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2025年3月

2025/03/22

新日本語述語文法−再入門(5)

新日本語述語文法−再入門(5)

文節活用(構文相)を一覧表で提示する。


新文法:文節の役割(構文相)


表4 自立語の構文活用


役割


自立
語節


挿入
音素


接辞1


挿入
音素


接続2



簡潔な注釈









動詞:D
D-s,z/-i,e
D-k/g
D-t,r,w
D-n,b,m


動詞:D


[i/-]
[i/-]
[0i=I]
[0i=Q]
[0i=N]


-,
te,
te/de
te,
de,


←接辞なし
←接辞付き
[i]音便
[i]音促音便
[i]音撥音便


中断:oyog[i],yom[i],tabe[-],
音便なし:正然連用形
例:kak[0i=I]te,oyog[0i=I]de,
tat[0i=Q]te,waraw[0i=Q]te,
tob[0i=N]de,yom[0i=N]de,


[-/r]


e


[i/-]


te,


oyog[-]e[-]te:已然連用形


形容詞
:K


[k]


u


[i/-]


te,


形容詞語幹:K(母音末)
例:samu[k]u[-]te,


名詞
:M


[+]


が/を/に/…
は/も/

   

名詞M・名容詞My:単語
格助詞:が/を/に/で/…

係助詞:は/も/や/…









動詞:D


[-/r]


u

   

近世:連体/終止は同形。
例:oyog[-]u,tabe[r]u,


形容詞
:K


[k]


0i


←’0’ゼロ:前音消音便


・連体/終止は同形。
例:haya[k]0i,samu[k]0i,


名詞:M
名容:My


[+]
  
[+]


の/…
な/…
de




[×]ar




[-]u


例:元気[+]の源、元気[+]な声、
元気[+]である証拠







動詞:D


[-/r]


u

   

例:yom[-]u,tutom[-]e[r]u.


形容詞:K


[k]


0i

   

例:tanosi[k]0i,kowa[k]0i.


補語:
M/My


[+]


de


[×]ar


[-]u


例:d(e[×])a(r[-]u)=da.
de([×]ar[i]ma)s[-]u=des[-]u.

 本表は、『新手法』(2024/6)での6章6-2.2表を元にした上で要約した内容です。(已然①連用形を追加してある)
・この表4は【構文相】の基本形式に絞り込んだ解説なので、文法的には簡単に覚えられそうに感じるはずです。

 しかし、これまでの再入門での表1〜表4を応用するだけでは、欠落した部分があります。

・表1:膠着方式を再確認、表2:文節の主部律/述語律を再確認、
 表3:態動詞の述語律を再確認、表4:自立語の構文相を再確認、
これらの再確認で日本語の構文に対する基礎概念に触れてきました。
再確認した範囲は、態接辞の活用/述語律に対してまでです。これは

国語辞書の巻末付録に掲載される【基本助動詞活用一覧表】の最初の部分(使役・受動+態三系四態)までの解説に相当します。
残りの助動詞類が、まさに未完成の報告相の範囲に相当するものです。
(ただし、表2の補語文節の述語律部分:らしい/ようだ/そうだ、などは【報告相】に相当します)


・【報告相】の概念は何か、基本構文の検証から説明しよう。
『新手法』(2024/6)での日本語の基本文型:(応答文/問答文形式)
 =先行文(主部要素+述部要素)、後続文(補語要素+述部要素)でしたが、
改めて=先行文(主部要素+述語要素+報告相)、後続文(補語要素+述部要素+報告相)とする。
・先行文や後続文の最後に置かれる文節で、文章の聞き手/読み手に報告するような意味合い/心情吐露を表現します。
(注意すべきことは、報告相は発話者/記述者の判断による心理描写が入り込む余地があり、文章中の登場人物の発意でないかもしれません)

・多くの口語辞書は、【報告相】の概念化をしていませんし、「自立語+付属語で=文節【報告相】を作る」という基本原則を省いて、付属語中心の解説にとどまっています。

・「新手法」としては、報告相=自立語+付属語の形式で例示すべきだと、ようやく方向性を見つけました。しばらく試行錯誤してみます。

つづく…

2025/03/14

新日本語述語文法−再入門(4)

新日本語述語文法−再入門(4)

 念のため、動詞の態相・動詞の述語律を一覧表にしました。


 新文法:動詞の態派生の視点から


 表3:態動詞の述語律


.


