「新手法」の用語(4):活用節=(体言/用言)[連用/連体/終止]
「新手法」の用語(4):活用節=(体言/用言)[連用/連体/終止]
新著『日本語の述語文法 〜「新手法」で学び取れる〜』で解説した「新用語」をなじみやすく解説しています。第4回目です。
初回に示した「新著「新用語の用語例−1」を再掲します。
用語例ー1(解説回目)ーー(出現回数)
・(1回目) 二段活用連体接辞:-u[r]u-(38回):-ur-(1回否定文脈)
・(2回目) 主部(325回):主部律(58回):主語律(8回否定文脈)
・述(896回):述部(84回):述語(603回)
(3回目) :述語律(349回):述部律(2回否定文脈)
・文の構成(11回):文節(168回):文節の構造(0回)
:文節の細部(3回):自立語節+活用節(3回)
・(4回目) 活用節(103回):活用語尾(11回否定文脈)
:活用節=(22回)
:体言(の)活用節(5回):用言(の)活用節(4回)
:補語活用節(3回):述語活用(18回)
・(各回で使用) 膠着(183回):膠着強度(22回)
:膠着種別(6回)〜種類(0回)
:膠着記号:派生[/](85回)、複合[+](346回)、縮約[×](180回)
(1)文の構成=文節+文節+文節+文節+…。
・文節の構造=自立語節[#]活用節[#]活用節[#]…。
- 文節の役割を各種に変化させる目的で、自立語に各種の活用節を[#]選択演算して膠着することで活用形を構成します。
- 自立語節[#]活用節の構造は、自立語の単語/または語幹に[#]付属活用語の助詞/または助動詞の語幹を[#]膠着連結する形式です。
(自立語と付属語のつなぎ目は[#]膠着演算子が置かれるだけで、「?活用語尾」などではありません。発話や記述の際に、[#]付属語に何を使おうかと選択演算する経験が誰にもあるはずです)
・用言(動詞、形容詞)の活用膠着は「語幹と接辞語幹の」密結合形式です。
・体言(名詞、名容詞)の活用は「単語+単語、単語+助詞の」疎結合形式が基本です。 - 体言の[#]活用節=主に動作格を示す格助詞、いわゆる[+](が/に/を/て/で/…:連用助詞):連用形の他、
[+](係り助詞:は/や/も:連用助詞…):連用形、
[+](の/なの:連体助詞…)を膠着させて:連体形の活用形とします。
・体言の終止形:補語名詞・名容詞[+](である/だ/です/であります/…:判定詞)の形態で述語に相当する働きをします。
・付属判定詞=[+]d(e[×])a(r[-]u)=[+]da=[+]de([×]ar[i/-]ma)s[-]u…)のように[×]縮約膠着により多様な判定詞を生み出します。
(判定詞内では[+]助詞[×]接辞語幹[/]接辞語幹…など膠着全種が使われます) - 体言の膠着記号[#]は、[+]複合を使い、自立語単語と助詞を並べ置くのが通例です。例外的には、
・単語と単語の[+]複合膠着で、音便法則も働きます。
:小雨ko[+s]ame=kosame、酒屋sake[+0a]ya=sakaya、
:日本niti[+00i=P]h[+0P]on=ni[+p]pon,/日本niti[+00i=-]hon=ni[-]hon、など。
(複合[+]の音便表記法を試めしてみました) - 用言の[#]活用節=動詞語幹/形容詞語幹に[#]膠着音素で助動詞:接辞語幹を膠着連結して活用形を作ります。
・動詞語幹Dに挿入音素[ / ]を介在させて接辞語幹をつなぎます。
(連用/連体/終止:D[0i=IQN/-]te/de/D[-/r]u/D[-/r]u)…
・形容詞語幹Kに挿入音素[-/k]=[k]を介在させて接辞語幹をつなぎます。
(連用/連体/終止:K[k]u([-]te)/K[k]0i/K[k]0i)…
:D:渡すwatas[i/-]te/watas[-]u/watas[-]u…
:K:楽しいtanosi[k]u[-]te/tanosi[k]0i/tanosi[k]0i…
(2)文の構成=構文内での活用文節の役割に注目して分析すると、
日本語の汎用的な基本構文型を一行表記できるのではないだろうか。
簡易的に表記すると、
・基本構文型=(連用/連体)文節+(連体/連用)文節…+(連用/連体)文節+(体言/用言)終止文節…。
(選択演算式に文節を取捨する前提なら、冗長度が高い文型ではあるが、作文指導には有効かもしれない)
これが『新文法』構文型提起の着眼点に発展する萌芽です。
- 今、冷静に分析すると、国語学の連用/連体/終止の概念を援用するだけでは不十分であることがわかります。
- 体言にも連用/連体/終止を適用する工夫をしたが、
体言の終止形が述語役も果たすので、連用も連体も体言終止:述語に照応連結するとき、連述形である場合も連体形である場合も混在することになる。
つまり修飾文節が連用なのか連体なのか不明確になる。発話者が明確な意思を持って「連述形で「体言終止」を修飾するとの思い入れがほしいが、文法的な保証がない。 - 体言も述語規律を持ち、用言の述語と立場が同じになるという概念を明確にする文法の共有が必要条件になる。
- 構文構造に関する文法規則が整備されていないので、基本を会話の場での「応答文形式」を考察するのが手っ取り早い。
