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2020/01/31

二分合体思考法の由来と発展

二分合体思考法の由来と発展
2020/01/31(金)
 新文法を考える時に常に判断の過不足を内省する方法を探って
きました。その一つが二分合体思考法と仮称する方法です。
 今から40年以上前に半導体のデジタル論理回路を扱うことに
なり、MIL記号を使って回路設計するようになったのがきっか
けでした。
・正論理のAND回路は負論理のOR回路機能を相補・双対的に内
 包します。裏表の機能関係であり同時に存在します。両方合わ
 せて回路の全性能を表します。AND条件に適う事態でないもの
 は、必ず負のOR条件に適合する。
・排他的OR回路は裏機能に負論理の包括的一致回路:inclusive
 AND回路の働きをします。当時(現在も)排他的OR回路の記
 号図だけが描かれ、一致回路の記号図を描く人は見当たらなか
 った。(2入力1出力の論理回路図を想定)
・排他的OR:=))>ー、包括NAND:=|| )○ー(絵文字略図)
 のような包括NAND回路図を考案して技術雑誌へ投稿したり
 しました。(2入力1出力の不一致/一致論理を作図)
〇排他論理「2入力のどちらかが他者と異なる場合→出力”1”」
 回路は、2者が不一致であることを検出し”1”を出力するが、
 同様に「2入力が相互に一致する場合→出力”0”」検出の回路
 機能を併せ持つと見なすことができる。
・本来、MIL記号は正負共存する論理機能のどちらの条件を設
 計意図にするのか、を明確に図示するための米軍規則であった。
〇二分法で判断して適/不適に分けた2つを合体すると、元の全
 体を包含できているかどうか、を判断思考の基本とする。
 これが二分合体思考法なのです。つまり、不一致検出が判断で
 きるなら、その判断から漏れる事態は一致状態なのです。
 (たとえば、”=))>ー”と”=|| )○ー”の論理図が同時に脳裏に浮
 かぶように思考することです。あるいは一晩寝てから思いつい
 ても構わない。思いつかない人のほうが圧倒的に多いので)
 
 新文法で二分合体思考法を使い込んできて、不規則動詞の活用
形を解析するのに役立てることができた。
〇する:語幹が4つ混在する。si[r]u、se[r]u、su[r]u、s、の4種。
・シ形:si[]na[k0]i,si[y]ou,si[]te,si[r]u,si[r]e,si[r]o.
・セ形:se[]nu,se[y]ou,se[]te,se[r]u,se[r]e,se[+]yo,se[+]i.
・セ態形(古語):se[r]ar[]u,se[r]ar[]e,se[s]as[]u,se[s]as[]e,
→混在形(現代):si[]na[k0]i,si[y]ou,si[]te,su[r]u,su[r]e,si[r]o.
→S態形(現代):su[r]u,s[]e[r]u,s[]ar[]e[r]u,s[]as[]u,s[]as[]e[r]u.
〇「する」動詞の全体を広く眺めて法則性を見付けることが大事。
 正然・連用には「i、e」音のどちらかが使われるから、シ形
 セ形が生じる。文語ではセ形が優勢であったが、口語ではシ形、
 ジ形が強くなっている。態ではS態形が優勢になったようだ。
(サ形:s[a]ru,s[a]r[]e[r]u,s[a]s[]u,s[a]s[]e[r]uは国語文法の錯誤で
 あり、S態形:s[]e[r]u,s[]ar[]u,s[]ar[]e[r]u,s[]as[]u,s[]as[]e[r]u.が
 他の規則動詞と同様に二分合体思考法の法則性に適う)
・国語文法の弱点は態表現にあり、「読まさせていただきます」
 を不思議に思わず、逆に丁寧度が上がる表現だと吐露する向き
 が(高名な学者、教育者にもその風潮あり)ある。
・新文法の表記では:yom[]as[]as[]e[]te[+]itadak[i]mas[]uとなり、
 二重強制の表現だと確認できます。意図した二重強制表現であ
 れば卑屈な表現だと言えるから、正常人なら「読ませて」:
 yom[]as[]e[]te の一回使役形が充分によい表現です。
 
