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2019/11/16

述語形式と[挿入音素]4

述語形式と[挿入音素]4
2019/11/16(土)
 動詞活用形式=動詞語幹[挿入音素]接辞語幹[挿入音素]接辞語幹、
ですから、第一段の接辞選択=動詞語幹[挿入音素]接辞語幹が動作
の方向性を決める。同時に6種類の[挿入音素]選択も方向性に
関与する。
 
〇動詞基本活用形式:動詞語幹をDで代表、接辞一段まで表記。
(五段活用/一段活用を1行にまとめて一般形式表記する)
①未然:打消し:D[a/-]na[k0]i:飲まない、食べない、逆らわない。
(現代口語:D[a/-](nai,zuni,mai,)など打消しに限定)
②将然:前望・勧奨:D[-/y]ou:飲もう、食べよう、逆らおう。
(古語:意思:D[a/-]m[]u:飲まむ、食べむ、逆らわむ、が近い)
③正然:連用・進行:D[i/-]te[+]:飲んで、食べて、逆らって、
(イ音便:no(m[0i)=N]de,tabe[]te,sakara(w[0i)=Q]te)
(連用止め:D[i/-]0-:飲み、食べ、逆らい、動名詞扱いが可能)
④事然:動作事象:D[-/r]u:飲む、食べる、逆らう。
⑤係然:連体・関係:D[-/r]u[+]:(飲む、食べる、逆らう)理由?
⑥已然:完遂・仮定:D[-/r]e:(飲め、食べれ、逆らえ)て、ば、
⑦命然:完遂命令:D[-/r](e(yo)/(ey)o):飲め、食べろ、逆らえ。
〇以上、7種類の〜然形態に揃えて基本活用形を示しました。
 〜然名称の定義に今回初登場の「係然、命然」があります。
・係然:けいぜん:従来の連体形を言い換えたもの。連体形の作
 用が関係文節を作り出す修飾機能に着眼し重用する命名です。
(古語「係り結び」の結び倒置法が、現代では修飾機能「係り」
 作用として連体形が使われてるからです)
・命然:めいぜん:従前の命令形を言い換えるが、正然を命じる
 のではなく、已然(動作完遂)を目指して命令する。

 この七然活用形は国語文法の活用表になぞらえた構成です。
基本的に動作・状態の局面相:アスペクトへの入口を整理して示
すものであり、動詞文、形容詞文、名詞文などにほぼ共通に当て
嵌めることが可能であるから、重用される。
→国語文法では動詞の活用語尾の末尾母音が「あ、お、い、う、
 え」だと見做す傾向にある。(活用語尾で語幹・接辞を食い散
 らかしながらも、「あ、お、い、う、え」には何も意味がない
 と言いつくろうことが多い)
〇しかし、七然活用形の視点では[挿入音素]接辞を区別する。
・[a/-]nai、[-/y]ou、[i/-]te、[-/r]u、[-/r]e、「あ、い」は連結母音、
 「お、う、え」は接辞・助動詞なのである。明確に識別できる
 から、意味を手繰りやすくなる。
  
 次回以降に[挿入音素]、連結母音、連結子音の意味を推論す
ることとして、ここでは、七然活用形全体の構想について補足考
察を述べておきたい。
〇活用形の全体構想:古代から日本語に定着する動詞活用の全体
 像の捉え方に共感する。つまり、態活用や時制表現を分離して
 動詞:D自体の膠着活用だけを抽出する考え方が優れている。
・D[a/-]:未然→動作に入らず、打消し。(に限定する)
・D[-/y]:将然→動作しようか推量する状態。
→・D[i/-]:正然→動作進行の状態。
→・D[-/r]:事然→動作事象、出来事として陳述する。
→・D[-/r]:係然→事象を関係づける、連体修飾する。
→・D[-/r]:已然-e-接辞→動作完遂の状態、完遂の仮定。
→・D[-/r]:命然-e(yo)-/-(ey)o-→動作完遂を命ずる。
〇未然、将然は、動作Dに達しない。局面の外にある。
〇正然〜命然が、動作Dの活用局面の記述に関与する。
〇事然、係然は、動作Dよりも事象D出来事Dに注目する。
〇正然は、動作Dの進行状況を各種の補助動詞と連結して陳述
 する。
〇已然は、動作Dの完遂状況を陳述したり、完遂仮定したり、
 完遂命令したり、と多面的に使われる。
・已然は、動作Dの完遂尽力、完遂決意の陳述とも解釈できる
 から、近世では可能態、可能動詞として広く活用される。
・已然は、動作Dの完遂を実行する者も、被実行者・物にも
 完遂(物理的、技能的、社会的)条件に順応できるように、
 相互動作を求める意味を持つ。
 
 最後に指摘すると、動詞Dの動作描写を担う活用形、然形は
〇正然・連用形と已然・連用形だけです。
・正然:[i/-]の[i]音、二段活用の連用語幹末:-i-,-e-、已然の
 -e-音、つまり、−i−,−e−,[i]音だけが動作の動きを陳述
 する音であったのです。
・二段活用の連用語末:i,e,は一段活用化で語幹末に組み
 込まれ、已然のe音も可能動詞として語幹化しています。
・つまり、i,e音はD動作を描写する活用形と見なしてきた
 のだと納得できる。ところが、未然のa音の捉え方が問題。
・未然:a音のD-a-xx,-D[a]xxにより、Dに関連する新しい
 動詞を生み出せると読み違えたのは大きな失敗です。
〇未然:[a/-]のa音は、打ち消し用に限定しよう。
 態接辞の-ar-,-as-,-ay-,-ak-,などの-a音が未然形にもぎ取ら
 れる解釈を残念ながら昔から引き継いできました。
 
つづく

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