述語律を記号で表す-1
述語律を記号で表す-1
2021年2月6日(土)
動詞述語のはたらきを態動詞のはたらきで説明してきました。
態の接辞:-ar-, -as-, -e-, を派生させて、「態の三系四態」ができます。
態動詞の数=3✕4=12通りの述語律が働きます。
「態」:「述語律」:「律記号」を一覧表示すると、
1)能動系・基本四態
①能動態:D[-/r]u:「自律/受律」動作:「→」
②可能態:D[-/r]e[r]u:「互律」:「 ↔ 」
③結果態:D[-/r]ar[-]u:「果律」:「↑」
④受動態:D[-/r]ar[-]e[r]u:「果互律」:「 ↕ 」
2)強制系四態:「・」+基本四態
⑤強制態:D[-/s]as[-]u:「律他」:「・→」
⑥強制可能態:D[-/s]as[-]e[r]u:「律他互律」:「・↔ 」
⑦強制結果態:D[-/s]as[-]ar[-]u:「律他果律」:「・↑」
⑧強制受動態:D[-/s]as[-]ar[-]e[r]u:「律他果互律」:「・↕」
3)使役系四態:「;」+基本四態
⑨使役態:D[-/s]as[-]e[r]u:「律他互律」:「;→ 」(=⑥「・↔ 」)
⑩使役可能態:D[-/s]as[-]e[r]e[r]u:「使役互律」:「;↔ 」
⑪使役結果態:D[-/s]as[-]e[r]ar[-]u:「使役果律」:「;↑」
⑫使役受動態:D[-/s]as[-]e[r]ar[-]e[r]u:「使役果互律」: 「;↕」
以上が動詞述語の「律記号」です。
例:昨日→買った+本は一気に→読んで→しまった:本は動作を受け
るだけ、買った、読んだは「受律」として本と規制関係にある。
(連体修飾を受ける体言を「+体言」で識別する)
次に形容詞述語の「律記号」を決める必要があります。
形容詞は一般形式で表記すると、形容詞語幹:K、挿入音素:[k]、を
使って、終止形:K[k]0i が表せます。述語律は2+1=3通り。
4)形容詞述語の「述語律」:「律記号」
①「感情律」:K[k]0i:「 :< 」実体が感情誘発させる規律。
②「属性律」:K[k]0i:「 :> 」実体の属性が示す規律。
③「感情属性律」:K[k]0i:「 :<> 」実体の属性と感情誘発の規律。
例:源さんは饅頭が :<> こわい:源さん=怖さを感じる、饅頭=怖い。
例:私はこの工具が :> 危ないと→思う:私=思う、工具=危ない。
つぎに名詞・名容詞述語の「律記号」を決める。
名詞・名容詞の述語は一般形式で表記すると、名詞・名容詞単語:
M,My、複合膠着:[+]、(判定詞=)助詞[x]接辞語幹[ / ]接辞語幹・・・
を使って、M,My [+] 助詞 [X] 接辞語幹 [ / ]接辞語幹・・・で生成でき
る。新手法として提起する重要な点は、M、Myの単語部分は構文の
主部成分に加えて、後半の判定詞=助詞 [X] 接辞語幹 [ / ]接辞語幹、
が述部に相当することである。判定詞の述語律は3通り。
5)判定詞述語の「述語律」:「律記号」
①「指定律」:d(e[x])a(r[-]u), de([x]ar[i]ma)s[-]u, :「 = | 」
M=固有名詞、普通名詞、などに判定詞を付加する。
②「措定律」:d(e[x])a(r[-]u), de([x]ar[i]ma)s[-]u, :「 : | 」
連体節+no, +M(普通名詞、形式名詞),+My+na[+]no, +no, の主部に
後続して付属する。
③「推量・伝聞律」: d(e[x])a(r[-]u), de([x]ar[i]ma)s[-]u, :「 ; | 」
終止節、M(形式名詞、よう、そう)、らしい、の主部に後続して
付属する。
(注:2023/11/11 修正追記:「律記号」は補語体言の前に置く)
例:これは =| ペン +です。あれが=|富士山 +だね。
例:太郎は明日大阪に→行く:|予定 +です。
例:太郎は明日大阪に→行く+(のが) :|予定(なの) +です。
例:太郎は明日大阪に→行く;|そう +です。
例:この問題は→解く+ のが :| 簡単(なの) +です。
例:本は→座って→読む+(のが) :| 規則 +です。
名詞述語の構造を再確認しておくと、
・+ 名詞類(固有名詞、普通名詞、形式名詞、名容詞、の、なの、
らしい、よう、そう、はず、つもり、など構文主部に入る)+判定詞
( である、だ、であります、です、でございます、ではありません、
でない、ぢゃない、ぢゃありません、ぢゃんか、など構文述部を構
成する ) のように配置されます。
例文に示すように、名詞類述語の構成はその前半が主部要素に含まれ
て、後半が判定詞に相当し、それで主部構成を成否判定する。
逆に言うと判定詞「です類」がなくても文章の構造(登場人物の勢揃
い)設定は済んでることになります。問題は文法的に確立できていな
いことです。言語学者も学校文法の範囲に縛られていると、突飛な
解釈法を持ち出すことがあります。
例:太郎は明日大阪に行く予定です:「太郎は予定です」文型にしか
解釈しないで、文の前半は動詞文、後半が名詞文の構造:人魚構文
と名付けて世界の言語に類例を調べる大規模な研究をした人がいる
ほどです。たしかに世界では20言語ほど人魚構文に類似する文型
があるそうで、東南アジア地域に多いことが分かったそうです。
問題は人魚構文「太郎は予定です」の解釈方法の適否です。
新述語文法の新解釈では、「律記号」入り例文の通り
「半人半魚の構造が構文全体で起きるのではない」、
「名詞類述語の構造は前半の名詞類が主部所属の補語であり、
後半の判定詞が述部所属の述語なのである」と解釈します。
つまり、「半補半述構文」=「補述構文」形式なのです。
つづく
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