日本語の述語文法−2
日本語の述語文法−2
2020年6月13日(土)
名詞述語文の「述語律」について追記します。
研究分野では、名詞+判定詞、準詞文などの呼び方で名詞・名容
詞文節を取り扱う学説もある。判定詞が付属語であっても名詞と
離れて、外見的にも用言の関係句に付属するとの解釈方法を明言
してほしいのだが、確証を得られない。
準詞文では、「である、だ、です、、、」が付属する文節を、
①措定、②指定、③端折り、の3種類に識別を設けるらしいが、
新文法の①名付け律→②指定、②措定律→①措定、③端折り、に
相当するような感触である。
新文法では名詞述語文を解釈する際には、「名付け」なのか、
「措定」なのかをはっきり明示する述語文節の形態はないものか
と思案した。(頭の片隅に思い浮かべる)
例:これは鉛筆で、子どもの頃は短くなるまで使っていたものだ:
→これは〈鉛筆であり〉、:名付けを〈明示する文節〉表現。
・使っていたものだ:→使っていた〈もの〈だ〉〉:措定を表現
するため〈二重〈かっこ〉〉形式にした。
・太郎は明日大阪に行く予定です:→大阪に行く〈予定〈です〉〉
これも措定形式で示すと判りやすい。
〇名付け、措定もこの段階の文節形態は〈名詞述語文節〉で解釈
できるが、問題なのは二重かっこ〈名詞〈だ、です〉〉の解釈
を大胆に踏み外すことができるかどうかにかかります。
例:まず、端折り構文を調べてみよう。
・僕はウナギ(を注文する、食べるの)だ:→僕はウナギ〈だ〉
・姉は台所(にいるはず)だ:→姉は台所〈だ〉
(を注文する、食べるの)、(にいるはず)などは会話情景の
文脈にある人々ならば当然端折っても誤解しない。日本語では
こういう情景設定に慣れているから、端折り文でなく必然文に
なっている。
〇これを文法化する大前提は、日本語の述語は文章の最後にあり
問答に応答する場合、「補語の:誰が何」情報だけで述語は端
折って〈だ、です〉で締めくくることができます。述語は既に
質問文を聞いた周囲の人たちの頭の中に入っているからです。
・文法で明文化すべき肝心なことは、「述語は既に頭に入ってい
るから、〈だ、です〉で締めくくれる」です。
〇文法化の大前提はもう一つ、「補語の:誰が何」情報文を総括
して包み込む形式が、〈名詞・形式名詞〈です、だ〉〉の二重
かっこ用法であり、それが措定律を働かせる〈形態〈です〉〉。
特に「補語の:誰が何」情報文が動詞文、形容詞文など連体修
飾句である場合、情報句全体を総括するような慣用形式名詞を
立てて〈です、だ〉で締めくくる。
例:太郎は明日大阪に行く〈予定〈です〉〉:→「太郎は明日
大阪に行く」〈=予定〈です〉〉:→「〜行く」=予定〈です〉
・「太郎は明日大阪に行く」=「予定」〈です、だ〉のように、
「補語」と「形式名詞」を同定事項とみなして、〈です、だ〉
で締めくくる構文なのです。名付け律ほどの一般名詞でなく、
同定判断できる程度の形式名詞で措定する構文と見なせるのが
肝心なところであろう。
・日本語の統語法則としてこの措定律の形態を明文化するほうが、
(太郎は予定です:人魚構文だと騒ぐよりも)はるかに生産的
文法則になるだろう。
・措定の形式名詞が段々軽くなると、〈はず、つもり、の、ん〉
〜行く〈ん〉〈です〉、〜行く〈〉〈だ〉となるでしょう。
〜行く〈でしょう、だろう〉は通常使用の段階にある。
付属語述語文節は原形保持のほか、縮約・簡略化の傾向が強い
からです。
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