 自立語節


[#]-接辞1[#]-接辞2


 述語律


 律記号/注釈


 能動系


原態:D
可能:+e-
結果:+ar-
受動:+are-

一行表記:D-


[-/r]-u.
[-/r]-e[r]-u.
[-/r]-ar[-]-u.
[-/r]-ar[-]-e[r]-u.

[-/r]([0]/e/ar/are)[-/r]u


自律/受律
互律
果律
果互律

 能動四態=


主→客/対←
主↔客/対
主↑客/対象
主↕客/対象

主✜客/対象


 強制系


原態:D+[-/s]as
可能:+e-
結果:+ar-
受動:+are-

 一行:D[-/s]as-


[-]-u.
[-]-e[r]-u.
[-]-ar[-]-u.
[-]-ar[-]-e[r]-u.

[-]([0]/e/ar/are)[-/r]u.


強制律
強制互律
強制果律
強制果互律

 強制四態=


主・客→
主;客→
主・客↑
主・客↕

主・✜客


 使役系


原態:D[-/s]ase
可能:+e-
結果:+ar-
受動:+are-

一行:D[-/s]ase


[r]-u.
[r]-e[r]-u.
[r]-ar[-]-u.
[r]-ar[-]-e[r]-u.

[r]([0]/e/ar/are)[-/r]u.


使役律
使役互律
使役果律
使役果互律

 使役四態=


主;客→
主;客↔
主;客↑
主;客↕

主;✜客


注:態接辞は、-e-,-ar-,-as-,の3種です。(古語時代には、-ay-,-ak-,も使われました。近世これも[-/y],[-/k],の挿入音素に用いられ残っていると、推測します)
・動詞語幹:Dに「書く:kak-、食べる:tabe-」を代入して四態を派生させてみよう。(各態動詞を③終止形で示します)
・能動態:D[-/r][0][-/r]u=kak[-]u=書く/tabe[r]u=食べる、
・可能:D[-/r]e[r]u=kak[-]e[r]u=書ける/tabe[r]e[r]u=食べれる、
・結果:D[-/r]ar[-]u=kak[-]ar[-]u=書かる/tabe[r]ar[-]u=食べらる、
・受動:D[-/r]ar[-]e[r]u=kak[-]ar[-]e[r]u=書かれる/tabe[r]ar[-]e[r]u=食べられる。
・強制態:D[-/s]as[-][0][-/r]u=D[-/s]as[-]u=
 =kak[-]as[-]u=書かす/tabe[s]as[-]u=食べさす、
・可能:D[-/s]as[-]e[r]u=(使役原態と同形同義に相当する)
 =kak[-]as[-]e[r]u=書かせる/tabe[s]as[-]e[r]u=食べさせる、
・結果:D[-/s]as[-]ar[-]u=
 =kak[-]as[-]ar[-]u=書かさる/tabe[s]as[-]ar[-]u=食べささる、
・受動:D[-/s]as[-]ar[-]e[r]u=
 =kak[-]as[-]ar[-]e[r]u=書かされる/tabe[s]as[-]ar[-]e[r]u=食べさされる。

 使役の演習を割愛して、
不規則動詞:来る/するの四態を見ておこう。
・来る:到着点での動作が態に直接関係する。
(到着点語幹は ko- であろう。ko[r]u, ko[a/-]na[k]0i, ko[-/y]ou,…)
・来るの能動一行四態:ko[r]([0]0u/e/ar/are)[-/r]u,
(原態k[-]u[r]uに修正するために:ko[r]([0]0u)[-/r]uと表記した)
・来るの使役一行四態:ko[s]ase[r]([0]/e/ar/are)[-/r]u.

・する:語幹は s-だが、 s[i]/s[e]正然・已然連用が混用される。
・するの能動一行四態:s[-](u/e/ar/are)[-/r]u,
・するの使役一行四態:s[-]as[-]e[r]([0]/e/ar/are)[-/r]u.

