動四態:su[r]u,s(e[r],ar[],ar[]e[r])u,
・くる:出発点からくる=「きる」視点と、到達点にくる
 =「こる」視点で活用形が併記できるはずだ。
 キ形:ki([]nai,[y]ou,[]te,[r]u,[r]e,[r]o),
 コ形:ko([]nai,[y]ou,[]te,[r]u,[r]e,[+]i),
 →混在型:ko[]nai,ko[y]ou,ki[]te,ku[r]u,ku[r]e,ko[r]e,ko[+]i,
 態三系:ku[r]u,ko[s](as[],as[]e[r])u,
 能動四態:ku[r]u,ko[r](e[r],ar[],ar[]e[r])u,
例:文語から変遷・変化して現代口語で残っている接辞活用形式。
 特に完了、進行、継続の接辞の変化を明確に一覧したい。
・ツ形:-te[]nai,te[]te,tu,tu[r]u,tu[r]e,te[+]yo,→一段活用化でテ形へ
→テ形:-te([]nai,[]te,[r]u,[r]e,[r]o,)、デ形:-de(nai,[]te,[r]u,[r]e,[r]o,)
 〜てる:して「いる、ある」を超えて確実な実行済み事象や
 習慣的行動を表現する接辞である。「分かってる、知ってる」
・タリ形:te[x]ar[]i→tar([a]zu,[]i,[]i,[]u,[]e,[]e,)→tar([a]zu,[]i,[]u,[]e)
 完了の言い切り形は、ta(r[]u)→ta:た:タ形/ダ形になった。
→タ形:[i/-]tar([]ou,0([]u),[0i=Q]ta):〜(たろう、た(る)、たった)
→ダ形:[i/-]dar([]ou,0([]u),[0i=Q]ta):〜(だろう、だ(る)、だった)
 書いた:kak[0i=i]ta(r[]u)、書いたった:kak[0i=i]tar[0i=Q]ta、
 読んだ:yom[0i=N]da、読んだった:yom[0i=N]dar[0i=Q]ta、
 たった/だった:並行する事象の発生前に完了させている。
 「どうしたらいいか、対処法だって教えたったろ?!」
例:継続尽力して完遂させる意味の言葉で大きな進展があっ
 たのは可能表現です。
・二段活用時代には、起き・る、投げ・るが言えなかったが、
 一段活用化でoki[r]u,nage[r]u,が言えるようになった。
(原初、二段活用で起く・る、投ぐ・るの連体形を発明した
 見本があったのに、起き・る、投げ・るを発明するのに何
 世紀もかかってしまった)江戸期前後でようやく動き出す。 
→そこで、已然D[-/r]eにも、書け・る:kak[-/r]e[r]u,読め・る:
 yom[-/r]e[r]u,のように直接「る」を付加する用法が浸透した。
(見れ・る、来れ・る、食べれ・る、覚えれ・るも正規に使
 えるのに国語学の停滞でまたも世紀を費やしている)
・已然は動作完遂に尽力することを意味する。已然に「る」が
  連結すると、時制は現在・未来を表すから、これから完遂す
 ることにも言い当てることができる。これが可能動詞にピッ
 タリの言葉となる理由でもあります。
・将来へ向けた可能表現は、将然:D[-/y]ouとも近似する。
 ou→ahu:合う、ahe:敢え(已然)の古語が意味する将然の心意
 気と呼応して、D[-/r]e[r]uを可能態として使いはじめたので
 はと推測する。

2019/11/21

述語形式と[挿入音素]6

述語形式と[挿入音素]6
2019/11/21(木)
 国語文法で動詞活用語尾を「かな文字」解釈していて、一番の
食い散らかし被害を起こすのが、態の接辞に対してである。
・国語文法の態解釈は、受動接辞では:れる/られるの異形態で
 解釈し、使役態接辞では:せる/させる、の異形態で解釈する。
 1つの態が2つの形態を持つ:異形態の理由説明もない。
 
