日本語の基本構文型(5)品定め文・物語り文
日本語の基本構文型(5)品定め文・物語り文
再掲 【日本語基本構文型1】 選択演算式応答文形式
【 T①(T②/Y②)T①-(Y①/Y②)…S①(S②/Y②)[S①-S③]/[S①-Y③]. 】
注:( ):要否選択、/ :択一選択(または両選択)、[ - ]/[ - ]:選択範囲整理と
択一/(両選択)、… :先行文終わり・後続文始め。
(択一選択を優先するが、言い回しで両選択も許される場合もある)
・主部要素-体言:T①連用形/T②連体形/T③終止形、
・述部要素-用言:Y①連用形/Y②連体形/Y③終止形、
・主部補語-体言:S①連用形/S②連体形/S③終止形で記号化。_
(8)品定め文/物語り文を識別する条件:
構文が言わんとする真意を解釈するには何を手掛かりに判別したらよいのか。
基本的には少量の文章から「品定め文」なのか、「物語り文」なのか、を判別していくことからはじまるので、識別の全容を解説することはできないが、「手掛かりの「発見法」については、示唆しておきたい。
・「手掛かり」は単文の「主部+述部」、基本構文型の「先行文…後続文」のなかに探し出すことができます。
原則的な識別には、述部の③終止形が用言か/体言かで見分けられる。
・述部要素:用言Y(動詞/形容詞)が③終止形で構文をしめくくる、と
「物語り文」である可能性が高いのです。(…[S①-Y③].)
・主部要素:体言T/S(名詞/名容詞)が③終止形で構文をしめくくる、と
「品定め文」である可能性が高いのです。(…[S①-S③].)
(主部要素が補語になって③終止形になると述語役も果たします)
・「物語り文の「末尾」に「補語要素③終止形」を連結して「状況説明文=品定め文」に転換させることもあります。
…[S①-Y③/②/①]+[S①-S③] =
:「大阪にS①→行くY②「:|のS③」+です。
:または…「予定でS①:>忙しいY②「:|はずS③」+だ。
このように、述部③終止形が構文の意味に果たす役割は大きいです。
もう一つ原則的な識別には、主部要素のT/S①連用形の「助詞の使い方」を見分けることで判断できます。
・主部要素:①連用形に、
[+]は:(関)係助詞を使う構文は、「品定め文」である確率が高いです。
・主部要素:①連用形に、
[+]が:格助詞を使う構文は、「物語り文」である確率が高いのです。
・主部要素:①連用形に、[+]は、[+]が、の両方が使われる場合、
「品定め文①連用+「物語り文②連体+(品定め文③終止)」のように「入れ子型」になることが多いでしょう。
【基本構文型1】になぞらえながら分析してみましょう。
T①(T②/Y②)T①-(Y①/Y②)…S①(S②/Y②)[S①-S③]/[S①-Y③].
=T①…S①-Y②-S③
:「象はT①…「鼻がS①:>長いY②「:|動物S③」+だ。
:「彼はT①…「財布がS①」↕盗まれたY②③「;|そうS③」+です。
=T①…S①-Y③
:「花子はT①…「ピアノがS①」↔弾けるY③。
[+]は、[+]が:両方とも原意として、主語・主体を示す専用の助詞ではありません。
・[+]は:彼は/財布は/盗まれたのは/のように、主部要素のどれに注目して説明するのかを示す(関)係助詞です。
説明文に登場する人/物のどれに焦点光を当てるかを示す役割です。
動作主体ではなく、説明の前提条件に焦点光を当てて話し始める場合もあります。
・[+]が:(連体助詞、格助詞、接続助詞)のうち、[+]が①連用形:格助詞としての働きです。
:彼が/財布が/盗まれたのが/というと、焦点光を当てると同時に述語との結びつきを強調して”~[+]が”に引き当てるような効果でしょう。
:僕や君でなく”彼が”/カバンでなく”財布が”/失くしたのでなく”盗まれたのが”/…焦点光を当てた要素が排他的意図で主張される感じです。
:疑問文では”誰が”/”何が”/…盗まれたのか?に応答して”彼が”/”財布が”/…と排他的意図のもとに発話されます。
:[+]はの場合なら、”僕は”/”カバンは”/…関係ありません!と控えめな表現になります。
”[+]は要素”は選択的意図により発話されるが、対比的に見えても排他的意図を含まない。
:「僕はT①…「君がS①「:|好きS③」+だ。(”君がS①” 好きの根源③そのものなのだ、という意味です。好きの根源にあるのは君以外ないのだ、という排他的表現の意図が、”君[+]が”(に-潜在し-て=で)あります)
(9)「品定め要素」を確実に復習しておく
原則的な「品定め文」の識別法は前述の通りですが、まずこれを整理しておきましょう。
「品定め文」構造の条件:
・主部要素:”〜[+]は①連用形”…品定め文を誘導する。(T①は…)
・述部要素:体言(名詞/名容詞)③終止形…品定め文になる。(…-S③)
・述部要素:用言(動詞/形容詞)③終止形(②連体形変身)+体言③終止形が連結すると、品定め文になる。(T①-Y①/②/③…(S①)-S③)
(最後の体言③終止形が省略されることがあり、結果的に”主部[+]は”の誘導だけで品定めに決まる場合も多い)
品定め要素として関与するのは、
・述語要素の体言”T③終止形”が補語”S③終止形”である。これが原則です。通常では主部要素であるのに、構文中で”補語③終止形”の役割を持つと、「述語律を発揮する」立場になるのです。
・「品定め要素」=補語③終止形=補語体言[+]判定詞(である/だ/です/)
(補語体言:補語であり、体言の性質に依存して「述語律:指定律/措定律/推量伝聞律の3種類」のどれかを内包すると規定する。判定詞には「述語律」を見込まない)
・用言:”自立語[(動詞語幹+態接辞)/(形容詞語幹)]+構文相”で活用し、
自立語部分で「述語律」を発揮します。
・体言:”自立語[名詞単語・名容詞単語]+構文相”で活用しますから、
同様に体言も自立語部分で「述語律」を発揮していると、解釈するのは合理的な考え方なのです。(特に、補語③文での「述語律」は大事です)
つづく。 次は、名詞文の「述語律と「判定詞」…へ。
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