 以上、不規則動詞の態派生についても、ほぼ規則動詞に類似する一行四態形式で表記できることを見定めてください。

 態の三系四態(3×4=12種類)に対して
動詞の「述語律、律記号」を各個規定します。
・【述語律】とは、文章に「登場する人・物」の(態)動作関係を規律する文法力を明示することです。
つまり、主部要素の相互関係が格助詞/係助詞の使用によって明確になること、これを態動詞の【述語律】が規律・要請するのだという概念です。(どんな述語律の動詞を使うのか、が分かるなら必要な主部要素の数・関係性が推測できる)
・【律記号】とは、(自動詞/他動詞に区別を設けません)
・能動態動作:動作が「主→」から発し「客/対象←」に向かい、(自律/受律)
「主↔客/対象」が相互の可能条件を探って完遂やり遂げる(互律)、と
「主↑客・対象」に結果が実現の状態になり(果律)、
その結果を受けて「主↕客/対象」が関与する影響を述べる(果互律)。
という一連の事象進展を表現する規律記号です。
・強制態動作:「主・」命じ「客→」に服従的自律(従律)動作をやらす。
・使役態動作:「主;」命じ必要なら助言・互助し、「客→」に(従律)動作を(完遂まで)やらせる。
(以下、四態の続き説明を割愛します)


 かな文字国語学では、-e[r]u- 可能態接辞:已然接辞を正しく解釈できない状況が続いています。
-e- 已然接辞の原意は「動作を完遂する」です。自他交替/他自交替の両用接辞なのかと勘違いしてはいけません。あくまでも動作完遂(描写)を示す接辞です。(自他の変化より、完遂描写です)
・それが自他交替/他自交替に解釈されるのは「完遂の結果」で、(態が変化しています)日本語の動詞の述語律(動きの局面描写)の特徴です。
(已然形を仮定形に別役定義したことは、誤用誘発の危険:大なのです)
・可能 D[-/r]-e[r]u /受動 D[-/r]-ar[-]-e[r]u の違いを正しく「-ar- 抜き」とも見抜けず、闇雲に「ら抜き回避の誤対応を」続けています。
(四態の意味の真芯:D[-/r]u=動作する、D[-/r]e[r]u=やり遂げる、
D[-/r]e[r]-e[r]u(完遂が実現状態にある)==D[-/r]ar[-]u(実現結果がある)、
D[-/r]e[r]e[r]e[r]u(実現結果の影響が現れる)==D[-/r]ar[-]e[r]u(動作結果の影響受ける状態)、
という一連の動作循環の表現なのだと解釈したい)
・さらに、国文法では態接辞の形態や膠着法を明示しないので、「さ入れ言葉・れ足す言葉」など「態の多重派生の問題」に正解答を示せていません。

 新文法では、[-/r], [-/s], [#],など 選択演算式の[挿入音素]を明示して確認する演習方法によって、接辞の実態を正しく目視・発見できます。

つづく。

2025/03/11

新日本語述語文法−再入門(3)

新日本語述語文法−再入門(3)
 まず「主部律/述語律」の全体を鳥瞰してみよう。


新文法:主部律と述語律の視点から


表2:文節の規律力


文節・膠着種別


活用(構文相)


相互規律力


例:自立語の役割


主部要素


・体言文節
名詞/名容詞体言:[+]格助詞/係助詞…
を膠着。
(主部体言が主部律を果たす。補語は述語律を持つ)


①連用形:
述語つながり

②連体形:
体言つながり

③終止形:
[+]判定詞(である)で連体文機能を果たす.


・主部律
①主/
②客/
③対象/
④提題…
登場人物の格指定。


①主:主/排他格[+]が…
②客:与/奪格[+]に/から/…

③対象:対格[+]を/…
④掲題:係格/掲格[+]は/も/…:[+]は/は/には/では/…何格でも掲格化し構文を作れる。(述語律関連)




述部要 素


・動詞文節

動詞語幹:[/]態接辞[/]接辞…
を膠着。
(態動詞文節が述語律を果たす)


①連用形:
述語つながり

②連体形:
体言つながり

③終止形:文の(終止/連体)。


・述語律
①能動系
四態:✜
②強制系
四態:・✜
③使役系
四態:;✜


①能動態:可能態/結果態/受動態:

②強制態/強制(可能態/結果態/受動態):

③使役態/使役(可能態/結果態/受動態):の3×4=12律。


・形容詞文節
形容詞語幹:[k]接辞[/]接辞…を膠着。

(自立語が述語律を果たす)