〇前回に新文法の仮説として、
・仮説1:[挿入音素]の連結子音:[-/r]、[-/s]、[-/y]、[-/k]、と
 態接辞:-ar-、-as-、-ay-、-ak-、の関係を述べた。
・仮説2:-ay-、[-/y]ou:は、已然の-e-接辞、可能態-e-接辞と類
 似の意味を持つ、と述べた。
 
今回は3つ目の仮説として、食い散らかされた態の接辞を回復さ
せるため、未然形にもぎ取られた-a-を取り戻す。異形態にする
必要もない。態と動作の律仕方を関係づける。
・仮説3:態の接辞は、-ar-、-as-、-ay-、-ak-、に、已然の-e-、
 を加えたもので、現代では-ay-を使わず、-e-が代行する。
 -ak-は動作概念を外延化して造語するので、汎用的な使用は少
 ないが、現代でも活用される。
〇異形態は起きない理由:基本が同一形態なのですから。
・受動態:D[-/r]ar[]e[r]u→(kak,mi,tabe,)[-/r]ar[]e[r]u:areru共通。
・使役態:D[-/s]as[]e[r]u→(kak,mi,tabe,)[-/s]as[]e[r]u:aseru共通。
〇態動詞を円滑に生成する方法:態の双対環=四態、三系四態。
・能動系四態:D[-/r](-,e[r],ar[],ar[]e[r])u:能動原形(-,可能,結果
 ,受動)の四態。原形−受動、可能−結果の双対環でもある。
・強制系四態:D[-/s]as[](-,e[r],ar[],ar[]e[r])u:強制原形(-,可能,
 結果,受動)の四態。
・使役系四態:D[-/s]as[]e[r](-,e[r],ar[],ar[]e[r])u:使役原形(-,
 可能,結果,受動)の四態。
〇三系四態の間で態の飛び移りもある:打たれ・させられる、
 ut[]ar[]e[s]as[]e[r]ar[]e[r]u:受動態→使役受動態へ飛び移り。
〇態の三系四態の意味と動作律:自律・律他・互律・果律。
①能動原形:主体が自律動作をする。(自動詞、他動詞とも)
 (能動原形の動作律を自律と呼ぶ)
・能動可能:主客が完遂するために尽力、互律動作する。
 (可能の動作律を互律と呼ぶ。完遂は主客相互の調和で)
・能動結果:動作結果が状況を律する。(果律と呼ぶ)
・能動受動:動作結果に対し主・客の互律反応を描写する。
 (受動の動作律を果互律と呼ぶ。動作結果による互律反
 応を描写するのだから、自動詞でも受動態を生成できる) 
②強制原形:主体が客体に律他指示する。客体は自律で
 律他指示に従う。客体の他律動作を求めるものではない。
 (強制主体の動作律を律他と呼ぶ。並行して客体の服従
 自律動作があることを忘れてはいけない)
・強制可能:主客・対物など律他互律の動作律で完遂させ
 る。(使役原形と同形同意である)
・強制結果、強制受動:主客に律他結果・自律結果が反応
 する。
③使役原形:主体が客体に律他互律の指示する。客体は自
 律で律他指示に従う。完遂に向け主客が手助け配慮する。
 (相互に配慮・手助けすることを互律と呼ぶ)
・使役可能=使役互律、使役結果=使役互律、使役受動=
 使役果互律、の説明を省略。
 
 以上、態接辞に関する仮説をまとめて示しました。
(1回の通し読みでは、腑に落ちないかもしれません。
 なにしろ、「律他、互律、果律、果互律、動作律」など
 国語辞典に載っていない新造語での概念ですから)

2019/11/19

述語形式と[挿入音素]5

述語形式と[挿入音素]5
2019/11/19(火)
 国語文法では動詞活用形の活用語尾音、いわゆる「あ、お、
い、う、え」がどんな意味を持つのか、説明していない。
 