〇くる:語幹が3つ混在する。ki[r]u、ko[r]u、ku[r]u、の3種。
・キ形:ki[]na[k0]i,ki[y]ou,ki[]te,ki[r]u,ki[r]e,ki[+]yo.
・コ形:ko[]na[k0]i,ko[y]ou,ko[]te,ko[r]u,ko[r]e,ko[+]yo,ko[+]i.
・コ態形(古語):ku[r]u,ko[r]ar[]u,ko[r]ar[]e,ko[s]as[]u,ko[s]as[]e,
→混在形(現代):ko[]na[k0]i,ko[y]ou,ki[]te,ku[r]u,ku[r]e,ko[r]e,
 ko[+]i.
→コ態形(現代):ku[r]u,ko[r]e[r]u,ko[r]ar[]u,ko[r]ar[]e[r]u,ko[s]-
 as[]u,ko[s]as[]e[r]u.
〇「くる」動詞の活用を全体に広げて確認することが大事。
 正然・連用にi音は使い、e音は蹴るに被るので古語時代に
 避けられたのだろう。
・きる形:出発点からくる:視点での移動動詞。「きらっせ:
 ki[r]as[]e[]mas[]e! 遠路きていただきありがとう」の意味か。
・こる形:到達点にくる:視点での到達動詞。「こらっせ:
 ko[r]as[]e[]mas[]e! 訪ねていただきありがとう」の意味か。
・「来なさい」が、きなさい・こなさい、とか、きなはれ・
 こなはれ、のどちらにも発話される地方がありうるという
 こと。意味由来が合理的なら排除する根拠はない。それが
 全体を余さない二分合体思考法に適合する。
(国語文法で「きる/こる」動詞の説明を見たことがないので
 新文法で記事にしておこう。2度目の言及かもしれない)
  
 規則動詞の場合には、動詞語幹が子音末:五段(四段)活用の
条件と、動詞語幹が母音末:一段活用の条件の2種類なので、ま
さに二分合体思考法に当てはまる。
〇(規則)動詞語幹をDで、接辞語幹・助動詞語幹をSnで一般
 化した形式により表記すると、すべての動詞活用は次の構造形
 式で表現できる。
・動詞活用=D[挿入音素]S1[挿入音素]S2[挿入音素]S3・・・。
・[挿入音素]=[連結母音/無音]→[a/-]、[i/-]、の2つと、
(Sが子音語頭の場合に適合する)
・[挿入音素]=[無音/連結子音]→[-/r]、[-/s]、[-/y]、[-/k]、の4つ、
(Sが母音語頭の場合に適合する)の全6種ですべてである。
〇動詞基本活用形:(五段活用/一段活用を一般形式表記)
・D([a/-]na[k0]i,[-/y]ou,[i/-]te,[-/r]u,[-/r]u,[-/r]e,[-/r]e(+yo)/[-/r](ey)o)
 書く:kak[a]na[k0]i,kak[]ou,kak[0i=i]te,kak[]u,kak[]e,kak[]e.
 見る:mi[]na[k0]i,mi[y]ou,mi[]te,mi[r]u,mi[r]e,mi[r]o.
 食べる:tabe[]na[k0]i,tabe[y]ou,tabe[]te,tabe[r]u,tabe[r]e,tabe[r]o.
〇態動詞基本形:態の三系四態
・能動系四態:能動態原形−可能態ー結果態ー受動態
・D[-/r](−,e[r],ar[],ar[]e[r])u. (共通項をくくり出してある)
 書くー書けるー書かるー書かれる、
 見るー見れるー見らるー見られる、
 食べるー食べれるー食べらるー食べられる。
・強制系四態:強制態原形ー可能態ー結果態ー受動態
・D[-/s]as[](−,e[r],ar[],ar[]e[r])u. (共通項をくくり出してある)
 書かすー書かせるー書かさるー書かされる、
 見さすー見させるー見ささるー見さされる、
 食べさすー食べさせるー食べささるー食べさされる。
・使役系四態:使役態原形ー可能態ー結果態ー受動態
・D[-/s]as[]e[r](−,e[r],ar[],ar[]e[r])u.(共通項をくくり出してある)
 書かせるー書かせれるー書かせらるー書かせられる、
 見させるー見させれるー見させらるー見させられる、
 食べさせるー食べさせれるー食べさせらるー食べさせられる。
(注:態の接辞(-ar-,-as-,-e-,-are-,-ase-,)は未然形に連結するので
 は決してない。原則通り動詞原形語幹[挿入音素]接辞語幹で連
 結すると気付けば、正確な接辞形態が読み取れる)
 