①連用形:
述語つながり

②連体形:
体言つながり

③終止形:文の(終止/連体)。


・述語律
①属性律:
 性質/属性
②感情律:
 感覚反応
③感属律:
 感情反応


①属性形容詞:
 :> 重い/軽い/細い/…

②感情形容詞:
 :< 楽しい/つらい/痛い/

③感属性形容詞:
 :<> 望ましい/懐かしい/
 冷たい/怖い/…


・補語文節
補語:[+]de[×]接辞[/]接辞…
を膠着。
(補語文節の体言が述語律を果たす)


①連用形:
述語つながり

②連体形:
体言つながり

③終止形:文の(終止/連体)。


・述語律
①指定律:
②措定律:
③推量伝聞律:


①指定律体言:
 =| 呼称/固有/役職/分類

②措定律体言:
 :| 事由/形式/回答語/…

③推量伝聞(体言):
 ;| らしい/そう/よう/…

 ここに述べる「主部律「述語律」は重要な概念であり、広く啓発していきたい文法法則です。
しかし初耳の主部律/述語律だと思いますから、全体の鳥瞰表示を一見して納得できないのは、普通でしょう。

・「主部律」であり主部要素間の格関係を規律します。
「主語律」ではありません。(述語は主語だけに限定従属するのではなく、主部(主/客/対象)を格関係として規律し、矛盾せず整合することが条件です。主部要素の一部しか顕在せずとも矛盾しないなら文章は成り立ちます)
・「述語律」であり、「述部律」ではありません。単一の述語が主部要素:主/客/対象を均等に規律する。
(同類の述語を重ねる場合もありますが、矛盾せず整合することが条件です。重ねて指摘すると、述語は主語とだけ規律し合うのではなく主/客/対象を均等に規律します)

 

例文を解説して説明を深めます。(言葉足らずながら、自立語に注目してその役割区分を記述しました)

 例1:「春雨ぢゃ(から)、濡れて参ろう」:春雨ぢゃ=補語文節②措定律(回答語)①連用形、:濡れて=①連用形・参ろう=意向③終止形。
 例2:「女は殴られた男に復讐した」:女は=④掲格・主①連用形、:殴られた=受動(③終止形/②連体形)、:男に=奪/与格①連用形、:復讐した=(女④係格が係る・自律)③終止形。
 例3:「女は殴られた男が赦せなかった」:女は=④掲格・主①連用形、:殴られた=受動(③叙述修飾/②限定修飾)、:男が=①根源格①連用形、:赦せなかった=(女④掲格・主も係る、男も①排他根源格として係る・已然)不可能③終止形。
 例4:「僕はウナギだ」:僕は=④掲題①連用形、:ウナギだ=補語②措定律(回答語)③終止形。(鰻屋での注文の場面)
 例5:「源さんはマンジュウがこわい」:源さんは=④掲格(感情体)①連用形、:マンジュウが=①排他根源格(属性体)①連用形、
 :こわい③感属律(源さん感情体・マンジュウ属性体ともに係る)③終止形。
 例6:「象は鼻が長い」:象は=④掲題(所有体)①連用形、:鼻が①排他根源格(属性体)①連用形、:長い①属性律③終止形。

 日本語の構文形式は多くの場合、応答文形式=問答文に当てはまる。
例4「僕は(何を注文しようか?)、ウナギ(回答語)だな」、
例5「源さんは(なにがこわい?)、マンジュウが(回答語)こわい(源さん感情体/マンジュウ属性体を規律する)」という論理的な思考形式に基づいた構文なのです。

例2、3「女は殴られた(ので)…」先行文:叙述修飾文・前提条件文と解釈する。同時に先行文が限定修飾機能で「男に/が…」に係る。殴られた③終止形は②連体形と同形なので限定修飾と紛らわしい。が、一列順番に発話表現する文章制約を勘案すると、殴られた:叙述修飾文(ので付き)・①連用形だと解釈するのが合理的でしょう。(関係詞が潜在して後続文につながると考えてもよい)

 ・形容詞の述語律:3種類は文章中での配置に関係なくほぼ固定的に決まるので、習得しやすいでしょう。(形容詞が主部要素の格関係:所有体/感情体/属性体の配置を要請し規律するとみなす)

・名詞の述語律:大別3種類だが、役割が細分化されるので十分に習熟度を上げておきたい。(名詞の補語要素は主部要素でもあるが、述語要素の働きが100%です。特に普通名詞の補語は②措定律:回答語であることが多い)

