« 新日本語述語文法−再入門(3) | トップページ | 新日本語述語文法−再入門(5) »

2025/03/14

新日本語述語文法−再入門(4)

新日本語述語文法−再入門(4)

 念のため、動詞の態相・動詞の述語律を一覧表にしました。


 新文法:動詞の態派生の視点から


 表3:態動詞の述語律


.


 自立語節


[#]-接辞1[#]-接辞2


 述語律


 律記号/注釈


 能動系


原態:D
可能:+e-
結果:+ar-
受動:+are-

一行表記:D-


[-/r]-u.
[-/r]-e[r]-u.
[-/r]-ar[-]-u.
[-/r]-ar[-]-e[r]-u.

[-/r]([0]/e/ar/are)[-/r]u


自律/受律
互律
果律
果互律

 能動四態=


主→客/対←
主↔客/対
主↑客/対象
主↕客/対象

主✜客/対象


 強制系


原態:D+[-/s]as
可能:+e-
結果:+ar-
受動:+are-

 一行:D[-/s]as-


[-]-u.
[-]-e[r]-u.
[-]-ar[-]-u.
[-]-ar[-]-e[r]-u.

[-]([0]/e/ar/are)[-/r]u.


強制律
強制互律
強制果律
強制果互律

 強制四態=


主・客→
主;客→
主・客↑
主・客↕

主・✜客


 使役系


原態:D[-/s]ase
可能:+e-
結果:+ar-
受動:+are-

一行:D[-/s]ase


[r]-u.
[r]-e[r]-u.
[r]-ar[-]-u.
[r]-ar[-]-e[r]-u.

[r]([0]/e/ar/are)[-/r]u.


使役律
使役互律
使役果律
使役果互律

 使役四態=


主;客→
主;客↔
主;客↑
主;客↕

主;✜客


注:態接辞は、-e-,-ar-,-as-,の3種です。(古語時代には、-ay-,-ak-,も使われました。近世これも[-/y],[-/k],の挿入音素に用いられ残っていると、推測します)
・動詞語幹:Dに「書く:kak-、食べる:tabe-」を代入して四態を派生させてみよう。(各態動詞を③終止形で示します)
・能動態:D[-/r][0][-/r]u=kak[-]u=書く/tabe[r]u=食べる、
・可能:D[-/r]e[r]u=kak[-]e[r]u=書ける/tabe[r]e[r]u=食べれる、
・結果:D[-/r]ar[-]u=kak[-]ar[-]u=書かる/tabe[r]ar[-]u=食べらる、
・受動:D[-/r]ar[-]e[r]u=kak[-]ar[-]e[r]u=書かれる/tabe[r]ar[-]e[r]u=食べられる。
・強制態:D[-/s]as[-][0][-/r]u=D[-/s]as[-]u=
 =kak[-]as[-]u=書かす/tabe[s]as[-]u=食べさす、
・可能:D[-/s]as[-]e[r]u=(使役原態と同形同義に相当する)
 =kak[-]as[-]e[r]u=書かせる/tabe[s]as[-]e[r]u=食べさせる、
・結果:D[-/s]as[-]ar[-]u=
 =kak[-]as[-]ar[-]u=書かさる/tabe[s]as[-]ar[-]u=食べささる、
・受動:D[-/s]as[-]ar[-]e[r]u=
 =kak[-]as[-]ar[-]e[r]u=書かされる/tabe[s]as[-]ar[-]e[r]u=食べさされる。

 使役の演習を割愛して、
不規則動詞:来る/するの四態を見ておこう。
・来る:到着点での動作が態に直接関係する。
(到着点語幹は ko- であろう。ko[r]u, ko[a/-]na[k]0i, ko[-/y]ou,…)
・来るの能動一行四態:ko[r]([0]0u/e/ar/are)[-/r]u,
(原態k[-]u[r]uに修正するために:ko[r]([0]0u)[-/r]uと表記した)
・来るの使役一行四態:ko[s]ase[r]([0]/e/ar/are)[-/r]u.

・する:語幹は s-だが、 s[i]/s[e]正然・已然連用が混用される。
・するの能動一行四態:s[-](u/e/ar/are)[-/r]u,
・するの使役一行四態:s[-]as[-]e[r]([0]/e/ar/are)[-/r]u.

 以上、不規則動詞の態派生についても、ほぼ規則動詞に類似する一行四態形式で表記できることを見定めてください。

 態の三系四態(3×4=12種類)に対して
動詞の「述語律、律記号」を各個規定します。
・【述語律】とは、文章に「登場する人・物」の(態)動作関係を規律する文法力を明示することです。
つまり、主部要素の相互関係が格助詞/係助詞の使用によって明確になること、これを態動詞の【述語律】が規律・要請するのだという概念です。(どんな述語律の動詞を使うのか、が分かるなら必要な主部要素の数・関係性が推測できる)
・【律記号】とは、(自動詞/他動詞に区別を設けません)
・能動態動作:動作が「主→」から発し「客/対象←」に向かい、(自律/受律)
「主↔客/対象」が相互の可能条件を探って完遂やり遂げる(互律)、と
「主↑客・対象」に結果が実現の状態になり(果律)、
その結果を受けて「主↕客/対象」が関与する影響を述べる(果互律)。
という一連の事象進展を表現する規律記号です。
・強制態動作:「主・」命じ「客→」に服従的自律(従律)動作をやらす。
・使役態動作:「主;」命じ必要なら助言・互助し、「客→」に(従律)動作を(完遂まで)やらせる。
(以下、四態の続き説明を割愛します)


 かな文字国語学では、-e[r]u- 可能態接辞:已然接辞を正しく解釈できない状況が続いています。
-e- 已然接辞の原意は「動作を完遂する」です。自他交替/他自交替の両用接辞なのかと勘違いしてはいけません。あくまでも動作完遂(描写)を示す接辞です。(自他の変化より、完遂描写です)
・それが自他交替/他自交替に解釈されるのは「完遂の結果」で、(態が変化しています)日本語の動詞の述語律(動きの局面描写)の特徴です。
(已然形を仮定形に別役定義したことは、誤用誘発の危険:大なのです)
・可能 D[-/r]-e[r]u /受動 D[-/r]-ar[-]-e[r]u の違いを正しく「-ar- 抜き」とも見抜けず、闇雲に「ら抜き回避の誤対応を」続けています。
(四態の意味の真芯:D[-/r]u=動作する、D[-/r]e[r]u=やり遂げる、
D[-/r]e[r]-e[r]u(完遂が実現状態にある)==D[-/r]ar[-]u(実現結果がある)、
D[-/r]e[r]e[r]e[r]u(実現結果の影響が現れる)==D[-/r]ar[-]e[r]u(動作結果の影響受ける状態)、
という一連の動作循環の表現なのだと解釈したい)
・さらに、国文法では態接辞の形態や膠着法を明示しないので、「さ入れ言葉・れ足す言葉」など「態の多重派生の問題」に正解答を示せていません。

 新文法では、[-/r], [-/s], [#],など 選択演算式の[挿入音素]を明示して確認する演習方法によって、接辞の実態を正しく目視・発見できます。

つづく。

« 新日本語述語文法−再入門(3) | トップページ | 新日本語述語文法−再入門(5) »

日本語文法」カテゴリの記事

態文法」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 新日本語述語文法−再入門(3) | トップページ | 新日本語述語文法−再入門(5) »