 

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コメント

> 言う、行く、などは規則的な基本活用形としても許容できる範囲にあると考えます。
 あぁ、そのあたりは気にしないでください。そのあたりの話は、音声学的なものでしかありませんので。
 コンピュータを使って、いわゆる「語幹」を抽出していると、現代語については
子音終わり → 五段活用
母音終わり → 一段活用
という法則が見えてくるわけですが、「母音終わりなのに五段活用」という、ヘンな動詞があるわけです。
 それが、「五段活用ワ行音動詞」なのですが、これらは「四段活用ハ行音動詞」から来ているわけです。
この件については、大修館の『言語』上で、国広哲弥先生と議論になったことがあります。「『言う』は不規則ではない!」と。
 ですが、文語の一段動詞は「i・e」末尾で、「a・o・u」末尾の動詞って、なかったんですよ。で、末尾の指標音ではる h 音が消えてしまって、その前にあった a・o・u 音が前に出てきて「五段活用ワ行音動詞」というものが成立したという話です。
 で、こうなると、「だったら、h 音の前に i・e 音がある動詞はどこへ行っちゃんたんだ?」という話になるわけですが、そこを網羅して「こうなった」というのを納得していただいたという経緯があります。
 「これぞコンピュータの威力!」とか思いますでしょう? ところが実際は、手作業で古語辞典を頭から最後までチェックして「四談活用ハ行音末尾動詞」を抽出していちいちチェックしただけなんですよpgr
 ですから、
> 島田様のように専門的に大量データを扱われる方
というのは、買い被りというものです(笑)。
 「思えば、あれが腐れ縁の始まりだったな」くらいに思っていただきたく思います。
 これからもよろしくお願いいたします。m(_ _)m

島田正雄様
 コメントをいただきましてありがとうございます。
今回は応急のご返事の形で記述いたします。

 態派生の接辞(助動詞)は -ar-,-as-,-e-, の3つだと
考えています。-e- は已然形の-e-に通じます。
「態の三系四態」に私の考え(2020年最新)を記述
してあります。記述し続けているのかもしれません。
-as-,-ase-,どちらも現代口語で活躍すべきという意味です。
 不規則動詞の代表は、来る、する、の2つにしぼり、
基本活用形の段階での不規則を示唆しました。
言う、行く、などは規則的な基本活用形としても許容でき
る範囲にあると考えます。二分合体思考法で規則的・不規
則的かを判断した結果だと言い切れませんが。
 
 島田様のように専門的に大量データを扱われる方で、
-as-,と-ase-,の意味の違いを実感なさっているのがうれしい
ですね。学校文法は意味の違いを説明できていませんから。

 とりあえず、ここまでにしておきます。
これからもよろしくお願いいたします。
 kio

 はじめまして。システム屋の島田と申します。
> 書かすー書かせるー書かさるー書かされる、
を見て、「東北から北海道にかけて、こういう方言があったな」と思いだしました。
 じつは使役には二種類あって、
「書かせる(kak-ase-ru)」の「ase」ともう一つ、
「書かす(kak-as-u)」の「as」があります。
 一般的には「ase」が正しく「as」は使わない方がいいということになっているのですが、これに受動や可能と接続するときは、「ase」よりも「as」が用いられます。つまり、「書かせられる(kak-ase-rare-ru)」よりも「書かされる(kak-as-areru)」のほうが自然だ、ということになります。用例としては、「立たされ(tat-as-are)坊主」あたりでしょうか。まぁ、昨今は「廊下でバケツ持って立ってろ」とかいって教室から追い出したりしたら児童虐待になってしまいますが(笑)。
ついでながら、不規則動詞「来る」(カ変)「する」(サ変)はよく知られていますが、「言う」と「行(い)く」が不規則だというのはコンピュータでチェックしないと発見しにくかったりするので、発見したときは驚きました。あとふたつ、「問う」(「とった」とはならない)と「乞う・請う」(「こった」とはならない)があり、これは文語の活用がそのまま残っているようです。

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