態派生のしくみ−1
態派生のしくみ−1
2021年1月8日(金)
本ブログの新述語文法では、述語が果たす「述語律」について解析
を続けています。特に態派生は「態の三系四態」といって3✕4=12
通りの態動詞がそれぞれに「述語律」を発揮します。
態の接辞は、-ar-, -as-, -e-, の3つがあり、受動態、強制態、可能態
の機能を発揮する。なかでも接辞 -e- は不思議な機能であり、国語学
の解釈では「歯が立ち」ません。
まず、能動系の「態の四態」をどうしたら解釈できるでしょうか。
<「態の四態」の根源的な構造を見抜く>
・「態の四態」を一行表記で解説すると、びっくりするほど簡単で、
「原系態→(+e=)可能態→(+e=)結果態→(+e=)受動態」これ
すなわち「態の四態」という等式にたどり着きます。
①原系態:D[-/r]u,(書く、見る、食べる)
↓+e 可能接辞を連結すると、(已然・実現形に活用)
②可能態:D[-/r]e[r]u,(書ける、見れる、食べれる)
↓+e 可能接辞を連結すると、(二重可能態=結果態= -ar-)
③結果態:D[-/r]ar[-]u←D[-/r]e[r]e[r]u=実現想定が実現=実績結果、
↓(注:書けれる?→書かる、同様に→見らる、食べらる)
↓+e 可能接辞を連結すると、(已然・実現形に活用)
④受動態:D[-/r]ar[-]e[r]u, (書かれる、見られる、食べられる)
のような動作相を含んだ構成で「態の四態」は作られている。
・今までは「態の双対環」とか「態の環状双対関係」と呼んだりして
「四態」把握が大切だと思っていましたが、可能接辞 -e- を順次
連結していけば一行書式で「態の四態」の概念を表現できるのだ。
なんて不思議なんだろう。
接辞:-e- の呼称として、可能接辞とか、已然・実現形(五段活用)とか、
正然・連用形(下二、下一活用)とか、いろいろに呼び分けていますが、
すべて同じ-e-音が付属しており同じ意味に解釈するのが新手法です。
(接辞-e- の詳細は次回に記述します)
続いて「態の三系四態」を三系・四態の表形式で表現すると
態の全体像を見渡せます。(二重可能:-e[r]e[r]- ?= -ar- 実現結果の意味)
(規則動詞の語幹:D、[挿入音素]、態接辞語幹:-ar-, -as-, -e-,
不規則動詞の語幹:来る=ko、する=s、)
<規則動詞の「態の三系四態」>
態名称 \ 能動系 強制系 使役系(⑥と⑨は同義)
①原系態:D-、 ⑤D[-/s]as-、 ⑨D[-/s]as[-]e-、
②可能態:┣ [-/r]e-、 ⑥┣ [-]e-、 ⑩┣ [r]e-、
③結果態:┣ [-/r]ar-、 ⑦┣ [-]ar-、 ⑪┣ [r]ar-、
④受動態:┗ [-/r]ar[-]e-、⑧┗ [-]ar[-]e-、 ⑫┗ [r]ar[-]e-、
<不規則動詞の「態の三系四態」>
来る:到達点でのko[r]uから語幹に「ko」を適用。
態名称 \ 能動系 強制系 使役系(⑥と⑨は同義)
①原系態:k(u[r]u)、 ⑤ko[s]as-、 ⑨ko[s]as[-]e-、
②可能態:ko[r]e-、 ⑥┣ [-]e-、 ⑩┣ [r]e-、
③結果態:┣ [r]ar-、 ⑦┣ [-]ar-、 ⑪┣ [r]ar-、
④受動態:┗ [r]ar[-]e-、 ⑧┗ [-]ar[-]e-、 ⑫┗ [r]ar[-]e-、
する:語幹に「s」を適用。
態名称 \ 能動系 強制系 使役系(⑥と⑨は同義)
①原系態:s(u[r]u)、 ⑤ s[-]as-、 ⑨s[-]as[-]e-、
②可能態: s [-]e-、 ⑥┣ [-]e-、 ⑩┣ [r]e-、
③結果態:┣ [-]ar-、 ⑦┣ [-]ar-、 ⑪┣ [r]ar-、
④受動態:┗ [-]ar[-]e-、 ⑧┗ [-]ar[-]e-、 ⑫┗ [r]ar[-]e-、以上。
(注:「態の三系四態」表形式では、派生後の態語幹での形態で
示してあります。後続の動詞活用形の分岐選択へ直結できます)
この表形式に示す「四態」は三系相互で相似的な構成なので判りやす
い。日本語学習者にとっては憶えやすく感じるでしょう。
すべての動作動詞が「三系四態」に則り、態の活用派生ができるの
で一覧したうえでじっくり演習してほしい。
〜つづく
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