述語形式と[挿入音素]9
述語形式と[挿入音素]9
2020/01/17(金)
日本語の述語派生の基本的な法則は古語時代から現代にわたり
断絶なく連綿とつながりを持って変遷してきた。動詞の四段活用
の構成は現代でも基本枠組みとして通用するし、二段活用が一段
活用へ大量変化しても破綻なく収れんした。その変遷収れんの根
底には動詞派生の基本法則が有効に働いたからである。
仮説5:仮説1〜4を総合して変遷を読み解く
①動詞派生の基本法則は古代から変わらず一貫して
・動詞語幹[挿入音素]接辞語幹[挿入音素]接辞語幹・・・
である。
②四段/二段活用でも終止形の動詞語幹は子音末であった。
・古代動詞語幹は子音末が大多数で、母音末動詞は極めて少数で
あった。(母音末一段活用:見る、着る、似る、蹴る、など)
・四段活用:連用-[i]-・終止-[]u・已然-[]e、が派生語尾であり
二段活用:連用-[i]-/-[e]-・終止-[]u・已然-[]u[r]e、が派生語
尾であった。(動き陳述には[i]音、または[e]音を選び連結でき
るが、已然に-[]e-が使えず、-[]u[r]e-とする必要があった。
これで子音末語幹に拘る動詞を二段活用形式にして運用した)
③古代では一つの動詞語幹により自動詞、他動詞に両用していた
が、やがて「態接辞」を応用膠着させて区別しはじめた。
・自動詞化の接辞には、-ar-(-or-,)→動作結果が生る、有るの意味
(始 hazim[]u:hazim[]ar-:hazim[]e-, 起 ok[]u:ok[]or-:ok[]os-,)
・他動詞化の接辞には、-as-(-os-,)→動作を他に向ける、の意味、
(動 ugok[]u:ugok[]as-, 落 ot[]u:ot[]os-,)
・動作完遂の接辞には、-e-(已然の接辞)→完遂の様相陳述で態が
代わると自他反転の意味を帯びてくる。
(割る→:割れ→自動詞、進む→:進め→他動詞)
④しかし、割れ:war[]e-[r]u、進め:susum[]e-[r]uのように「る」
付加して母音末語幹の独立動詞との位置づけに発展するまでに
千有余年の時の流れが必要だった。(二段活用が長く続いた)
②それに比べて、二段活用の終止形:-[]uは、再度-[r]uを連結し
て連体形:-[]u[r]u、を作り出した。これは古代の文字記録も
ない時代に「る足し」言葉の操作で独立事象化ができ、なお
かつ他の語彙と重複競合しないと分かっていたことを示唆して
いるので、すごいことです。
⑤二段活用動詞の連用形:[i],[e]が語幹に取り込まれ、-[r]uが直結
の「る足し」操作で独立動詞になる。また④の已然形:-e[r]uも
一段活用動詞化にようやく花開いたのが江戸期であった。
・起 ok[i]-[r]u, 落 ot[i]-[r]u, 投 nag[e]-[r]u, 寄 yos[e]-[r]u などが
[i],[e]を語幹組入れして、oki[r]u, oti[r]u, nage[r]u, yose[r]u,
という一段活用動詞になれた。
・また、同時に書:kak[]e[r]u, 読:yom[]e[r]u,などの已然形態の独
立で「動作完遂の可能」を表現する意味合いで使われ始めて半
分成功した。本来は一段動詞の見:mi[r]e[r]uや、来:ko[r]e[r]u,
食:tabe[r]e[r]u, 調:sirabe[r]e[r]u,なども正当に可能態動詞と認:
mitome[r]ar[]e[r]uべきものです。(認:mitome[r]e[r]u は動作
が可能だという表現であり、受動態:mitome[r]ar[]e[r]uは認定さ
れた実績の可能事象を陳述する)一段動詞の完遂可能形式を認
めて、四段活用の可能動詞ともども文法則が公平になる時代が
早く来ることを期待する。
・已然形態の動作完遂可能動詞:D[-/r]e[r]u が意味する動作相の
範囲は広く、将然(これから)〜已然(すでに完遂)までを含
んでいる。
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