・動詞の述語律:態三系四態12種類だが、態接辞に固定的な述語律であり、3種×四態(ほぼ共通)なので修練方法は明確です。

つづく。

2025/03/08

新日本語述語文法−再入門(2)

日本語述語文法−再入門(2)


 さて再入門の目的を改めて確認しておきましょう。
・昨年発行の『新手法(2024/6)』で未完成状態である部分:述語活用の「報告相」についての「新手法」を発見したいということです。

・述語活用に関わる「付属語:助詞/助動詞…」の機能をすっきりと整理することが必須条件です。すでに「新手法」で解決してある「態相接辞、構文相(連用形/連体形/終止形)接辞」を除外して、「肯定/否定、意向/希求、完了/過去、仮定/命令、指定/措定、推量/伝聞、…」などの助動詞類を「報告相」の対象とします。


 まず「膠着強度の3種類」を簡単に明示します。
膠着強度の3区分


新文法:述語の膠着方法の視点から


表1:膠着法3種類


膠着①:[+]複合例
・夜行列車
  yakou[+]ressya
・春[+]は/が…
膠着①’:[+]複合変種
:連濁/連声など含む
・居酒屋
 i[+zθ]sake[+0a]ya
・反応han[+n]ou
注:’θ’=後音消し記号
 ’0’=前音消し記号
(zθs=zを表現する)


膠着②:[×]縮約例
・である=だ…
[+]d(e[×])a(r[-]u)=da…
・であります=です…
[+]de([×]ar[i]ma)s[-]u=des[-]u…

注:縮約の範囲は( )で示す。
恣意的な縮約だがすでに定着している。
実際は[+],[×],[/]が混在します。



膠着③:[/]派生例
・読みます/食べます
 yom[i/-]mas[-/r]u==yom[i]mas[-]u ,  
 tabe[i/-]mas[-/r]u==tabe[-]mas[-]u…

注:
 [a/-].[i/-]=[連結母音/無音],2種類。
 [-/r],[-/s],[-/y],[-/k]=[無音/連結子音],
 4種類。

注:膠着①:緩やかな連結、単語[+]単語/助詞などの連結。
膠着②:慣用的な省略を含む結合。助詞[×]接辞[/]接辞…など体言の活用向き用途。
膠着③:密結合。動詞/形容詞など語幹[/]接辞[/]接辞…用言の活用向き用途。

 新手法の膠着三区分を基礎にするなら、体言も用言も必要な付属語と連結させることで、文節の役割を担って構文要素を作成できるのです。体言も用言も上手に活用して日本語文を作り上げるのだと言える。

日本語の文章形式
 日本語の基本的な文章構造は「登場人物:主部要素」+「情景描写:述部要素」で構成されるのが基本的な構文形式です。
(修飾説明のための「述部要素が「主部要素に」先行する場合もありますが、文章を最終的にまとめる述語が文末に必要なのです)


・主部要素の構造は
「文章中に「登場人・物」:名詞:自立語に[+]付属語・助詞「は/が/を/に/で/…の/な/…」などを連結して「主/客/対象/目的:主部律」の役割を明示します。 (これを「主部文節」といいます。複数の主部文節を想定できます)
・述語要素の構造も同様に、文章中の
「人物・事象の動き」:動詞:自立語D語幹[/]接辞語幹[/]…、や
「表情・状態・属性の感じ」:形容詞:自立語K語幹[k]接辞語幹[/]接辞…
「質問への返答・名前・事由」:名詞・名容詞:自立語[+]助詞[×]接辞[/]接辞…、
などに「特有の膠着方法で付属語・助動詞/助詞」と連結させて活用させることで情景を描写します。
(これを「述語文節」といいます。文末の述語文節は複数でなく単独であるほうが簡明な文章です)

 『新手法(2024/6)』では「主部文節「述語文節」について新しい考え方を展開しました。

・主部文節=主部要素:主に体言・名詞/名容詞の文節で、文章中の「主部律」(登場人物の役割づけ:主/客/対象/などの格付け規律)を果たす。

なお、文末で体言的な述語役を果たす「名詞文:補語文節」の機能は、主部文節と同形態ながら「体言的な述語律:3種類」を発揮するのだと強調した。(名詞文を述語要素として徹底して位置づける)
・述部文節=述部要素:動詞/形容詞/名詞・名容詞(補語)の活用で動作や事象/状態/評価などを記述する。(述語律:動詞文=態三系四態:3×4=12種、形容詞文=属性/感情/感情属性の3種、名詞(補語)文=指定/措定/推量伝聞の3種)と解説した。


