「僕はウナギだ」の述語文法
「僕はウナギだ」の述語文法
2020/3/5(木)
日本語の述語文形式は非常に簡単で、次のように4種類ある。
①動詞文:「(もう)寝る(よ)」 (副詞)動詞(終助詞)
②形容詞文:「(ずいぶん)寒い(ね)」 (副詞)形容詞(終助詞)
③形容名詞文:「(ずいぶん)静かだ(ね)」(副詞)形容名詞+だ(終助詞)
④名詞文:「(また)雨だ(ね)」(副詞)名詞+だ(終助詞)
(注:中島文雄著「日本語の構造」ー英語との対比ー:岩波新書)
(なお、形容名詞を本ブログでは名容詞と命名して以下記述する)
表題の「僕はウナギだ」の文は名詞文に相当し、連れ立って鰻
屋に入ってうな重を注文するときには必ず誰かが口にするだろう。
日本人なら構文の説明を外国人にも理解できるように工夫したい。
〇「僕に(は)ウナギ(を)!」:格助詞を使って各名詞の態関係を
明確にするのがよい。(「猫に小判、豚に真珠」と同型!?)
・「僕はウナギだ」、「僕にウナギ(を)」の構文は注文に必要な
名詞単語を並べたもので①動詞文の書式が場の文脈にある。
・つまり、「誰が、何を、注文(食べる)する」かの動詞文がある
場の状況で「僕はウナギだ」と名詞を並べる文なのです。
日本語学者でも④名詞文、③名容詞文を珍妙に解釈すること
がある。
例:「太郎は明日大阪に行く予定です」→「太郎は予定です」と
簡約して人魚構文(半人半魚の構文)と命名した研究もある。
日本人なら人魚構文と見ずに、形式名詞である「予定・つもり・
はず」などは名容詞あつかいするのが手っ取り早い。
〇「太郎は明日大阪に行く予定(つもり・はず)なのです」と解釈
し、説明文型の③名容詞文と見抜ければ最高です。
(本来「AはBだ」が「A=B」の等価構造を意味するのは極めて
稀なこと。実際は「A(の状態・立場・様子)はBなのだ」を説明
するのが大半であろう。つまり「Aだ」は④名詞文だが「Bだ」
になると③名容詞文に相当するのだということです)
〇「彼は中学教師(なの)です」、「彼は一家の大黒柱(なの)だ」、
両文ともに「彼の状態、立場」を形容する名容詞が述語になっ
ているのです。(このような構文を「なのだ構文」として使い
こなせるとよい)
・「吾輩は猫である」程度に「猫」が内包的に絞り込まれた名詞
概念であれば、「A=B」の④名詞文と見なせるだろう。
もちろん猫自身でなければ、「吾輩は猫なのである」を意味す
るわけだが、、、
①動詞文の形式にも変わりものがある。反文法だと即断しない
で、余裕で解釈できるようになってほしい。
例:「イチゴが売っている」「自販機が置いてある」「コンニャ
クは(食べても)太らない」、など動作を受けるはずの対象物が
動詞文の主役になる形式:
・本来なら受動態や使役態で、「売られて」「置かれて」「食べ
られても太らせない」の動詞文とするのが文法的である。
〇「イチゴを売る」「自販機を置く」のが日常的な光景であれば、
イチゴが売る動作を受ける、自販機が置く動作を受けることは
日常的に成立する。イチゴや自販機は「受律」動作をするのだ
と解釈すれば文法化できる。イチゴや自販機が自発的に「受律
動作」をする風情が、上例の(受律)動詞文で表せる。
特に「〜ている」存続状態を叙述するなら、受律的描写も違和
感が少なくなる。また、イチゴ農家にとっては「イチゴは売る
ものだ」との思いがひときわ強いはず。
・「コンニャクは太らない」動詞文も「食べても太らない」のは
人間の動作である。コンニャクを主格に立てるには、二段階の
受律化が必要になってしまうから、
〇「コンニャクで(は)太らない」のほうが簡易な動詞文となる。
もう一つ、日本語の特徴的な文型に「象は鼻が長い」がある。
例:「この問題は解くのが簡単だ」:応用的な文です。
問題を解くのは人間の動作であり、問題は解く動作を受ける。
受けるには自律動作と受律動作が併存して成り立つ。
〇「この問題は簡単に解ける」→「解ける」は人間の自律動作
と問題の受律動作が顕著になり、完遂段階まで続く。
これを可能態の互律動作と命名した。(自律動作と受律動作
のほかに自然・物理・数理法則などにも相互合致して可能に
なる。それを互律動作と呼ぶ)
〇「この問題は簡単に解かれる」→「解かれる」は動作結果が
出た状態が関与人物、対象物に如何なる動作反応をするのか
を表現する。これを受動態の(結)果互律動作と命名した。
・結果事象が動作主、(被動作主)、対象物にとって如何に動作
効力が生じるのかを叙述する。
〇動作主:実績可能、他者からの尊敬表現、
被動作主:受け身、自発、
対象物:受け身、実行可能、自発、
など、立場ごとに結果対応を表現することができる。
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