 新文法が[挿入音素]を提案する以上、意味を説明したい。
〇[挿入音素]の連結母音、連結子音とは何か。
仮説1:[挿入音素]の連結母音は[a/-]、[i/-]、の2つ。
 連結子音は[-/r]、[-/s]、[-/y]、[-/k]、の4つ。
 連結子音に-a-を付加させると、-ar-、-as-、-ay-、-ak-、と
 なり、古代より馴染み深い重要な接辞・助動詞が出現する。
・-ar-:D-ar-:hazim-ar-,kasan-ar-,ag-ar-,ow-ar-,など自動詞生成
 の接辞に使われる。(-or-,-ir-,-ur-,-er-,などの同音回避の形態
 もある)hazim[]ar,kasan[]ar,と同形だが、古代では直結意識が
 強かっただろう。
・-as-:D-as-:ugok-as-,ok-os-,mak-as-,sag-as-,など他動詞生成
 の接辞に使われる。(-os-,などの同音回避の形態もありえる)
・-ay-:D-ay-:iw-ay-ur-,ar-ay-ur-,kik-oy-ur-,mi-y-ur-,など古代で
 の可能接辞として使われた。(-oy-,-y-,などの縮約もあった)
・-ak-:D-ak-:iw-ak-,tir-ak-ar-,obiy-ak-as-,など事然無意思概念化
 の接辞に使われる。(obie[r]as-,obie[s]as-の使役態では、怯え
 の程度を相手の自律反応に任せてしまうことになる。obiy-ak-
 であれば動作を無律化し、obiy-ak-as-で単純他動詞にできる)
 (-k-,などの縮約もある:寝かす:ne-k-as-)
〇この4つの接辞は動詞の態表現に使う重要な助動詞で、特に
・-ar-,-as-,は受動系、使役系の現役の態接辞である。
・-ay-,は上代以降の使用例がほとんどない。近世では已然の-e-
 接辞が可能態の役目を十分に引き継いでいる。
・-ak-,は平安期以降の使用例は少ないが、動作意図を忖度・隠
 蔽するとか、関連事象へ外延化するとかのために現代でも使
 われる。(waraw-ak-as-,wara-k-as-,yar-ak-as-,zur-ak-ar-)
〇4接辞が単音素の[挿入音素]に使用される際に、縮約用法
 により、[-/r]、[-/s]、[-/y]、[-/k]、になったと推測するのも仮
 説の中で解決すべきこと。おそらく、動き表現の正然連用形
 に事象意味付けをほどこすため、r、s、y、k、を付加し
 たのだろう。子音末語幹の動詞は語幹が一貫して事象にも対
 応できるので変化しない。
 
仮説2:活用語尾「お、う、え」を七然活用形では、接辞とし
 て将然:[-/y]ou、事然:[-/r]u、已然:[-/r]e、の形態で解釈する。
・-u-は、動詞の統語接辞で基本形を示す。
〇古語での将然はD[a/-]m[]u:書かむ、見む、食べむ、から変遷
 して、D[-/y]ah[]u:書かふ、見やふ、食べやふ→D[-/y]au:
 書かう、見やう、食べやう→D[-/y]ou:書こう、見よう、食べ
 よう、になった。
・-ah-も古語では、造語接辞で使われ、原意は「合う」で、動作
 を「継続してやり合う」の意味である。
 叩く+合う=戦う、語る+合う=語らう、などを派生した。
・「敢えて」:-ah[]e[]te、条件に負けない動作をする、やり抜く、
 という原意を持っている。(敢えて=-ah-の已然形態)
〇仮説2の肝要は、将然:-ou-:動作を完遂しよう、已然:-e-
 :動作を完遂成就して、とアスペクト局面が違っているが、
 同じ動作意図を表していると気がついた。以前から無意識的
 に感じていたことが実感覚になった。どうでしょう。
・将然も已然も「敢えて・条件をすり合わせて・尽力して・
 完遂させる」ことを目指すから、相手との相互協力と相互調
 和が必要になる。
〇同じアスペクト局面を表現する場合でも、動作の立ち位置の
 違いで異なる動詞形態を使う例がある。
・来る:ku[r]u、が不規則動詞である理由はこの仮説に似てる。
 動作の出発点から到達点まで距離がある場合、
・出発点からの動き:ki[]na[k0]i,ki[]te,ki[r]u,ki[r]eba,ki[]yo,
・到達点での動き:ko[]na[k0]i,ko[]te,ko[r]u,ko[r]eba,ko[]i,
・混在型動詞:ko[]na[k0]i,ki[]te,ku[r]u,ku[r]eba,ko[]i,
〇江戸後期に将然と已然の類似点に気づいて、已然独立動詞化
 :D[-/r]e[r]u:書ける、読める、知れる、などを可能動詞と
 見なした。当時は[挿入音素]に気付かないから、見れる、
 食べれる、来れる、などを「考えれ」なかった。
〇将然[-/y]の-y-が可能の接辞要素を持っているし、-ou-が勧奨
 の意味でもあり、已然-e-が動作完遂・成就を意味するし、
 両然形の類似性は高いと感じる。(互律:条件に合わせる
 に通じる)
・これで、可能態接辞:-e-(已然接辞と同じ)の誕生を説明
 できる。
 
