述語形式と[挿入音素]7
述語形式と[挿入音素]7
2019/11/24(日)
新文法では、形容詞を用言と認めて動詞活用と同様な活用形式
を適用する。(第1回に提起した。再掲すると、)
形容詞語幹:Kで代表すると、Kはすべて母音末語幹なので、
[挿入音素]には、[-/k]→[k]を使って表記できます。
〇形容詞基本活用形式=K[k]接辞語幹[挿入音素]接辞語幹・・・、
で表せる。
古語時代の活用と現代の活用形式を比べてみよう。
・(シ)ク活用:K(-,[k]u,([s]i),[k]i,[k]ere,-,):→K[k](-,u,[0]i,ere,-,)
→例:(haya,tanosi)[k]u:早く、楽しく、(連用は副詞的)
・(haya,tanosi)[k0]i:早い、楽しい、
・(haya,tanosi)[k]ere[+]ba:早ければ、楽しければ。
〇副詞的用法と-ar-接辞が連結してカリ活用が発生した。
・カリ活用:K[k]u[x]ar([a]zu,[i]te,-,[]u,-,[]e):縮約が進み、
→K[k]ar([a]zu,[(0)i=Q]te,([]u/[0]),[]e)、が優勢になっている。
→例:(haya,tanosi)[k]ar[0i=Q]te:早かって、楽しかって、
・(haya,tanosi)[k]ar([]u/[0]):早かる/早か、楽しかる/楽しか
・(haya,tanosi)[k]ar[]e:早かれ、楽しかれ。
〇k[k]ar([]ou,[]u/[0],[0i=Q]ta):早かろう、早か(る)、早かった、
楽しかろう、楽しか(る)、楽しかった。(形容詞の現在時制
表現が客観的にならないのは、早い、楽しいの感覚表現が代用
するからです。早いです=早かる、楽しいです=楽しかる)
仮説4:形容詞の述語活用で(シ)ク活用やカリ活用が並行して用い
られる。古語時代から現代まで変遷や由来があり継承されて来
たはずだ。併存する活用形式を文法書に両方併記することが必
要だと感じる。(形容詞活用は併記が多いが、不規則動詞の場
合、その由来の併存形式があるはずだ。見たことがない)
例:不規則動詞の活用形式:併記がほしい。
・する:正然連用に「i/e」音を配置して活用する2形式。
シ形:si([]nai,[y]ou,[]te,[r]u,[r]e,[r]o),
セ形:se([]nu,[y]ou,[]te,[r]u,[r]e,[+]yo),
→混在型:si[]nai,si[y]ou,si[]te,su[r]u,su[r]e,si[r]o,se[+]yo,
態三系:s(u[r],as[],as[]e[r])u,
能動四態:su[r]u,s(e[r],ar[],ar[]e[r])u,
・くる:出発点からくる=「きる」視点と、到達点にくる
=「こる」視点で活用形が併記できるはずだ。
キ形:ki([]nai,[y]ou,[]te,[r]u,[r]e,[r]o),
コ形:ko([]nai,[y]ou,[]te,[r]u,[r]e,[+]i),
→混在型:ko[]nai,ko[y]ou,ki[]te,ku[r]u,ku[r]e,ko[r]e,ko[+]i,
態三系:ku[r]u,ko[s](as[],as[]e[r])u,
能動四態:ku[r]u,ko[r](e[r],ar[],ar[]e[r])u,
例:文語から変遷・変化して現代口語で残っている接辞活用形式。
特に完了、進行、継続の接辞の変化を明確に一覧したい。
・ツ形:-te[]nai,te[]te,tu,tu[r]u,tu[r]e,te[+]yo,→一段活用化でテ形へ
→テ形:-te([]nai,[]te,[r]u,[r]e,[r]o,)、デ形:-de(nai,[]te,[r]u,[r]e,[r]o,)
〜てる:して「いる、ある」を超えて確実な実行済み事象や
習慣的行動を表現する接辞である。「分かってる、知ってる」
・タリ形:te[x]ar[]i→tar([a]zu,[]i,[]i,[]u,[]e,[]e,)→tar([a]zu,[]i,[]u,[]e)
完了の言い切り形は、ta(r[]u)→ta:た:タ形/ダ形になった。
→タ形:[i/-]tar([]ou,0([]u),[0i=Q]ta):〜(たろう、た(る)、たった)
→ダ形:[i/-]dar([]ou,0([]u),[0i=Q]ta):〜(だろう、だ(る)、だった)
書いた:kak[0i=i]ta(r[]u)、書いたった:kak[0i=i]tar[0i=Q]ta、
読んだ:yom[0i=N]da、読んだった:yom[0i=N]dar[0i=Q]ta、
たった/だった:並行する事象の発生前に完了させている。
「どうしたらいいか、対処法だって教えたったろ?!」
例:継続尽力して完遂させる意味の言葉で大きな進展があっ
たのは可能表現です。
・二段活用時代には、起き・る、投げ・るが言えなかったが、
一段活用化でoki[r]u,nage[r]u,が言えるようになった。
(原初、二段活用で起く・る、投ぐ・るの連体形を発明した
見本があったのに、起き・る、投げ・るを発明するのに何
世紀もかかってしまった)江戸期前後でようやく動き出す。
→そこで、已然D[-/r]eにも、書け・る:kak[-/r]e[r]u,読め・る:
yom[-/r]e[r]u,のように直接「る」を付加する用法が浸透した。
(見れ・る、来れ・る、食べれ・る、覚えれ・るも正規に使
えるのに国語学の停滞でまたも世紀を費やしている)
・已然は動作完遂に尽力することを意味する。已然に「る」が
連結すると、時制は現在・未来を表すから、これから完遂す
ることにも言い当てることができる。これが可能動詞にピッ
タリの言葉となる理由でもあります。
・将来へ向けた可能表現は、将然:D[-/y]ouとも近似する。
ou→ahu:合う、ahe:敢え(已然)の古語が意味する将然の心意
気と呼応して、D[-/r]e[r]uを可能態として使いはじめたので
はと推測する。
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