 『新手法』の「主部律/述語律」を次回に詳細に解説します。

つづく。

2025/03/06

新日本語述語文法−再入門(連載)

新日本語述語文法−再入門(連載)

はじめに
 『日本語の述語文法 〜「新手法」で学び取れる〜』(2024/6)にて提案した「新手法」は、膠着語である日本語の正確な理解につながる「新しい文法表記に適する一連の工夫の手法を」詳細に解説したものです。
ただし、出版時点の最終章では「構文作成の新手法」に未完成部分がありました。
 それは現在でも考察中であり、もう一度「再入門」しながら出直してみようとこの連載を思いつきました。

・『新手法(2024/6)』の最初の一歩は「自立語と付属語の連結・膠着で生み出す「活用形を」いかに表現したら正確に開示できるか?ということです。

・音素と音素の連結点の膠着度合いを表現するには、「ローマ字つづり」が必要で、「膠着度の強弱形式=3種類」に区分する工夫をします。
・ただし「ローマ字の続け書き」のみでは、読みにくいだけです。
そこで「膠着記号[#]:=[/]派生, [+]複合, [×]縮約,の」3種類を択一選択して連結点に書き残します。(例:kak[i/-]-[+]nokos[i/-]mas[-]u.)

 「膠着記号を選択する」=発話の際に選択演算子から選べるようにした概念です。この概念に至る先行研究を述べておきます。

・歴史的に「膠着語である日本語を」ローマ字で解析して「動詞活用は語幹に接辞語幹が膠着するだけで語幹が活用しているわけではない」ことを体系的に明示したのは、清瀬義三郎則府『日本文法新論』(1989/2)、『日本語文法体系新論』(2013/12)が初めてです。(連結音素を(i), (s), など選択結果を示す記述法でした)

・この清瀬本『新論』での提起は、例で示すと
「書かす:kak-as-u、食べさす:tabe(s)as-u,」のように、母音・母音つながりの場合、連結子音(s)を挿入して膠着する、子音・子音つながりの場合、書かず:kak(a)z-u、食べず:tabe-z-u、のように連結母音(a)を挿入して膠着する、ことを明確に示したのです。

・『新手法』では、発展的工夫として、[連結音素と無音]を組み合わせた[挿入音素]=[a/-], [-/s],…を採用しました。(無音記号: - との選択演算を促す表記様式とした)

実際の[挿入音素]の数は2+4の6種類です。
・[挿入音素]=[連結母音/無音]=[a/-], [i/-], の2種。
例:D[a/-]z[-]u==書かず:kak[a]z[-]u, 食べず:tabe[-]z[-]u, を選択演算する演習ができます。(後続接辞が子音始まりの場合に使用される。動詞語幹Dが子音末なら連結母音を、母音末なら無音を選択する。すべての動詞に選択演算を適用できる)

・[挿入音素]=[無音/連結子音]=[-/r], [-/s], [-/y], [-/k] の4種。
例:D[-/s]as[-]u==書かす:kak[-]as[-]u, 食べさす:tabe[s]as[-]u, を選択演算する演習ができます。(後続接辞が母音始まりの場合に使用される。動詞語幹Dが子音末なら無音を、母音末なら連結子音を選択する。すべての動詞に選択演算を適用できる)

 この「膠着記号の選択演算子化」の工夫は小さな文法規則でありますが、通時的に古代から現代に渡って広く深く動詞活用形の生成を説明できることに気づきました。また、『新手法』の膠着記号[#]3種類を考察していくと、清瀬本の捉え方=「動詞用言は活用していない」に共感すると同時に、もうひとひねりすると「体言:名詞・名容詞は活用していないが、用言程度には文章中で多様に役割を果たし、体言の活用を選択演算しているはずだ」と考えるようになりました。
つまり、用言も体言も膠着方法に違いがあっても、どちらも付属語と膠着して活用形態を生み出しているのだ、との捉え方が大事なのだ…膠着記号[#]3種は、用言/体言のすべての膠着を包括しているのだから。

つづく。

 

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