つづく

2019/11/16

述語形式と[挿入音素]4

述語形式と[挿入音素]4
2019/11/16(土)
 動詞活用形式=動詞語幹[挿入音素]接辞語幹[挿入音素]接辞語幹、
ですから、第一段の接辞選択=動詞語幹[挿入音素]接辞語幹が動作
の方向性を決める。同時に6種類の[挿入音素]選択も方向性に
関与する。
 
〇動詞基本活用形式:動詞語幹をDで代表、接辞一段まで表記。
(五段活用/一段活用を1行にまとめて一般形式表記する)
①未然:打消し:D[a/-]na[k0]i:飲まない、食べない、逆らわない。
(現代口語:D[a/-](nai,zuni,mai,)など打消しに限定)
②将然:前望・勧奨:D[-/y]ou:飲もう、食べよう、逆らおう。
(古語:意思:D[a/-]m[]u:飲まむ、食べむ、逆らわむ、が近い)
③正然:連用・進行:D[i/-]te[+]:飲んで、食べて、逆らって、
(イ音便:no(m[0i)=N]de,tabe[]te,sakara(w[0i)=Q]te)
(連用止め:D[i/-]0-:飲み、食べ、逆らい、動名詞扱いが可能)
④事然:動作事象:D[-/r]u:飲む、食べる、逆らう。
⑤係然:連体・関係:D[-/r]u[+]:(飲む、食べる、逆らう)理由?
⑥已然:完遂・仮定:D[-/r]e:(飲め、食べれ、逆らえ)て、ば、
⑦命然:完遂命令:D[-/r](e(yo)/(ey)o):飲め、食べろ、逆らえ。
〇以上、7種類の〜然形態に揃えて基本活用形を示しました。
 〜然名称の定義に今回初登場の「係然、命然」があります。
・係然:けいぜん:従来の連体形を言い換えたもの。連体形の作
 用が関係文節を作り出す修飾機能に着眼し重用する命名です。
(古語「係り結び」の結び倒置法が、現代では修飾機能「係り」
 作用として連体形が使われてるからです)
・命然:めいぜん:従前の命令形を言い換えるが、正然を命じる
 のではなく、已然(動作完遂)を目指して命令する。

 この七然活用形は国語文法の活用表になぞらえた構成です。
基本的に動作・状態の局面相:アスペクトへの入口を整理して示
すものであり、動詞文、形容詞文、名詞文などにほぼ共通に当て
嵌めることが可能であるから、重用される。
→国語文法では動詞の活用語尾の末尾母音が「あ、お、い、う、
 え」だと見做す傾向にある。(活用語尾で語幹・接辞を食い散
 らかしながらも、「あ、お、い、う、え」には何も意味がない
 と言いつくろうことが多い)
〇しかし、七然活用形の視点では[挿入音素]接辞を区別する。
・[a/-]nai、[-/y]ou、[i/-]te、[-/r]u、[-/r]e、「あ、い」は連結母音、
 「お、う、え」は接辞・助動詞なのである。明確に識別できる
 から、意味を手繰りやすくなる。
  