・応答文=即答文/回答文/叙述文、の3種類の構文形式です。(例:うなぎ屋で「何?」を注文するか、の場面で)
:即答文「僕は…「:|ウナギ」+です。
:回答文1「僕は(「注文を」)…「:|ウナギ」+に-し-ます。
:回答文2「僕の「注文は…「:|ウナギ」+です。
:叙述文「僕は「:|ウナギを」→注文します。
・体言補語は「場の疑問:何?」に答える「:|ウナギ」であり、
(注文を省略してでも)「:|ウナギ」は必須です。
また、会話の場に居合わせた人は疑問事項:何?を共有しているので即答文でも十分理解し合える。
(3)名詞・名容詞=体言は「主部にも「述語=補語+判定詞、にも」なります。
補語[+]判定詞の「述語律」は補語の性質により3種類に分類します。
- ①指定律 =|:補語が「(=|)(固有名詞/分類名詞/役職名詞/…)」などの場合であり、呼称づけ・名前付け・分類分けを明示するのに使う。(補語名詞の用途を理解しやすいでしょう)
しかし、いわゆる「主=補語」のbe動詞:コプラ・繋辞+補語に相当すると早合点してはいけません。補語が「何?」に応答する述語要素ですが、主部とは所属/役職/所有/名付け/…の関係性を明示する役目を果たします。(主=補語の「等価関係や同一関係」を想定する必要はない。並立関係である) - ②措定律 :|:補語が「(:|)(事由名詞/形式名詞/普通名詞/…)」などの場合であり、「疑問の何?/何故?」に答えるほとんどの名詞が補語述語として使われます。(事由/形式は定形的で用途は分かりやすいが、普通名詞がどう「何?」と対向するか…)
・特に普通名詞による補語名詞には、動作名詞/選択肢名詞/状態名詞/思索名詞/時候名詞/…など疑問回答のために措定化:言い換え・当てはめの名詞であり定形語ではありません。 - ③伝聞・推量律 ;|:補語が「(;|)(様態名詞:よう,そう/推量接辞:らしい,べき,でしょう,だろう/…)」などの曖昧回答のための名詞や接辞を定形的に使う。補語述語の用途は分かりやすいでしょう。
(4)補語[+]判定詞の意味、補語の述語性を補強する方法
自立語の補語が名詞述語文節を先導します。判定詞部分は付属語要素ですから独立要素と見ないので、補語が「述語律」を果たします。
・3種類の「述語律」を生み出すそれぞれの補語名詞が、用途を表す定形的な名詞や接辞を使うことが多いので、解釈上の明確性が保証されます。
・ただし、補語文が 「:|普通名詞」により「疑問の「何?」に答える場合、文脈の「何?」を共有する聞き手でないと誤解する可能性がある。
- a:「次の停車駅は「:|石神井公園駅」+です。(判定詞)
a’:「次の停車駅は「:|石神井公園駅」+に-停車し-ます。(叙述文) - b:「太郎は「:|予定」+です。(判定詞)
b’:「太郎は「:|予定」+に-決め-てあります。(叙述文) - c:「日本人は「:|習慣」+です。(判定詞)
c’:「日本人は「:|習慣」+に-し-てます。(叙述文) - 判定詞:で・あるは、助詞「で=にて」・ある、の膠着でできている。意味は、にて・ある[+]ni[-]te[×]ar[-]u=[+]ni[×]s[i/-]te[+]ar[-]u=に(し)て・ある、のように動作状態の表現を内包する。
・にて:に-於い-て/に-つい-て/に-関し-て/に-調べ-て/に-よっ-て/に-対し-て/に-従っ-て/に-則っ-て/に-し-て/に-なっ-て/に-あたっ-て/…に-深め-て/に-図っ-て/に-早め-て/…など叙述文に変身しうる意味を内包しています。 - 判定詞は付属語節ですから、補語に「述語律」を託します。
汎用的な判定詞形態には=[+]n(i[×])a(r[-]u)[+]no[+]des[-]u=…
=補語(+連体なの)です/用言連体(+の)です。…が使えそうです。
これも日本語の工夫の一つなのでしょう。 - a:「次の停車駅は「:|石神井公園駅」+なのです。(汎用判定詞)
b:「太郎は「:|予定」+なのです。(汎用判定詞)
c:「日本人は「:|習慣」+なのです。(汎用判定詞) - a”:「次は「:|公園駅に→停車(する「:|の」)+です。(汎用判定詞)
b”:「太郎は「:|予定で→行く+「:|の」+です。(汎用判定詞)
c”:「日本人は「:|習慣で→祝う+「:|の」+です。(汎用判定詞)
・にて・ある:は、に・ある=なる、よりも、=に-する動詞−て・ある、を連想させる。ちょうど名容詞:元気な、の「な」:連体助詞のような変化する一瞬の有様、状態を描写するのに好都合な助詞です。
(:に-する動詞-て・ある=に-する-状態にある=連体助詞「な」、と解釈できるのだろう…)
:(補語)+なの-は/なの-が/なの-を/なの-に/なの-で/…などの汎用的な使い方ができて、補語事象の/発生経緯/事由経緯を説明する事由説明詞の用法として構文解釈してみるのもよいだろう。
・:|補語+なのです:の形態で補語の:|措定律の働きを明示できます。
・:|補語+です:の形態では、補語の=|指定律と同一形態なので混同される。
これを具体的な方法で避ける文法則に採用できるのです。
ー完ー
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