 次回以降に[挿入音素]、連結母音、連結子音の意味を推論す
ることとして、ここでは、七然活用形全体の構想について補足考
察を述べておきたい。
〇活用形の全体構想:古代から日本語に定着する動詞活用の全体
 像の捉え方に共感する。つまり、態活用や時制表現を分離して
 動詞:D自体の膠着活用だけを抽出する考え方が優れている。
・D[a/-]:未然→動作に入らず、打消し。(に限定する)
・D[-/y]:将然→動作しようか推量する状態。
→・D[i/-]:正然→動作進行の状態。
→・D[-/r]:事然→動作事象、出来事として陳述する。
→・D[-/r]:係然→事象を関係づける、連体修飾する。
→・D[-/r]:已然-e-接辞→動作完遂の状態、完遂の仮定。
→・D[-/r]:命然-e(yo)-/-(ey)o-→動作完遂を命ずる。
〇未然、将然は、動作Dに達しない。局面の外にある。
〇正然〜命然が、動作Dの活用局面の記述に関与する。
〇事然、係然は、動作Dよりも事象D出来事Dに注目する。
〇正然は、動作Dの進行状況を各種の補助動詞と連結して陳述
 する。
〇已然は、動作Dの完遂状況を陳述したり、完遂仮定したり、
 完遂命令したり、と多面的に使われる。
・已然は、動作Dの完遂尽力、完遂決意の陳述とも解釈できる
 から、近世では可能態、可能動詞として広く活用される。
・已然は、動作Dの完遂を実行する者も、被実行者・物にも
 完遂(物理的、技能的、社会的)条件に順応できるように、
 相互動作を求める意味を持つ。
 
 最後に指摘すると、動詞Dの動作描写を担う活用形、然形は
〇正然・連用形と已然・連用形だけです。
・正然:[i/-]の[i]音、二段活用の連用語幹末:-i-,-e-、已然の
 -e-音、つまり、−i−,−e−,[i]音だけが動作の動きを陳述
 する音であったのです。
・二段活用の連用語末:i,e,は一段活用化で語幹末に組み
 込まれ、已然のe音も可能動詞として語幹化しています。
・つまり、i,e音はD動作を描写する活用形と見なしてきた
 のだと納得できる。ところが、未然のa音の捉え方が問題。
・未然:a音のD-a-xx,-D[a]xxにより、Dに関連する新しい
 動詞を生み出せると読み違えたのは大きな失敗です。
〇未然:[a/-]のa音は、打ち消し用に限定しよう。
 態接辞の-ar-,-as-,-ay-,-ak-,などの-a音が未然形にもぎ取ら
 れる解釈を残念ながら昔から引き継いできました。
 
つづく

2019/11/10

述語形式と[挿入音素]3

述語形式と[挿入音素]3
2019/11/10(日)
 [挿入音素]の性質について独自の仮説を記述しましょう。
 
 まず、おさらいのため、国語文法での動詞活用の捉え方を分析
しておこう。
〇動詞活用の基本形式=動詞語幹+活用語尾+助動詞接辞、
 の構造概念を用いて示そうとします。
・この概念は、残念ながら「絵にも書けない餅」であり、「かな
 文字」解析では、動詞語幹と活用語尾を+記号で区切れません。
 「ローマ字」で、kak+e+nai と表記しなければ、基本形式の概念
 を正確に表せません。国語学者が頭脳の中で「ローマ字」変換し
 つつ精密に考察しているのだとすれば、頼もしいのだが、、、
・国語文法では、動詞語幹:か、活用語尾:け、だと言い続けてい
 ます。(書けない:ka+ke+nai、見ない:0+mi+nai、食べない:
 ta+be+nai、) 「活用語尾:が語幹を食い散らかす:という方便」
 を有史以来続けています。
 
 では、新提案の[挿入音素]の考え方を分析してみましょう。
〇動詞活用の基本形式=動詞語幹[挿入音素]接辞語幹[挿入音素]
 接辞語幹・・・の構造概念です。これで一般形式表記できます。
・助動詞も接辞語幹[挿入音素]接辞語幹で連結していきます。
〇[挿入音素]の基本構造=[連結母音/無音]、[無音/連結子音]の
 どちらかの活用形態をとります。
・[挿入音素]の役割は、活用に際し子音連続や母音連続をさける
 ために単音素の連結母音や連結子音を挿入して発音しやすくする
 ことです。古来より日本語の膠着指向は子音連続や母音連続を嫌
 う傾向が強いからです。
〇動詞活用の一般形式表記の例を示す。動詞語幹:Dで代表する。
例:D[a/-]na[k0]i:動作打ち消し、D[-/r]e[a/-]na[k0]i:動作完遂
 不可の表現をまとめて:→D(-, [-/r]e)[a/-]na[k0]i で表記。
・書かない、書けない:kak(-, [-/r]e)[a/-]na[k0]i、
・見ない、見れない: mi(-, [-/r]e)[a/-]na[k0]i、
・食べない、食べれない:tabe(-, [-/r]e)[a/-]na[k0]i、
このように五段活用動詞や一段活用動詞を共通表記ができるから、
活用の文法則を効率的に説明、理解できるのです。
その理由は、語幹や接辞を:変形・食い散らかしせずに必要な場
合に[単音素を挿入する]だけだからです。
 
 [挿入音素]の基本構造が優れてるのは、語幹末音、語頭音の
組み合わせを考慮して、[連結母音/無音]、[無音/連結子音]の選
択可能構造を採用したからです。
〇[連結母音]が必要な条件は、語幹末・接辞語頭がともに子音の
 場合です。それ以外では無音挿入・直結でつなげます。
・つまり、[連結母音/無音]子音語頭接辞の連結条件に相当する。
 子音末語幹[連結母音]子音語頭接辞/母音末語幹[無音]子音語頭
 接辞という連結選択条件を表している。
〇[連結子音]が必要な条件は、語幹末・接辞語頭がともに母音の
 場合です。それ以外では無音挿入・直結でつなげます。
・つまり、[無音/連結子音]母音語頭接辞の連結条件に相当する。
 子音末語幹[無音]母音語頭接辞/母音末語幹[連結子音]母音語頭
 接辞という連結選択条件を表している。
 
 [挿入音素]はいわゆる判断選択演算子です。
〇判断論理の[はい/いいえ]選択において、分岐した一方のみ
 を表現するのではなく、他の分岐が成立する条件にも適応でき
 る形式になってることが特徴です。
〇[連結母音/無音]、[無音/連結子音]のように、二分岐選択形式
 のままで思考することを、二分合体思考法と独自に命名して常
 用しています。
・特に日本語の膠着の場合は、接辞が後ろから前へ、後ろから前
 へつながっていきます。接辞連結の都度、判断選択演算子の後
 ろから前に向けた連結条件の選択判断が必要なのです。
例:つながっていきます:tunag[-/r]ar[i/-]te[+]ik[i/-]mas[-/r]u→
 tunag[]a(r[0i)=Q]te[+]ik[i]mas[]u→tunag[]a([=t)]te[+]ik[i]mas[]u.
(注:無音選択:[-]→[]、イ音便促音:(r[0i)=Q]te→([=t)]te、)
(イ音便なし:-s:sagas[i]te,watas[i]te, -母音末:mi[]te,sirabe[]te)
(イ音便消音:-k,g:kak[0i=i]te,oyog[0i=i]de,例外:行くik[0i=Q]te)
(イ音便撥音:-b,n,m:asob[0i=N]de,yom[0i=N]de,)
(イ音便促音:-t,r,w:tat[0i=Q]te,ar[0i=Q]te,negaw[0i=Q]te,)
(この音便は用言活用の[i/-]te,[i/-]taで現れる縮約発音です)
 

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